たらふく太良町

ゆとりある記

佐賀県の南東、有明海に面した太良町に行ってきました。かつて景行天皇がこの地を訪れた際、「ところせまけれども食物豊に足らえり。豊足(たらい)の村と云うべし」と語ったとか。以来、この地を「たら」と呼ぶようになったそうです。

確かに、名物竹崎カニや上質豚肉、ミカン、マンゴー、ワサビと多様な食材が。町名にちなんだ「たらふく丼」というものも出現。たくさん食べてきました。

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太良町の役場には「月の引力が見える町」と看板があります。
なるほど、有明海はこの日、この時間は干潮。海辺の道路沿いから眺めると、海の水は遥か遥か遠く、数キロ先に見えます。

それが、潮が満ちればテトラポットまで波が来るというのですから、なるほど月の引力を目の当たりにできるわけです。

まずは商工会に寄りました。ここで「たらふく丼」なるものを開発しているという噂を聞いたからです。有明海に面しているので海の幸ばかりと思うと、ここでは養豚も盛ん。

新鮮で美味しい豚肉が手に入ります。この豚肉を使って、町内の他の産物も使って丼を開発しようと研究し、この春デビューしたそうです。

町内の13店が参加、太良に福がきますように、という意味もあるネーミング。各店、皆違うお料理の仕方で、角煮にしたり、タンを利用したり、生姜焼き風にしたり。

豚肉でチーズと大葉を巻いてフライに揚げてあるという手の込んだ「たらふく丼」をいただきました。すごいボリュウムです。

「この丼は、まずは地元の人が食べて、太良の豊富な食材を知ってほしい」と商工会当局。なるほど、外来者もすっかり“豚肉の太良”を覚えました。

女性としては「ねえ、たらふく丼食べに行かない?」とは人に言いにくいですが、何かガッツリしたものを食べたいときには、こっそり行きたくなるでしょう。

道の駅に寄りました。まあ!こちらも「たらふく館」という名です。先ほどのブランド豚肉が・・・。

上質のお肉であることは一目でわかります、それなのに安い。
本当は買って帰りたい、のですが、隣のムツゴロウやクジラも気になって。目移り、目移り。

タンパク質ばかりでなく、かんきつ類の産地である太良はこの時期アップルマンゴーも採れてしまうのです。海岸なのに地下水も上質(だから豚肉も名水で育つのですが)、なのでワサビまでできていました。

しかし、やはり太良町初体験の者としては、名だたる名物「竹崎ガニ」を食せねばなりません。カニをたらふく?!とつい夢見心地になります。

この日ここに泊まるなら、カニ料理のお宿があるのですが、佐賀市内まで戻らなくてはならない。えええ?どうしよう、でも食べたい。なんてときは、ここでカニを買って帰ればいいのです、と教わりました。

あんまりお行儀よく輪ゴムで縛られていてわからなかったのですが、カニのコーナーのカニさんたちは元気にブクブク泡を吹き、生きているわけです。これをお買い上げ~~~。

売り場のお兄さんが、必殺仕置き人のように目打ちのような太い針状のもので、“笑顔”で〆てくれました。

これを佐賀市内の料理屋さんに持ち込んで、というわがままな作戦です。どうせわがままを言うならもう一つと、クラゲも買い込みました。これまで食べた塩漬けのクラゲなどと違う生です、生。

佐賀市内の本当に優秀な、ありがたいお店で、わがままをお願いし。聞き入れていただき、“たらふく”の佐賀市内版も実行できたというわけです。

カニはもちろんのこと、クラゲが絶品でした。生のクラゲの歯触りは忘れられません。

今回伺うまで、太良町は全く知らないまちでした。でも、「たらふく」という言葉を久しぶりにこんなに使わせてくれた町として、実に印象深く残りました。太良町さん、たらふくご馳走様でした。