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ちょっとしたこと ものがたり 2017/12/11 1:45 pm

各地へ行くたびに、その土地ならではのいい物を見つけます。その「良さ」には、地域の歴史や風土、開発の苦労、地元の愛着なども含まれているものです。

それが東京のアンテナショップに並ぶと消えてしまいがち、説明書も説明者もなく、ただ棚に並ぶと「美味しいまずい」「高い安い」だけの評価になる。

物についてもっと語りたい、「ものがたり」つきのお店をやりたいなあ〜。
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気にとまったいいものは、スローライフ・ジャパンのメルマガ「スローライフ瓦版」でも毎回「逸村逸品」コーナーでご紹介しています。担当が一生懸命に書いてくれていますが、実は書ききれない、話足りないことが山ほどあるものばかりです。

例えば、奈良県十津川村の「柚餅子」。よくある甘いお菓子ではなく、柚子の中に味噌を詰めた珍味です。村のなかでも作り方や味が少しずつ違ういます。

私の通う谷瀬集落では、鰹節、椎茸粉、唐辛子などいろいろを味噌に混ぜて、実を出した柚子の中に詰めて、蒸し、2カ月ほど寒風にさらします。

できあがると柚子の皮と味噌が一体化して、茶色い羊かんのよう。でも塩辛く、味噌の旨味と柚子の風味で他にない逸品になります。

集落の人が集まってまるでお祭りのように作り上げる手作り品。谷瀬では「ゆうべし」と呼びます。かつては修験道のひとが、保存食として持ち歩いたとか。お茶漬けにもピッタリです。あまり量ができないので、貴重品。

と、このくらいは説明したくなる。さらには谷瀬の吊り橋も、谷瀬の「ゆっくり散歩道」も、移住者の方の「吊り橋結婚式」の話、日本一長いバス路線の話、までしたくなるわけです。

先日行った北海道美唄市の「やきそば」はビニールに入ったまま、そのままかぶりつくというおもしろいもの。

寒い中で生のおソバ?で消化に悪いのでは?なんて考えるのは野暮。ガブリと食べるとソース味で実に美味しいのです。味のアクセントとして紅ショウガも付いています。

かつては炭鉱町だった地、はらぺこの炭鉱夫さんが汚れた手を洗わずに即空腹を満たせるという物だったとか。一度は絶えたのですが復活され、学生たちのおやつとして、ソウルフードとして支持されています。

炭鉱のまちらしい黒い焼きそば、塩味やきそばもあります。昔はラベルがホチキスで止めてあったのですが、今は危ないので使っていません。でも印刷でホチキス止めが表現されている、それが笑えます。

ビックリお土産にお勧め、食べてみると癖になる美味しさです。美唄にはほかにも、鶏めしや焼き鳥など、開墾の歴史にまつわる地元の味があります。

そんなことも話したいし、何より世界に誇る野外彫刻美術館「アルテピアッツァ」についても語りたい。「やきそば」から始まって、1時間は話せますね。

岩手県遠野市の「だれがどすた」は、昔話を創作できる積木。「だれが」「どこで」「なにを」「どうした」を、積み木を動かすことで組み合わせがいろいろ。想像力を膨らませて、ストーリーを作ります。

これはもともと木の絵本を作ろうとしていた地元の女性たちが、サイコロのような木を絵本にしたら?と思いついて作ったもの。

レーザーで焼いて絵や文字をつけますが、オリジナルでお孫さんの名を入れるとか、自分の土地の名前を入れるなどのオーダーもできます。今では英語バージョンも人気、遊ぶだけでなく飾っていても楽しいもの。

もともと遠野は民話の里、だからこその品物なのかもしれません。方言をそのまま商品名にしているのがなんともほっこりしますね。

秋田県鹿角市の「きりたんぽ」。鹿角は発祥の地です、かつてずいぶん通いました。今でこそ、大きなスーパーなどに行けば真空パックのきりたんぽがありますが、やはりどうしても乾燥している感じがします。

それだけ現地のできたては美味しいのです。中心街にきりたんぽを作っている小さな工場があって、ここでできたてを買うことができる。これを覚えると冬場は毎年お取り寄せできりたんぽパーティーをしたくなるわけです。

鶏のスープに多少甘辛い味、芹とゴボウ、マイタケは必ず、が私のやり方。お肉などはあまり入れたくない、メインはきりたんぽなのですから。

薄く切って油で揚げるきりたんぽチップスも美味しい。実はシチューに入れても、カレーに入れてもいい。ご飯ですから、それだけでもう一食になります。

そもそもきりたんぽとマタギの話、なぜたんぽというか、などなど話は尽きません。

長野県飯山市の「亀と鶴のストラップ」。名前はそっけないですが、実によくできているわら細工です。

飯山は米どころ、そして豪雪の地でもあります。なので、雪に埋もれる期間は昔から藁で生活用品を作って来た。今はその技術を活かして、こういう物を、というわけです。

ストラップといっても使い方はいろいろです。日本酒やワインの瓶の首にかけてプレゼントすればおめでたい贈り物に。テーブルで出してもお正月など素敵です。

いくつか用意しておいて、いざというときにご祝儀などに添えるのも粋です。特に外国人の方への贈り物にお勧め。日本の米文化、鶴亀の風習、いろいろなことが伝えられます。

地域おこしや観光おこしに熱心な飯山市、新幹線ですぐ行ける深山、豪雪地です。田植えの時期の棚田、黄金色の棚田、美味しいお米、お酒、そんな話も山盛にしたくなります。


ね、それぞれ「ものがたり」はいっぱい。こうして語ると、この「物」がほしくなる、「物」が大切に思えてくる。高い安い、美味しいまずい、だけの物差しで評価していた自分が恥ずかしくなる。で、その土地に行きたくなる。日本の田舎は素敵だ!と思う。というわけです。

もちろん商品ならば、自ら自己紹介して、魅力を発信して、売れるような努力をすべきでしょう。でもそのためにも、どんな語りがあれば、もっと勢いがつくのかに気づいても欲しいのです。

いつか、といってもなるべく早く、こういう「ものがたり」をしっかり話して、わかってもらって、物と土地と人を繋げるお店をしたいなあ〜、しましょう、します。

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ゆとりある記 アルテピアッツァ美唄 2017/12/04 11:45 am

アルテピアッツァはイタリア語で芸術広場の意味、北海道美唄市の彫刻美術館です。

廃校となった小学校を活用し、美唄出身の彫刻家・安田 侃(かん)氏の作品約40点を常設展示しています。

雪のなかにそびえる巨大彫刻、古い校舎に置かれた真っ白なツルリとした大理石の作品。

その形や感触が、眠っていた私の美意識を呼び覚ましたようで、帰る頃には「美」に敏感になっていました。
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かつて炭鉱町として栄えた美唄には、約10万人もの人が暮らしたことがあるそうです。

1950年に開校した栄小学校は最盛期には1200人の児童が学んだとか、閉山とともにやがて1981年には閉校しました。

その校舎と体育館がギャラリーになっています。


どうやってこの大きな作品を運んだんだろう?という大作が、芝生のあちこちに、森の中に立っています。

今回は雪が深くて、森の奥に入るのは諦めました。






私のような年代には懐かしい限りの校舎です。

こういう教室で、木の机椅子で学びました。雑巾がけもしたっけ。

古い木の床と、大理石作品がピタリと似合います。





触ってみると、ピタリと手が吸い付くような滑らかさ。石でしょうか?

石なのに、温かい。そう感じるのはなぜ?








午後の陽がさすと、作品に新しい表情が出ます。

影が伸びて、動いて、何か語っているみたい。

いいえ、何か唄っているみたい。






もとの体育館にも作品が。

なんとなく、まだゴムのボールや、体操マットの匂いが残っているような空間。

いくつかの作品がお互いに力を発し、そこにいる人までを作品にしてしまう。

そんなふうに見えてきました。


これは?

作品ではありません。校舎の階段の手すりです。

青銅の作品のようです。







お借りした長靴に付いた雪。

これまた美しい。

少し解けると、表情が変わる。

ずっと眺めていたくなる。






葉っぱもきれい。

こんな一枚が、こんな面白い形だったんだ。

雪の上で、清らかになっていくようです。

私も雪の上で、寒ざらしになったみたいに、心のアクが抜けていきます。




わあ〜、君もアートだね。

きれいだよ。

生きてるね。






体験工房に入ると、石を削るノミがずらり。

これで私も何か作りたくなりました。








大理石を削って、磨いて、丸く丸くしている女性がいました。

聞けば、東京からわざわざもう数回通っているとか。

駅前のビジネスホテルに泊まって、有給休暇を使って1週間。自分自身に向き合っているようです。





私たちがドタバタと視察している間も、女性一人で屋外展示をていねいに鑑賞している人が居ます。

ふと見ると寄せ書きに、「心の充電中」の言葉が。

さっきの方が書いたのでしょうか?いえいえ少し前のようです。

同じような人たちが、静かにじんわりと訪れるそんな公園なんですね。

地元の方にうかがうと、「わがまちの自慢はアルテ」と皆さんがおっしゃいます。

一方、「敷居が高くって」「好きに遊べない」「市の税金がかかるばかり」などの意見も。

「地元住民は民度が低いから芸術なんてわからないから」とも。

いろんな声が聞こえます。

そりゃ私も、ここにある「幼稚園」はぜひ存続させてほしいし、入場料をとってもっと自立すべき、地域とともになれる施設に、市民が「美」にもっと敏感になろう、などなど言いたいことはありますが。

ふと見ると、空は青く、雪は白く。

何をつべこべ言うのやら、、、、と。

空と雪と同じ顔をして、作品は在ったのでした。

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略歴

<野口智子(のぐちともこ)>
ゆとり研究所所長・NPOスローライフ・ジャパン事務局長
千葉市生まれ。東京でコピーライター、プランナーを経験。1977年静岡県に移り企画・編集プロダクション設立。
1992年ゆとり研究所を開きコンサルタント業務を開始。
ライフスタイルの提案、「一店逸品運動」による商店街の活性化、時間消費型観光おこし、人材育成などの分野で活動。
2000年からスローライフ運動を開始、2003年スローライフ・ジャパンを設立、現在、事務局長・副理事長。
2006年から活動拠点と自宅を東京へ。現在はスローツーリズムの提案、商品開発、地域観光の育成、都市と田舎の交流、移住・定住プロジェクト、“食”をテーマにしたまちおこし、などに力を入れている。住民参加の独自の楽しいワークショップが得意。
現在、地域力創造アドバイザー(総務省)、地域再生マネージャー(ふるさと財団)、国土審議会半島振興部会委員。