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「小さな村の物語イタリア」2019/04/08 11:32 am

この番組が300回を迎えたので、紹介したくなりました。タイトルの通り、村の普通の暮らしを淡々と紹介する内容です。

家族・村を、手づくりの味を大切にし、丁寧に生きる姿のドキュメント。映像が美しい。

「自分の村を良くないというのは、自分のことを良ないというのと同じだ」など、毎回村人から本質的な名言があります。

ウケ狙いの変な番組の多いなか、聖域のような番組です。

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BS日テレの土曜日18:00〜18:45 アンコール放送が日曜10:00〜10:45、詳しくはこちらになります。↓
「小さな村の物語 イタリア」http://www.bs4.jp/italy/

最初どうして見始めたのかわからないのですが、いつしかこの番組の虜になりました。それはただの外国紹介ではなく、“食レポ”でもなく、“人生の楽園”を自慢するわけでもない、内容だったからです。

,い蹐い蹐平Χ箸凌佑出てきます。
たいていどこかの本当に小さな村の、普通の人、二人ぐらいが紹介されます。学校の先生、ブドウ農家、漁師、農家、役場職員、土産物屋、小さなホテルの主、酪農家、家具職人、大工、パン屋、靴の修理屋、美容師、図書館司書、博物館解説員、墓番、バルの店員、チーズ職人、自動車修理工、バスの運転手、今までたくさんの職業の人が登場しました。

その暮らしをみていると、「チーズはこうして作るんだ」「オリーブをこうして収穫するんだ」「古い家具を修理して使うんだ」「こうしてレースを編むんだ」「羊を追い立てるんだ」「トリュフは犬が見つけるんだ」「サフランは高価なんだ」「野菜の直売を我が家のガレージでしている」「学校の用務員さんがおしゃれ」「小さなダムの管理をこうするんだ」いろいろな発見があります。単なる旅番組とは違う、素顔のイタリアを知ることになります。

村ごとに個性があります。
その主人公が暮らす村が、標高1500m以上の山岳地帯だったり。山の尾根ずたいの村だったり。古城のある村だったり。遺跡が残る村だったり。川とともにできた村だっだり。海辺の海水浴客でにぎわう村だったり。ひとつの島が村だったり。

一つ一つの村に歴史があり、古い建物が残り、独特の風景があります。戦火に焼かれたり、災害によって一度は破壊された村なども登場します。それでもほんの少しの人々が、肩寄せ合って村を成立させ、村を継続してきている。その時間の受け渡しのような長い繋がりを感じます。そして、それぞれに個性のある村で飽きません。

食べ物が丁寧に描かれます。
食いしん坊の私にとってはここは見逃せません。いったい何を毎日食べているのだろう?それが実はとても質素です。小さな村には物資も少なく店もあまりない。だから、少しの物を実に大切に食べている。

朝はコーヒーとビスケット程度。お昼はパスタをゆでてトマトソースで和えたもの。夜は、ハム入りオムレツとジャガイモ程度。なのにみんなユサユサと気持ちのいいほど肥えている。きっと毎回の食事を大事に美味しく食べているからでしょう。パスタ一皿を食べるために、テーブルクロスをかけて、ナフキンとナイフフォークを用意して、ワインを飲んで。

そのパスタも、粉から作るときもある。面白い形のものが、魔法のように普通のお母さんの手から作られていくのにはほれぼれしてしまいます。そんな食事ですから、皆が食べることを楽しみに、自分の家に戻ってゆっくり、きちんと食べるのでしょう。

い箸砲く家族を大事にしています。
食事を家族で囲むのが当たり前。家族のために働く、家族のために出稼ぎに出る。父親を心から尊敬し、その技術をみて学ぶ。母親を女神のように思い、亡くなっても思い続ける。母の髪を洗ってあげる、ブロウしてあげる。祖父の耕した畑をこれからも守ろうと思う。タトゥーだらけの若者がおじいちゃんの面倒を看る。

夫婦が台所で一緒に歌を歌う。奥さんのことを愛している、美しいとほめる。奥さんがいるから今の自分があると旦那が胸を張る。離婚しても子どもに対し、別れた相手の悪口は言わない。こんなシーンを見ていると、家族とは何かと考えます。

さらに小さな村にはベンチが多く、買い物の途中、散歩の途中に腰かけて話をしている。バルに行けばいつもの顔があり、そこにもう一つの家族ができる。村がそのまま家族という印象なのです。「1人暮らしでも、1人じゃない、それが村だ」というナレーションもありました。

ケ任景が素晴らしいのです。
山、路地、朝の牧場、草原、花、歩く人、猫、犬、家の中、夜の通り、スクールバス、子どもたちの手伝い、ジャガイモ堀り、散歩、霧の海、何を撮ってもその切り撮り方が美しい。構図がいいのか、美しさの基準に長けた人がカメラを回しているのか。「絵」になっている。

だからどんな場面を見ても、気持ちが良くなる。美術品を鑑賞しているようなのです。

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さんざんほめてしまいましたが、一番の魅力はインタビューでしょう。牛飼いが、主婦が、修理工が、オリーブ農家が、マイクを向けられて語る言葉が素晴らしいのです。

「好きな仕事に就くのが一番。お金じゃない。嫌な仕事だとそのイライラを家族に向けるようになる」「のんびりやるのがいい。その方が上手くいく。のんびりは強い」「笑っていれば必ず良くなる」「子育ては、小さい時は根をあたえ、大きくなったら翼をあたえること」「この村のことが忘れられなくて、この村が大好きで結局戻って来た」「ここが一番好き、この村にいることが私の幸せ」

私の記憶が正確ではないかもしれないけれど、こんなことを普通の人がとうとうと語ります。このインタビューだけの本が出てほしい位です。自信たっぷりに、村を誇らしげに語る庶民の言葉の上質なこと。同じ質問を今の日本の普通の人たちにしたら何と答えるのでしょうか。

   *  *  *  *  *

私は地方に出かけ、「まちこし」のお手伝いをしています。日本の各地で出会うのは「こんなまちダメだ」「うちの夫はどうしようもない」「ストレスで鬱になっている」「近所と話をしたことがない」「お金がなくちゃ」「東京はいい」こんな言葉だらけです。

皆の悩みを聞き背負うのがアドバイザーですが、私のなかには嫌なことや嫌な言葉ばかりがたまります。「こんな日本はイヤだ、良くない、どうしようもない」と叫びたくなるわけです。

そんな時、この番組に救われます。「そうか、のんびりやろう」「美しく生きよう」「本物の豊かさに目を向けよう」気持ちがすっきりするのです。これはどなたが見ても同じでしょう。

選び抜かれたイタリア音楽は元気にしてくれますし、三上博史さんの抑えたナレーションは心を落ち着かせてくれます。

今のテレビは、大河番組など大金を使ってこんな内容??というものですし、お笑い芸人が馬鹿笑いしている番組は瞬時でも目に触れたくないですし、刺激の強い趣向はそのもくろみにはまることがイヤですし、「最高」「可愛い」「ウソ〜」「マジ〜」「やばい」などが連発のレポートはレポーターの馬鹿が移りそうです。見れば見れほど人間がダメになるものが多いと思いませんか。

長々書くよりも、一度見てほしい。物事が分かる人に、「見て?」「見た?」と言いたくってこんなブログになりました。

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野口 智子 のぐち ともこ
ゆとり研究所所長・NPOスローライフ・ジャパン事務局
ゆとり研究所

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略歴

<野口智子(のぐちともこ)>
ゆとり研究所所長・NPOスローライフ・ジャパン事務局長
千葉市生まれ。東京でコピーライター、プランナーを経験。1977年静岡県に移り企画・編集プロダクション設立。
1992年ゆとり研究所を開きコンサルタント業務を開始。
ライフスタイルの提案、「一店逸品運動」による商店街の活性化、時間消費型観光おこし、人材育成などの分野で活動。
2000年からスローライフ運動を開始、2003年スローライフ・ジャパンを設立、現在、事務局長・副理事長。
2006年から活動拠点と自宅を東京へ。現在はスローツーリズムの提案、商品開発、地域観光の育成、都市と田舎の交流、移住・定住プロジェクト、“食”をテーマにしたまちおこし、などに力を入れている。住民参加の独自の楽しいワークショップが得意。
現在、地域力創造アドバイザー(総務省)、地域再生マネージャー(ふるさと財団)、国土審議会半島振興部会委員。