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フルーツ・ライフ・スクール2018/07/30 11:59 am

こういう名前の「まちづくり人材育成塾」が果物のまち紀の川市で始まっています。

まちづくりイベントは、とかく楽しいだけで終わりがちです。もう少し深いところで繋がり、思索し、知的な動きを起こせるように。

コーディネートするにあたり、カリキュラムには講義とワークショップ、ウォークの要素も入れました。

さてどうなるか?17歳〜78歳の25人と一緒に、私も学ばせていただいています。
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初回6月入塾式では、副市長から「紀の川市のいま、これから」というテーマで、市の総合計画を講義いただきました。計画など知らない、では済まされない世の中です。「計画なんて見たことないもの、知らないもの」なんていう言い訳は、本当の大人にはありえないことでしょう。高校生も真剣に聞いていました。

その少し固い内容で、紀の川市の目指す姿を知った後にはリラックス!この写真、記念の懇親会ではありません、講義とワークショップの間に設けたフルーツ休憩です。

今回、受講生を集めるには苦労しました。何でも無料が多い中で、年間1万円の参加費を払っても学びたい人を集めたからです。しかも、初回ですからどんな内容かも示せません。

知合いが自然多くなるかと思ったら、全く知らない方が多く手を挙げて、参加動機の文章までしたためて入塾されました。スタッフも講師も、気合が入るわけです。

休憩時間ににも何かを学んでいただこう。農家さんの思いや、梅についての一口知識が貼りだされます。

ワークショップ「お互いを知ろう」では、各人が自分のキャッチフレーズとビジュアルとしてのクレヨン画を。

学生、農家、公務員、会社員、自営業など職業ではつかめなかった、個人のキャラクターがみえてきます。

ソプラノで歌う人だったり、陶芸が趣味だったり、ダンスが得意だったり、お祭り男だったり、手品師だったり、変わった鶏を飼っていたり、地域おこし団体を長年やっていたり、etc。

2回目の講義は「いったい果物とは何なのか」。全国的に活躍されているフルーツの専門家、近畿大学の先生からお話をいただきました。

気軽に「フルーツのまち紀の川市」「フルーツでまちおこし」などと言いがちですが、なぜ紀の川市で果物が多く作られるのか。

私たちが果物と呼んでいるのはどこなのか。果物はどのように増やすのか。など、初めて聞くような話ばかり。

皆から「こういう専門的な話を聞きたかった」と大好評でした。そう、しっかり学ぶ時間は大事なのです。

この日は皆が“果物に関するもの・こと”を持ってくるのが宿題でした。ひとつのことを多様な視点で見る訓練です。

例えば電車を、交通手段としてみるか、コミュニケーションスペースとしてみるか、はたまたいい音を奏でる装置ととらえるか、でそれを“活かす”方法も変わってくるはずです。

果物関係で集まったのは、世界の果物切手、果物にこだわる人の紹介、果物関係のお菓子、果物の字を使った苗字、台湾での桃菓子、神社にある果物由来の故事の彫り物、果物の香りの殺虫剤、果物アップリケのTシャツ、果物の形の消しゴム、などなど。

にわかに「フルーツ・ミュージアム」ができあがりました。

ワークショップのテーマは「多様な果物文化を見渡す」です。ミュージアムに続いて、「フルーツは?」というお題への言葉出し。

「フルーツは・・・・おいしい、きれい、香りがいい、おしゃれ、高いイメージ、近所からもらえる、主食にならない、剥くのが面倒、神様に供える、癒し、感動を与える、暮らしを豊かにする、薬になる、思い出、汗仕事、獣との闘い、6次産業化が可能、」など、いろんな切り口からの言葉が出ました。

一口に「フルーツのまちづくり」言っても、そのフルーツの捉え方はいろいろだということが分かりました。

全12回のうち、3回は「フルーツ・ウォーク」です。地域資源を訪ねながら、歩きながら学び、学びながら皆が仲良くなる時間です。

7月の強烈に暑い日に、一回目のウォークでした。長距離はバスですが、現地で1時間くらいは歩きます。

この日は「偉人の業績を訪ねる」がテーマ。江戸時代の土木技師・大畑才蔵について専門家の方から学びました。

学んでから歩かないと、その偉大さが分からない。小田井用水は見た目はただの水路です。

でも注意してみると、途中で水が消え暗渠になっていたり、サイフォンの構造で川の下を流したり、渡井で川の上を流したり。

少ない勾配でより広い面積を潤す用水を、昔の技術で作った人がいる。そのおかげで、米ができて、人が生きられた。その延長上に、今の紀の川市、果樹栽培もあるのですね。

暑い暑いウォークではありましたが、高校生の男の子が「かんがいというものに興味をもちました」と感想を述べています。

水の便の悪いところに用水を作る努力に想いを馳せていると、道沿いの家に「水」の字が。

防火のおまじない、今もこうして生きています。







もう一人の偉人は華岡青洲。江戸時代の終わり、世界で初めて麻酔を使って手術を成功させた人です。

全国からここに1000人以上の弟子が通ったとか。母と妻を人体実験に使った話は小説にもなり有名です。彼は地域の灌漑にも努め、ため池を造ったりもしています。

生涯、田舎で粗末な暮らしをし医療に尽くすを旨とした人でした。

診療所であり、住まい、塾でもあった「春林軒」が復元されています。ここもしっかり説明を聞きたかったのですが、時間切れ、しかも暑さに皆疲れてしまって・・。また来ましょうね。


そして最後に訪ねたのは現代の偉人!新しい農業の姿にチャレンジする桃農家さん。

桃だけでなく早くからブルーベリー栽培をしかもオーナー制で始め、今は摘み取り体験農園もやっています。

摘み取りだけでなく、マキ割り、ピザ焼き、歴史散策、ネーチャーゲームなど、いろいろな体験も商品にしています。

奥様とお嬢さんはフルーツを活かしたレストランも。季節のかき氷やフルーツパスタなどが好評。

これから農業やカフェをやりたいという方に、具体的な参考事例となりました。何人かが、また訪ねたいとのことでした。

お土産は丸々太った美しい桃、その実りも讃える一日となりました。

このように、人材育成塾といっても他都市のアカデミックな講義中心のやり方とかなり違います。このやり方でどんな変化が起きるのか、スクールを企画した側としてもチャレンジであり、学びなのであります。

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野口 智子 のぐち ともこ
ゆとり研究所所長・NPOスローライフ・ジャパン事務局
ゆとり研究所

TEL 090-7433−1741
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略歴

<野口智子(のぐちともこ)>
ゆとり研究所所長・NPOスローライフ・ジャパン事務局長
千葉市生まれ。東京でコピーライター、プランナーを経験。1977年静岡県に移り企画・編集プロダクション設立。
1992年ゆとり研究所を開きコンサルタント業務を開始。
ライフスタイルの提案、「一店逸品運動」による商店街の活性化、時間消費型観光おこし、人材育成などの分野で活動。
2000年からスローライフ運動を開始、2003年スローライフ・ジャパンを設立、現在、事務局長・副理事長。
2006年から活動拠点と自宅を東京へ。現在はスローツーリズムの提案、商品開発、地域観光の育成、都市と田舎の交流、移住・定住プロジェクト、“食”をテーマにしたまちおこし、などに力を入れている。住民参加の独自の楽しいワークショップが得意。
現在、地域力創造アドバイザー(総務省)、地域再生マネージャー(ふるさと財団)、国土審議会半島振興部会委員。