各地でオープンガーデンが盛んです。個人のお庭を一般に開放する活動。42軒が参加の長野県須坂市で、小林友子さん宅に伺いました。
秋で花は少ないものの、庭のあちこちにベンチや水の流れがあり、来客がゆっくりできるようになっています。特産のフルーツを使ったお茶も。
「私はとにかく人が好きなの」と小林さん。庭だけでなくオープンハート活動なのだと思いました。
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JR長野駅から長野電鉄で20分ほどで須坂駅。駅前には花壇があり、ここが花でまちづくりを進めていることを主張しています。

中でも目を引くのは「信州須坂オープンガーデン」の活動。市民と行政とが協働ですすめ、今年で15年目だそうです。
参加しているお庭はパンフレットにエリアごとに整理され、マップも詳細でこれなら個人でこのパンフレットを頼りに回れるなあ〜と思いました。

今回は一軒のお宅を見せていただくだけ、ゆっくり来るのはまた今度です。
うかがったのは一見純和風のお宅。ところがお庭は洋風なのでした。

うさちゃんの置物と「ウェルカム}の看板が。
ごめんくださいと入ると、このお庭の主、小林さんが「いらっしゃ〜い」と現れました。

細やかな説明が始まります。「ここのレンガも私がやったの。もとはこの庭は純和風だったんだから〜」
ビックリです!バラを中心としたイングリッシュガーデン風なのに。

「子育てが終わってね、一段落で何かしたくなったの。それまで庭なんて興味がなかったのに、たまたま本屋さんでガーデニングの本を見つけて。それから急に燃えちゃって」
庭石を配し、池があり、芝生の広がる日本庭園をどんどん変えていったのだそうです。

道に面しているので外を行く人も楽しめるように、バラはからまり、リンゴも実っています。

小林さんがいなくてもわかるように、植物にはほとんどすべて名札があります。
しかも庭を邪魔しない、グリーン。

バラをからませる垣根は、建築資材を活用したもの。
あれもこれも手づくり、見ているだけで庭造りのノウハウが分かります。

チョロチョロ音をさせて水が流れる装置が合ったり、まろやかに流れる水を眺める装置があったり。
ご主人も定年退職後、奥様のガーデニング熱に巻き込まれていったそうです。

ふと見るとテーブルと椅子がある、だから落ち着いて庭を楽しめます。

「お茶どうぞ〜」と小林さんの声。
フルーツのまち須坂のリンゴやブドウが、たっぷり入ったお茶です。きけば果物に熱湯をかけて一晩おくとか。果物の甘さと風味がでた独特の飲み物。
美味しくて3杯もいただきました。

「日本全国から来てくれるんです。年間?数えたことないけどバスで来る方もあるから2000人位かなあ」
そのいらした方々を写真に収め、コメントをつけてファイルにするのがご主人の役目。ファイルはここあるのはごく一部、膨大になります。

そんなに人が来て、普通ならプライバシーがないとなりますが、「私、人に会うのが好きなのよ〜」。海外の方もみえるそうです。やたらな観光施設よりずっと集客力のあるお庭ですね。
やることがあって、人に会い続けているお二人の若々しいこと。

我が庭と抱え込まないで、外の人を常に意識する、さらに我が町をいいところと思って帰って、また来てほしい・・・と語るこういった市民が育つこの仕掛けは、全国に広がるといいと思います。
庭を開けば心も開く、そしてまちも開けていくということです。
帰りがけに「ブドウをつまんで行ってよ」とご主人。いつまでも甘酸っぱいさわやかな味が残りました。