ホーム - 一店逸品運動のエントリ

ヘッダーナビゲーション

現在のカテゴリー位置

一店逸品運動 お元気歌声商店街 2012/02/05 8:55 pm

「おばちゃんストリート」を名乗る愛知県瀬戸市・末広町商店街では、中高年の女性が客層の中心なのに“何やらわからん今の曲”が聞こえているのはしっくりこない、とアーケード全体に流す曲を「唱歌」にしました。

毎日11時にはラジオ体操も流します。お客様はなつかしい歌を歌いながら歩き、寒さに縮こまっていた店主は外に出てお互い汗を流すようになりました。




“おばちゃん”をテーマに商店街活動をしている末広町のことは以前から書いていますが、これは本当にいいアイディアです。

商店街はもちろん、ホテル・旅館、個人店舗など物が売り買いされ、サービスが行われるところで意外に後回しにされるのが音です。音を流すという発想すらないところもあります。

別に選び抜いたこだわりの音楽でなくていいのですが、そこにいる人をどのような音で包んであげるのか意識していないところはダメという話です。

音楽などいらない、威勢のいい呼び声、シズル感ある音で演出、もあるでしょう。ホテルなどで朝、鳥の声を流しているのも一つの選択です。または静寂で包む選択もあります。

地方の商店街で経験するのは、年間同じ有線を流しているだけの無神経さ。クリスマスと年始はどこでも同じ季節物になりますが、他は商店街の現実とかけ離れた音楽の登場となります。

ほとんど人気のない高齢者が利用する商店街に流れる、にぎにぎしいヒットソングほど寒々しいものはありません。音楽とお客さまの現実と距離がありすぎる、そんな曲を平気で流している商店街はお客様に「来るな」と言っているようなものです。

末広町では店のおばちゃんたちが、お客のおばちゃんたちのために考えました。「音楽に敏感な商店街になろうといっても、そんなしょっちゅう音のこと考えてられないよね」「演歌だと趣味が出すぎるし」などなど話しているうちに、唱歌の有線メニューを誰かが探してきました。

「童謡なんかみんなで歌えるからいいよ」「ね、それならラジオ体操も流さない?朝の6時半は無理でも商店街で決まった時間に流せばみんなできるじゃない」というわけで、昨年10月からはじめています。

秋は「め〜かくしおにさんて〜のなるほうに♪」「かきねのかきねのまがりかど〜♪」「か〜ら〜す〜なぜなくの〜♪」なんて歌が流れていました。



お客様よりベンチが多いくらいのアーケード、音楽は写真に映りませんが流れる唱歌がガランとした商店街に一休みししていけばと雰囲気作りをしています。八百屋さんが「なつかしくていいね、お客さんと歌のことで話ができるもの」と語っていました。

先日うかがうと「きたかぜ〜こぞうのかんたろう〜♪」おばあちゃんと子どもが一緒に、歌いながら普通に歩きすぎます。「おうまのおやこはなかよしこよし〜♪」カートを押して歩いていたおばあちゃんは歌にあわせて「ぽっくりぽっくり」リズミカルに歩いているようです。





これならきっと末広町から戻ると、今日聞いた曲を家でもつい歌ってくれているはずです。よかったよかった。なにより商店街のおばちゃんが流れる音に気を使えるようになったことが進歩でしょう。

さあ、ラジオ体操の音楽が始まりました。これまたなつかしいラジオ体操第一です。店の中に引っ込んでいる店主や、店番のおばちゃん、買い物に来ていたおばちゃんも「はい、大きく胸を開いて、いち、に、さん、し!」



アーケードを見渡すとそこここで体操中。歩きながら首や肩をまわしている買い物おばちゃんたちも。体操が終わるとああ、すっきり。みんなに一体感が育ち、身体も温まり、いい感じになりました。




これ、いいですよ。全くお金のかからない商店街活性化手法、おばちゃんの知恵です。

下の写真は「おばちゃんストリート」で売り出した、おばちゃんハンカチタオル。

このエントリーの情報

一店逸品運動 地方のまちのいいお店 2011/10/23 5:12 pm

商店街の活性化などを仕事にしていると、地方のまちでへえ〜と感心する店に出会います。少ない人口の中で、工夫して、主張を持ち、商いをしている。よくやっているなあと、こちらが勉強に。

要は、東京と同じ賑わいの連続を求めるから、さびれてると思うわけで、ポツンポツンとでもいい店があればそれで良し、とすることが大切なのではと思います。例えば、栃木県足利の場合・・。







「花にかこまれてGarden Cafe 南の麦」という長い名前のお店。住宅街の駐車場で手作りパンを売っていて、そこから坂道を上がるとお店。道には花の苗の販売も。



花が大好きな家族がやっているとのこと、普通のおうちの庭がだんだんガーデンカフェになってしまったんでしょう。スキのないガーデニングとホテル並みの完璧な接客、そうした緊張感をのぞむなら他のお店に行きましょう。




ここは花の好きな小粋なおじさま家族の、ライフスタイルに混ぜてもらうという店です。のんびりとゆるい日差しを楽しみながら、花を眺めてオムレツを食べる。パンはお土産に。






花の種類の選択に知性を感じます。家族のアットホームな雰囲気と、自然体の花壇、風が気持を柔らかに。「ああ、花に囲まれる時間っていいなあ」と思えるお店です。









「やきそば一(いち)」は村山機工という看板の下に寄り添ってあります。うかがったのはまだ暑い秋の初め、お店に入ろうとすると日よけの黒い寒冷紗の先からひんやりミストが。村山さんは機械関係の仕事もしているので、こんな工夫は簡単なのです。







昔近所にあったようなやきそばだけのお店。子どもが小銭を持って走りこめる感じ。店内には既にお客さんではない子供たちがニコニコ。勉強机でドリルをしていたり、折り紙をしていたり。

村山さんと弟さん家族の子がいつもこうしているので、子どものいない家族や、一人暮らしでさみしいお年寄りにはたまらない温かな環境でしょう。





メニューを見て驚き!あまりの安さ。子どもやお年寄りに来てもらい、ゆっくりしてもらう“場”を作りたかったとのこと。だから、少しだけ食べたい人用メニューもあるわけです。とはいえ結構な量ででてきますが・・。




「ああ、子どもがコロコロいる、本音の話ができるところで一休みしたなあ」と思えるお店です。
















「コバラ ベーグル」では、昔、自衛隊にいたお兄ちゃんが、一大決意でベーグルを焼いています。写真でわかるかどうか?こだわっています。

「栃木県のイチゴから作る天然酵母使用」「栃木県の地小麦を使用」「地元の名水を使用」「生活習慣病予防士の視点で」と看板に書いて胸を張っています。

小さなお店でしたが、このたびリニューアル。もと美容院だったお店を、ひたすら自分と仲間で美しく塗りなおしベーグルショップへ。




ここは、『元祖足利名物ポテト入りやきそバーガー』という変てこな(でもおいしい)ご当地グルメも誕生させています。ここのベーグルを求めて足利にやってくる人も。





「ああ、こういう地方のまちでこんなこだわりでベーグル焼いてる店があるんだあ」と思えるお店です。








ほら、ね、どれもが、東京の名店などといわれるお店にはない、違う「ものさし」でやっている立派な店でしょう!

いいお店が連続してあれば、商店街として人も集まるのでしょう。が、大型店に圧倒された地方のまちでは、ハードとして、名店が軒並み続く環境はいまや造れません。

従って、大型店や東京とは違う座標軸で勝負する、今回ご紹介のようなお店が育ち成立していきました。この3軒をもし既存の商店街に押し込めたら、個性はなくなってしまうのです。

こうした地方の点在するいいお店を、地元住民が強烈に指示し愛することで、○○銀座というような昔の商店街式の賑わいとは違う、“活性化”がありうるのではと思うのですが。


このエントリーの情報

一店逸品運動 避難交流 2011/06/19 4:52 pm

今回の震災で避難している人と、受け入れ地とで、様々な交流が起きています。栃木県足利市でその一例に触れました。

まちおこしをしている商店主達が、被災者を訪ねた際、新聞で作るエコバックの作り方を伝えました。何かしたいと思っていた被災者はセッセと作り始めました。

商店街では自立支援になるならと、これを売り始めました。福島の人と足利の人が、支え合い繋がっています。






















足利市では店が何か一品、いいものを作り出す「一店逸品運動」をここ数年続けています。その延長で、昨年は空き店舗をみんなの活動拠点となる店にしました。

その「あしかが逸品堂」で、学びの体験としてこれまでも古新聞とスティック糊があれば出来る「新聞エコバック作り教室」などをしていました。

福島からの被災者に向けて、炊き出しや慰問などしている中で、避難しているだけで手持ち無沙汰の方々に何か役に立てばと新聞エコバックの作り方を教えた、ということがきっかけになりました。

名付けて「被災者支援・新聞紙エコバック販売プロジェクト」、今の避難所を離れてからも、作って送ってくだされば一袋300円で売り、全額をお渡ししますという仕組み。

今では、福島の新聞を取り寄せて作った、工夫に満ちた作品が出てきているとのことです。





一報、避難してきた人のなかに、イラストが得意の青年がいました。避難所でモクモクとイラストを描く彼の存在をボランティアの人が発見。「あしかが逸品堂」で、彼の作品展の開催となりました。

福島第一原発から20キロ圏内にある福島県楢葉町から避難しているイラストレーター・高橋啓介さん。彼は「お世話になっている足利の地に恩返し」と、足利市内の観光ポイントなどを彼独特のタッチで描き、作品としました。

その作品も自立支援のためにポストカードになり、「あしかが逸品堂」で売られています。

花の名所「足利フラワーパーク」には、5月にはすばらしい藤の花が咲き、観光客を呼びます。この藤の花にちなんだ作品には「上を向いて歩けるように。だからこの花が咲く。」とありました。

福島から避難してきた人々と、受け入れた足利の人たち、こんなことがなかったら出会うこともなかったでしょう。マイナスを少しでもプラスにするために、みんなが知恵と力を出しています。

この間のことは、「あしかが逸品堂ブログ」で詳しくわかります。
http://blog.ashikaga-ippin.com/


このエントリーの情報

一店逸品運動 ふなずしパイ 2011/03/27 2:40 pm

滋賀県守山市。かつて商店街を元気にするために一店逸品運動をすすめていたとき、ここの名物・鮒寿司を使ってお菓子ができないかとみんなで考えました。

研究会メンバーのお菓子屋さんが、あの強烈な臭いと戦いながら失敗を重ねて「ふなずしパイ」ができあがりました。

先日10年ぶりに守山へうかがうと、パイは今も健在、すっかり守山の名物として根付いていました。




10年ぶりの守山の皆さんとは、まるで同窓会のような雰囲気の再開です。「全国一店逸品サミット」までやった人達が、なんとなく一段落し、というか多少サミットで力尽き、3年続いた一店逸品運動は消えてしまいました。

しかし、みんなが言うには「あの一店逸品運動があったからこそ、それが根っこになって・・・」の活動が、さまざま花開いていました。

商店街を100円ショップのように使う「100円商店街」、商店でカルチャースクールのような催しをやる「街ゼミ」、おつまみと飲み物を味わいながら何軒もの飲み屋さんを安く回る催し「バル」。

オリジナルの発想ではありませんが、他所の事例を上手にこなしています。蠅澆蕕い發蠅笋泯横韻箸いΔ泙舛鼎り会社もできていました。http://miraimoriyama21.shiga-saku.net/

運動とは力や筋力をつけることですから、何も同じことを続けなくていいのです。だから、一店逸品運動がそっくりそのまま続かなくても、その運動が元肥になって違う花が咲けばそれでいいじゃないですか。今回あらためてその話しました。

その席で、思い出の「ふなずしパイ」が配られたわけです。「きゃ〜、ちゃんとまだ作ってるの?売っているの?偉い偉い!」と叫んだ私です。宴会の席で、作っているお菓子屋さん(有)モンレーブのご主人がしみじみとスピーチされました。



「鮒寿司を使ってお菓子ができないか?と、案が出てきたときには驚きました。試作すると、工場も機械もみんな鮒寿司の臭いがついてしまって、無理ですとあきらめたことがありましたね」

確かにそうでした。商店街のみんなで新しい逸品を作ろうと、多少無責任にアイディアを出すのですが、実際に取り組む方は大変です。鮒寿司は、今でこそ私の大好物の一つですが、あれだけは食べられないという人が極めて多い食品。私も初めてこの守山でいただいたときは、相当臭いブルーチーズをさらに生臭くしたような臭いに驚いたものです。

守山では自作の2年もの3年ものというのを仕込んでいる人も居て、遠来の大事な客が来ると出す習慣があります。日本でも横綱級のスローフード。乳酸菌の力で健康に良いとされ、風邪のひき始めには鮒寿司一切れに熱いお茶をかけてすすれば、体がポッポして治るともいわれます。

そんなにいいものなら、みんなが食べられるように。鮒寿司入門として、チーズパイみたいにできないか?と思ったわけです。モンレーブさんは結局、「そう言わずに、何とかやってみてよ。世界初!だよ」などと励まされ、作り出すことになります。



できた当時は、細いパイ生地をひねった形状でした。今回いただくと、魚の形にできています。「このパイは今はうちの店の稼ぎ頭です。皆さんに、守山のお土産に使っていただいています」とのこと。

胸にジ〜ンときました。世界初のへんてこなものが定着するまで、ずいぶん苦労があったはずです。みんなも支えたのでしょう。10年もの?の「ふなずしパイ」は、できた当時よりもずっと逸品にいい味を出しています。

こうした品物が残り、育っているなら、一店逸品運動のセカンドステージにもチャレンジできますよ。さ、やりますか、守山のみなさん。

今、無事な土地で生きている人が、とにかく元気になって、被災地にまでドクドクと活力を送らなくては。自粛している場合じゃないよ、ニッポン。

このエントリーの情報

一店逸品運動 トイレの神様 2011/03/07 12:01 pm























「トイレの神様」は昨年ヒットした曲の名ですが、山梨県富士吉田でそれを見つけました。ここでは新築・増築の際、櫛・かんざし・リボン・白粉・紅などを土に埋めトイレの女神様にお供えします。

お供え物はセットになっていて、セットそのものもいつしかトイレの神様と呼ぶようになったとか。「そう売れる物じゃないけど、どこかで売っていなくちゃね」と、小さな雑貨屋さんが今も作っています。

2月22日号「スローライフ瓦版」の富山県高岡市「たかおか屋から」のコーナーにも、トイレの神様が載っていました。
http://www.takaokaya.jp/news/2011/02/17-183850.phpこちらはまた迫力あるお姿でした。

地域によって、トイレの神様の姿や信仰はさまざまなようです。富士吉田のようなものは逆に珍しいのかも・・・。

最初に知ったのは2年前のこと。商店街活性化の仕事で「一店逸品」運動をやろうと研究会に通っている時、「松島屋」さん(化粧品・雑貨屋さん)の奥さんが「うちは仕入れて売る商売なので、逸品などはなかなか考えられないけれど‘トイレの神様’がありますよ」ということからでした。

何?それ?とびっくりしました。が説明をうかがって、「それは逸品!それこそ逸品!」と私は絶賛してしまいました。

松島屋さんでは大正時代から売っているそうで、かつては建築の際に欠かせないものだったとか。トイレが造られる辺りの基礎、地中に埋めるのだそうです。昔は水洗ではありませんから、まさに穴に埋めたわけです。

最近になってハウジングメーカーによる住宅が増えると、神様の出番は少なくなったのですが、今でも、個人業者の方はこの風習を守り、浄化槽近くに埋めたりするそうです。

松島屋さんの本店は荒物屋さん、建築関係の方の出入りも多いのですが、神様だけは奥さん担当の女性雑貨のお店の方で扱うようになりました。



確かに毎日売れるものではありません。しかし、彼女がおっしゃるように「どこかで売っていなくちゃ」というものが、地方の商店街、個人商店にはあるものです。

消えものなので、そうそう頑強なものでは困る。でも一応形はなくては。ここでは、奥さんと義理ののお姉さんとおばあちゃんと、3人の女性でこの神様を作っているのだとか。

白粉は小さなビニールに入り、紅は本当の口紅が盃にちょこっと。折り紙で折ったお姫様も。「リボンはおばあちゃんの担当。私たちじゃこうしてふっくら結べるないの」と奥さん。3人がおしゃべりしながら神様を作っている姿が目に浮かびます。

この手作り「トイレの神様」は750円。歌のヒットで、探し当てて買いに来る人もあるとか。



先日、この松島屋の奥さんから手紙が届きました。「手紙など書くのは何年ぶりでしょうか。・・・「トイレの神様」を扱っていること、新聞にこんなに大きくとりあげていただきました。嬉しすぎて、早く野口先生にお礼状を出さなければと・・・」

奥さんからの手紙には、地元新聞の「ヒット曲と同名、儀式セット90年前から販売」の大きな記事が同封されていました。

「これを機会に冨士吉田に沢山の方が訪れていただけたらと、トイレの神様の商品と一緒に富士吉田のカタログを手渡しながらがんばっている毎日です」

無欲の勝利といいましょうか、トイレの神様がきっと応援してくれたのでしょう。松島屋さん、良かったね。


↓写真左が奥さんの荒井一代さん、右は夫のお姉さん。

このエントリーの情報

一店逸品運動 「あしかが逸品堂」オープン 2010/11/28 8:51 pm




栃木県足利市の「一店逸品運動」のお世話をして、もう4年になります。先日空き店舗を借りて、皆の店「逸品堂」ができました。

逸品を売るだけでなく、店主が先生になって体験スクールなどをやる、「学び」のスペースとメニューを用意したことが特色です。

日本最古の学校「足利学校」のある地の「学び」がテーマの逸品運動。皆の店の開店で、関る店主たちも学ぶこと大です。

土地の人だけで活動ができて、コンサルタントなどなるべく早くいらなくなるのが正解、と私は思います。従って、最初の頃より足利へ伺う回数は減っていますが、逸品運動の活動は確実に育ってきました。


そして、今年は新逸品の開発や、商店街を歩き・学びイベント「夕涼みウォーク」に加え、ついにこの秋、10月30日に「あしかが逸品堂」という店まで開店させました。

「あしかが一店逸品の会」に参加の店主の皆さんは、さぞかし忙しかったと思います。

どこの土地でも私が逸品運動をやる時は、ワークショップから始めます。皆が話し、アイディアを出し、整理し、試作し、実行し、と、かなり皆、時間と手間をかけて苦労もします。








逸品運動は品物を作るだけではなく、その真髄は人が逸品になってっていくことだと思うからです。そういう意味では、今回の開店はお見事!と、私は心から拍手を送りました。

昨年の秋、逸品を集めて店を作った先輩の地、富山県高岡市の「たかおか屋」を訪ねました。このときは「店など、出せたらいいねえ〜」くらいのイメージで、視察交流していたものです。



(富山県高岡市の「たかおか屋」を訪ねて)







それが今年、夏あたりから話がトントン進みました。店のコンセプトは「食べる、買う、学ぶ」、と決まったのは7月頃の話です。


3つの店が長屋のようになったところを借りて、皆でリニューアルしました。逸品会には建材屋さん、建具屋さん、画家としても活躍するCD屋さんなどがいます。







店はたちまち美しくなりました。各人、自分の店の閉店後に集まり、ペンキを塗ったりもしました。と言っても、私は参加もせずに、がんばれとエールを送り、試食に行った程度。

皆がこれまでに培った‘ものさし’で、それぞれを判断し、具体化していったのだと思います。

ベーグル屋さんとアンコのおいしい今川焼き屋さん、そこに地元の牛乳が加わって、ベーグル生地でコーンを焼いた「アンコ入りベーグルソフトクリーム」が登場。

(ベーグルソフトの試食会で)



足利を代表するソース屋さんが手ほどきをし、足利名物のジャガイモ入りの焼きソバ「ポテト焼きソバ」も。

逸品会で知り合った、ソースカツ丼を出す料亭とおいしいパン屋さんがコラボして、「ソースカツバーガー」もできました。





自分の店はブティックなのだけれど、ここではエコ鉛筆なんてアイディア商品を置いてみる。店では箱売りのお菓子を、ここではバラで売る。自分のお店ではあまり売れない帽子が、ここだと売れる。など、さまざまな実験や発見が起きています。









そして、「あしかが一店逸品の会」会員の店主が先生で開くスクールは「手づくりストラップのレーザー加工」「新聞エコバック作り」「手作りアート」「木工教室」「ワインスクール」「ベーグル作り」などなど。土・日中心に開催です。



商店街はどこも大変です。でも、逸品運動などで、さまざまな業種の個店が出会い、力をあわせて何かをやることの楽しさを知ったとき、パワーは足し算よりも、掛け算的に膨らみます。そう実感した開店でした。





「あしかが逸品堂」、さあ、これからが勝負。皆さまどうぞ、ごひいきに。

このエントリーの情報

一店逸品運動 にっぽん商店街シンポジウム 2010/10/03 3:29 pm

‘商店街の活性化’に私がかかわって、何年になるでしょうか。最初は1994年、静岡市・呉服町名店街。当時は静岡在住で、自分の街を何とかしようと夢中でいろいろ試みたものです。「一店逸品運動」はそこから生まれました。それから10数年が経ち、果たして日本の商店街は良くなったのでしょうか?検証の意味も込めて、シンポジウムが開かれます。 http://www.shotengai-sympo.jp/

呉服町での「一店逸品運動」は今でも続いていて、頭が下がりますが最初の出発はこんなことでした。商店街の方々の会合に出るとたいてい「ため息」からのスタートです。売上げがない、大規模店にはかなわない、駐車場がない、後継者がいない、‘ないない’尽くしで、一番ないのが笑顔です。

呉服町名店街の会合もそうでした。腕組みして、タバコをふかして、おじさんたちが深いため息。そこに加わった商店街ではない立場の私には、何でため息なのか不思議でした。立地もいいし、いいお店がたくさんあって、いいモノを売っているのに、大好きな商店街なのに、もっとニコニコしてよ!という気持ちでした。

最初は、商店街のロゴやテーマカラーなどを決めるコンセプト探しの会合だったのですが、だんだん方向を変えていきました。だって、立派なロゴができたところで、お店の人が立派でなかったらどうしようもありません。で、とにかくワークショップです。

お互いの店のいいモノいいコトを総ざらいして出してみる。商店街のいいところ・悪いところを探す。今後、何を目指すのか、どんな要素が必要なのか皆で考える。さまざまなことをやりました。

会合のたびに各人、これはいいモノだ、いいコトだと気づいたモノの現物や話を持ち寄ります。他の土地で見てきたコト、愛用の品物など、おみやげの物と話で盛り上がりました。

こんな時間を過ごしていくと、わが商店街には結構いろいろ特色やいいモノがあるじゃないか、というのが見えてきます。「うちは何も特色がない」と言っている店に、数十年変わらない定番の餡ドーナツがあったり。毎週花を活けてその説明を横に書くとか、傘の修理や包丁研ぎをしてくれたりとか。その店にとっては「あたりまえにやっているだけだから」ということが、実はすごいこと、というのがだんだんわ
かってきました。

それまで情報発信といえば、10%割引とか、金魚すくいと歌手が来るイベントありますとか、価格とイベント訴求でした。商店街の各お店の底力というか、自慢というか、そんなことを一同に伝えたことはありませんでした。

ひとつひとつは小さなことでも、繋がればネックレスのよう
にキラめきます。各お店のすぐれたモノ・コトをお店の前にフラッグにして目立たせ、ポップにして出し、全部を集めて保存版カタログにして印刷する、ということをやりました。「逸品フェア」「逸品カタログ」の誕生です。

あわせて、皆で考えた新しい逸品「新逸品」もデビューさせました。自分の店のこととなると、真剣で気持ちが重くなるのですが、他の店に「こんなの作ってよ」というのは気が楽です。

新しいパンを作るアイディアをみんなが考えてきたり、そのパンの名を各店の従業員・家族までが参加して考えてきて、たくさんの名前の中から投票で決めたり。他店の商品開発を皆が共有しながら、学習です。こうしているうちにつながりも濃くなり、何時しか会議にも笑顔があふれるようになったのを覚えています。

「一店逸品運動」というのはモノやサービスの開発と思われがちですが、最終的にはそれを通してお店の人が逸品になっていくことだと私は思っています。してがって、静岡・呉服町名店街の成功を聞いて視察して、カタログだけを作っても失敗に終わります。人が変わらなければ、店も、商店街も、街も変わらないからです。

静岡のあと、富山県高岡、新潟県加茂、宮城県鳴子温泉、山梨県富士吉田、栃木県足利、愛知県瀬戸と、もっともっと各地にうかがってきましたが、その地その地の逸品運動を咲かせているように思います。

長い話になりました。10月21日(金)〜23日(日)名古屋で「にっぽん商店街シンポジウムin愛知・名古屋」が開かれます。私もうかがいます。今日のブログはシンポジウムでの発言の予習みたいになりましたね。

分科会や販売もあります。そしてなにより全国の商店街の皆さんが、直に交流することが何より楽しみです。皆さん、名古屋にお越しください。そして、私を見つけたら声をかけてくださいね。(和服のオバサンを探してください。)

このエントリーの情報

一店逸品運動 地元で愛されないもの 2010/09/12 5:03 pm

ことばは続きます。「地元で愛されないものが、来訪された方々に受け入られるはずがない!」山梨県富士吉田市での商店街逸品運動のカタログに掲げられたコピー。

これを商店主たちが考え決めたとき、アッパレと思いました。話題をつくるために奇をてらった逸品デビューが多い中、こんな‘憲法’を掲げた逸品運動はブレません。「富士山逸品」の開発が今年も進んでいます。





富士吉田に通ってもう何年になるでしょうか?まちづくりのワークショップや、着地型旅行商品の開発プロジェクトなど、様々な仕事で富士山の麓へ通っててきました。一店逸品運動は3年目。「富士山逸品」の名で、少しずつ運動が定着しつつあります。

商店街は何処も同じシャッター街。富士山を目指す観光客は多く、今年も例年を上回る登山客があったにもかかわらず、街にはお金は落ちません。商店の人たちは、まちの住民よりも、観光客めがけて何か変わったものを作り、土産物屋で売りたくなります。

それも一つの道ですが、それだけに走るとそもそもの商売が揺らいだりしてきます。逸品作りでは、特に観光地では、誰に向けて作るのか?がいつも問題になるものです。紹介したコピーは、ウンウン悩んだ逸品会のメンバーがたどり着いた結論。

コピーはさらに続いています。「富士山逸品とは・・・|聾犠ε垢箸靴董富士山の環境に優しい取り組みを実践しているものであること。◆読抻了海侶辰漾任魍茲し、安全で安心して利用できるものであること。お客様から支持され、富士山のように日本一を目指すものであること」ことばは素人っぽいですが、気持ちが伝わってきます。



こんなメッセージを書いた、逸品のカタログ作りが今年も始まりました。自分の店の逸品は何か考え、披露する会議にはいろいろ持ち込まれます。富士山の伏流水を使った焼酎・金粉入り。富士山の絵が描かれた笠をかぶった手びねり地蔵。




富士ヒノキを使った組み立て式の風呂桶。他のグループが作った、地元の織物のハギレ使用の富士山型巾着は参考商品として。これは富士山に捧げる吉田の火祭りの際に出た炭を詰めて火除けのお守り兼、防臭袋になっています。

まだまだ未熟な逸品かも知れません。が、みんなが頭を寄せて考えているうちに、まずはそのみんながその商品を愛するようになります。他の店のものでも、解説できるようになります。「俺も使ってるけどね。あの店のあれはいいよ」と、お互いが薦められるようになれば一歩前進でしょう。

まずは、地元で愛されないものはダメ。逆に、地元で愛されれば、外の人にも愛されるというものです。

名物「吉田のうどん」は、地元の人が愛してやまないもの。今や、うどんめがけて観光客が来るようになりました。今回食べたのは、太いキンピラ入り。定番の馬肉・キャベツ・ニンジンも入って、辛味もたっぷり入れて。ご馳走様〜。

このエントリーの情報

一店逸品運動 ‘買う’より‘学ぶ’商店街ウォーク 2010/08/07 6:21 pm





















栃木県足利市の中心商店街で、夕涼みがてらお店を巡り、物を買うのではなく何かを学ぶ「逸品・夕涼みウォーク」がありました。






果物屋さんで梨「幸水」について学び、ワイン屋さんでは「ワインの発祥」について、帽子屋さんでは「自分の顔型にあう帽子」について学ぶ。歩き訪ねるほどに賢くなる企画。さすが日本最古の学校「足利学校」が残るまち、足利は学べる商店街なのでした。





今、全国の商店街で、お店巡りがブームですが、足利でのこの催しは今年で3回目になります。7月30日(金)足利商工会議所の「友愛ホール」に、「足利一店逸品の会」に参加するお店の逸品がずらりならびました。






体験コーナーでは建具屋さんが、組み木で作るペン立て工作を指導。お年寄りから子どもまで、檜やヒバの木の香を楽しみながら、ペン立て作りに夢中。

足利と友好のある富山県高岡市の「スローライフ逸品研究会」が運営するお店「たかおか屋」が、大きな七夕を作るということで、短冊書きも。



はるか日本海側の商店街に飾る七夕、浴衣姿のお嬢さんが、「高岡ってどこだろう?」なんていいながら書いています。

ステージでは、地元ハーモニカグループが演奏。柔らかいなつかしい音色が気持ちを丸くしてくれます。

そしてすっかり陽が落ちて、夕涼み時間になると、いよいよウォークの開始。先ずは、皆で打ち水してまちを涼しくしてからの出発。






瓦煎餅の老舗では、かわいい団扇型のお菓子を麦茶をいただきながら、横丁の歴史から足利で出土した古代瓦のお話。質問や感想が次々出ます。何軒も回っているうちに参加者皆が仲良しになっていきます。


商店街で買い物をするのではなくさまざま学び、おしゃべりしながら歩く。いつもの商店街が“学びの装置”になりました。





どこのお店でももっともっとゆっくり聞きたいほどの濃い内容、お店のご主人というのは博学です。大型店ではこうはいかないなあ、とつくづく思ったのでした。

こういう催しが、各地で毎月でもあったなら、全国の商店街は地域観光や生涯学習の目玉になっていくのではないでしょうか。

このエントリーの情報

一店逸品運動 おばちゃんストリート 2010/07/25 9:15 am









愛知県瀬戸市・末広町商店街に、一店逸品運動のアドバイスに通っています。ここでは今年春先から「おばちゃんストリート」と名乗り、「おばちゃん逸品」をクローズアップしています。


逸品といっても大げさなものではありません。「お茶、50グラムからはかります」なんて、昔からあたりまえにやってきたこと、でも大型店はしないことを目立たせました。おばちゃんたちが喜んでいます。


1年前、一店逸品運動をやろうと集まったのは、商店街のおかみさんたちでした。何か運動のコンセプトをと考えたとき、この商店街は中高年の女性のお客様が多いことに気づきました。




もちろん自分たちも同じ立場。それなら主人公は‘おばちゃん’だ。ということになりました。‘おばちゃんが待っている、おばちゃん逸品が揃っている、おばちゃんのための商店街’そんな‘おばちゃんストリート’といいはじめました。



ここまで決まっても、急におばちゃん向けの新しい逸品などは開発できません。でも、何も新しく考えなくとも、今既に結構自慢できるもの・ことがあるんじゃない?ということになりました。




冒頭に紹介したお茶屋さんのように、「一人暮らしのおばちゃんはお茶をちょっとだけ買いたいのだから、うちでは50グラムからはかりますよ。それって当たり前だと思ってやってきたけど・・・」というようなことがここにはたくさんあるのでした。




「キュウリ・玉ネギ1個から買えます」「のり巻きの細巻き1本から買えます」「お刺身その場で、3切れでも、ほしいだけ切ります」「夏のサンダル汗で痛んだ中敷交換します」


「学生服、成長に合わせて袖だしします」「眉毛10分で整えます」「写経のセットあります」「枕用の蕎麦ガラあります」「かわいい祝儀袋一杯あります」「サイズ5Lまであります」「90歳のおばあちゃんが作った腕カバーです」などなど。


一つ一つはたいしたことではないのですが、どれも‘節約しながらも、前向きに生きたい’志向の、今のおばちゃんたちの心をグッとつかむものばかりです。




それらを手描きのマップにしたら、お客様のおばちゃんたちが喜びました。トイレやベンチの場所もわかります。入ったことのない店の特色もわかりました。

マップは、電気屋さんと喫茶店の若めのおばちゃんが絵や文字を担当しました。他のお店のおばちゃんは走り回って情報を集め、校正しました。全く手描きでコピーするだけのマップなので、直しは簡単。もう3回もリニューアルしています。

マップに載せたのと同じ内容を、各店がポップに書き出しました。おばちゃんキャラクターが笑っている、共通ポップ用紙にお店のおばちゃんが自力で描きます。


各店の工夫と個性が光り、それぞれながめて回るとおもしろいです。ポップがずらっと並んだだけで、何だか商店街がにぎにぎしくなりました。マップとあわせて、ポップももう3回も作っています。


ご主人と一緒にポップ描きを楽しむおばちゃん、息子のお嫁さんがこんなに上手に描いてくれたと自慢するおばちゃん。それを見て、また立ち話するお客様のおばちゃんたち。




何にもお金をかけていない、素人作品のマップとポップで、お店のおばちゃんもお客様のおばちゃんも、何だか楽しくなっています。




さて、この夏からは、‘おばちゃん新逸品’など、開発してみましょうか?マップの裏は寄せ書きの‘おばちゃん瓦版’にしましょう。瀬戸市・末広町商店街、ますます、楽しくなるおばちゃんストリートです。



このエントリーの情報

ページナビゲーション

« 1 (2) 3 »

最新ブログエントリ

篠山時間を振り返り(2019/03/18)
雲部のもてなし(2019/03/11)
湯沢の食(2019/03/04)
黒糖作り(2019/02/25)
湯沢の雪(2019/02/18)
クエを食え(2019/02/11)
味噌家族(2019/02/03)
「むらフェス」開催(2019/01/27)
チェーンソーアート(2019/01/21)
凍み餅(2019/01/14)
ホームへ

最近のブログのコメント

ブログ カレンダー

« « 2019 3月 » »
24 25 26 27 28 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 1 2 3 4 5 6

写真でみるゆとりある記

恵比寿ファーマーズマーケット
和歌山県広川町
写真元年
ロケットストーブ

連絡先

野口 智子 のぐち ともこ
ゆとり研究所所長・NPOスローライフ・ジャパン事務局
ゆとり研究所

TEL 090-7433−1741
E-Mail yutori@noguchi-tomoko.com

NPOスローライフ・ジャパン
〒160-0002 東京都新宿区四谷坂町9−4 リカビル301
TEL 03-5312-4141 FAX 03-5312-4554
E-Mail slowlifej@nifty.com


略歴

<野口智子(のぐちともこ)>
ゆとり研究所所長・NPOスローライフ・ジャパン事務局長
千葉市生まれ。東京でコピーライター、プランナーを経験。1977年静岡県に移り企画・編集プロダクション設立。
1992年ゆとり研究所を開きコンサルタント業務を開始。
ライフスタイルの提案、「一店逸品運動」による商店街の活性化、時間消費型観光おこし、人材育成などの分野で活動。
2000年からスローライフ運動を開始、2003年スローライフ・ジャパンを設立、現在、事務局長・副理事長。
2006年から活動拠点と自宅を東京へ。現在はスローツーリズムの提案、商品開発、地域観光の育成、都市と田舎の交流、移住・定住プロジェクト、“食”をテーマにしたまちおこし、などに力を入れている。住民参加の独自の楽しいワークショップが得意。
現在、地域力創造アドバイザー(総務省)、地域再生マネージャー(ふるさと財団)、国土審議会半島振興部会委員。