JT生命誌研究館

ゆとりある記

暑い日、大阪・高槻の商店街を抜け、建物に入ると急に汗が引きまた。ゆったりとした室内に、静かな時間が流れています。

展示を見ているうちに気づくのは、「ああ私もヒトという、生きものの一つだった」ということ。しかも地球でヒトは、ついこの前現れたばかりの「新参者だ」ということです。

もっと謙虚にしなくては! 地球に代わって、喝を入れられたように感じました。

最初に出迎えてくれたのは「オサムシ」くん。みんな同じようで、みんな違う。でもきれいきれい。日本には少ないそうですが、オサムシだけでもこんなにいる、そのことにびっくりです。写真はそのごく一部。

続いてのびっくりが「ナナフシ」という、これも虫。ガラスケースに生きたのが入っているのですが、手前も向こうも、木の枝のように見えるのはみんなこの虫です。こうして枝や草のようになって、身を守るのだそうです。

ここの展示は、実におしゃれです。例えば象のことを学ぶとしたら、伊藤若冲の絵にある象からスタートする。そんな工夫がしてあります。つい「生命誌って素敵!」といいたくなってしまいます。

38億年前に地球上に生命体が誕生してから、次々と多様な生物が生まれてきたことがわかる「生命誌マンダラ」。

このままスカーフやテーブルクロス、ベッドカバーにしたいような美しさ。展示が「理屈」ではなく、「美しい」「かわいい」から始まると、その内容にぐいぐい引き付けられますね。

屋上庭園のようなところがありました。一見、研究館職員の憩いのスペースに見えました。が、これはチョウのための「食草園」。

チョウは自分が食べる植物が決まっているそうで、母チョウはその植物をきちんと選んで卵を産むのだそうです。モンシロチョウが好む植物を植えればモンシロチョウが集まる、増えるというわけです。

階段も展示スペースです。「現在」から、一段が約一億年のペースで過去に降りていく。

一段ごとにその頃の生物が展示されているのですが、「人間」などほんの一段以下で消えていく。いかに地球の歴史の極最近に現れたかが実感できます。

1階からていねいに展示を見ながら、階段を上がる、降りるをおすすめです。

ここのホームページには「生命誌って何?」という答えに“人間も含めてのさまざまな生きものたちの「生きている」様子を見つめ、そこから「どう生きるか」を探す新しい知です。”とあります。

難しい研究は研究館の方にお任せして、とにもかくにもここには神社仏閣に年に一度お参りするように、訪れることが必要と思いました。

まるで、人間が一番偉いかのように思い込み、うぬぼれ、好き勝手にしている「ヒト」が、ここに来て反省すべきでしょう。

精巧なすばらしい仕組みの中で、小さくともきちんと生きているほかの生きものへの気づきと思いやり、尊敬の心を持つ、そのきっかけになります。

それは、生きものである自分や家族、地域の人々を本当に大事にすることに繋がるでしょう。

一番心に響いた展示の言葉です。下記、ご覧ください。