ホーム - 一店逸品運動のエントリ

ヘッダーナビゲーション

お土産物2016/09/05 11:45 am

富山県高岡市で、お土産物を審査する機会がありました。

銅器をはじめとする“ものづくりのまち”だけあって、民芸品・工芸品・食品・菓子と様々な力作が並びます。

私の大好きなお菓子の試食をさせていただきながら、ふと考えました。「そもそもお土産ってなんだろう?」

美味しい、かわいい、だけでなくその土地の情報伝達も重要。今の時代お土産の役割は大と実感です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どこかに行ったとする、そこの珍しものをお土産に買って帰る。家族に、職場に。

どこかに行ったとする、そこの人たちに、私の地元の物を持って行く。家族に、職場に。

これが、一番ポピュラーなお土産でしょう。自分の家族へなら、皆の好きそうなものを、子どもが喜びそうなものを。職場なら、お茶のときに食べられるものを。

こういう、土地を代弁するもの「どこどこに行ってきました」という情報とともに渡すものなら、相手がその土地の特色を知っていると「そうそう、○○といえば○○だよね」とわかってくれる。

または知らない人にはものを通してそれを教えるということになる。

高岡なら、銅器、漆器が産物。昆布文化があり、白エビやホタルイカも産物。大伴家持がいたことから万葉文化も。

などなど、知っている人にはものを通して確認を、知らない人にはものを通して教示を、と土産物の役割は結構大変だ。

だから、ものばかり見ていて、おいしい、いいもの、と思っても、それが上手く伝わっていないと、また、土地のお土産としたいのなら、土地との関連性をきちんとうたわないと、役不足になる。


つまり、ただの「ホタルイカ○○」という製品では、「ほう」で終わってしまう。

ホタルイカは高岡の近く富山湾で採れるイカで、とかなんとか物語が付かないと、知らない人には価値がなくなってしまうわけだ。

その辺の、説明不足が足りないよに思う。高岡に限らない、むしろ高岡の物などまだとても優秀で、頑張っている。


味だけ、物だけに一生懸命で、パッケージや説明に力を入れずに終わっている物が全国に多い。もったいない限りだ。

これはどんなにいい人でも、笑顔や言葉がなかったらいい人と分からないのと同じ。ただ下を向いて黙っていて、世間にわかってもらおうというのは甘い。

つまりは、上手におしゃべりするお土産物がいい、ということになる。

しゃべることがないなら作ればいい。商品についての物語作りは想像力だ。ネーミングも、子供の名前を付けるくらい真剣にするべきだ。

さらに、最近の流れが土産物にはある。昔は、安くて多量なら良かったが、個別包装、少量多品種などは今や当たり前。

確かに昔はお徳用という感じだった袋入りのものが、2人家族でも食べきれるくらいの小パッケージになっていてうれしかった。

包装にもセンスやデザインは欠かせない。どんな服を着ているか、からもその人が分かるのと同じことだ。

では、全部が全部そうかというと、一筋縄ではいかないのが今だ。

お土産を自分のために買う人も増えた。「自分へのごほうび」というものだ。

そうなると、土地柄が溢れるものでも、溢れないものでもよくなってくる。

高岡で買った銅製のマウスパッドでもいいし、高岡で買った高級下着でもいいコトになる。

現に私も、高岡で買ったという思い出があるパジャマをもう何年も着ている。

「見たて」というものもある。高岡のあるお店で見つけた素敵なイヤリング。別に高岡名産の物でも技でもないけれども
高岡のあのコンセプトショップの見たてが気にいったから、という購買動機になる。

こうなると、品物そのものの発信力や提案力が勝つわけで、地場産品というのはその「見たて」そのものになってくる。昆布でもエビでもなくなるのだ。

なんでわざわざそれをそこで買うのか、というようなものを私もそうとう持っている。

佐賀で買った帽子、青森で買った急須、奈良で買った鎌、静岡で買ったリュック、などなど。

こうなると、土地の産物や、土地の技術にしがみついての土産とはまた全然違ってくるわけだ。

おそらく、かつての観光地にあった「土産物屋さん」で売っていた「土産物」は、ほぼ姿を消した。

産物や土地の物語がきちんと語られ伝えられている上質の物は、今でも土地を代弁するお土産として存在するだろう。

しかしそれも、東京の住人は都内に集まる各地のアンテナショップで日常的に買えるし、全国の人もネットで取り寄せられる。


土産物という言葉すら、もう過去のものとなっているのかもしれない。

産物にこだわらず「高岡に行ったらこんな面白いものがあった」とか「高岡ではこういうものが見つかる」という分野に、踏み込んでいかなくてはならないだろう。

さらに踏み込むなら、「高岡のあの人たちがつくるもの」「高岡のあの人が選んでいるもの」ということにこだわっていかないと、と思う。

なぜなら、人は大量生産できないし、ネットで取り寄せもできないからだ。

こんなことを、かまぼこや、魚のすり身のお好み焼き風や、辛いカレーや、ヨモギまんじゅうや、糠さばや、こぶ締めなどを食べ続けながら、私は考えていたのでした。

※写真と文章はイコールではありません。

このエントリーの情報

最新ブログエントリ

最近のブログのコメント

noguchiさんへのコメント

ブログ カレンダー

« « 2019 6月 » »
26 27 28 29 30 31 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 1 2 3 4 5 6

連絡先

野口 智子 のぐち ともこ
ゆとり研究所所長・NPOスローライフ・ジャパン事務局
ゆとり研究所

TEL 090-7433−1741
E-Mail yutori@noguchi-tomoko.com

NPOスローライフ・ジャパン
〒160-0002 東京都新宿区四谷坂町9−4 リカビル301
TEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554
E-Mail slowlifej@nifty.com


略歴

<野口智子(のぐちともこ)>
ゆとり研究所所長・NPOスローライフ・ジャパン事務局長
千葉市生まれ。東京でコピーライター、プランナーを経験。1977年静岡県に移り企画・編集プロダクション設立。
1992年ゆとり研究所を開きコンサルタント業務を開始。
ライフスタイルの提案、「一店逸品運動」による商店街の活性化、時間消費型観光おこし、人材育成などの分野で活動。
2000年からスローライフ運動を開始、2003年スローライフ・ジャパンを設立、現在、事務局長・副理事長。
2006年から活動拠点と自宅を東京へ。現在はスローツーリズムの提案、商品開発、地域観光の育成、都市と田舎の交流、移住・定住プロジェクト、“食”をテーマにしたまちおこし、などに力を入れている。住民参加の独自の楽しいワークショップが得意。
現在、地域力創造アドバイザー(総務省)、地域再生マネージャー(ふるさと財団)、国土審議会半島振興部会委員。