恋するエタリ
「エタリ」とはカタクチイワシのこと、長崎県雲仙市ではこの名で呼びます。
お刺身のおいしさは皆さんご存知でしょう。実は、さらにこの塩辛が美味なのです。
スローフード協会国際本部の「味の箱舟」プロジェクトにも認定登録されています。
この塩辛をニンニクとオリーブオイルで煮て、雲仙特産のジャガイモに合わせたら、もう、最高!
強烈に好きになってしまいました。
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小浜温泉から眺めた橘湾です。
ここにエタリは生息しています。
今回、雲仙市に着いたその日にまずはエタリのお刺身をいただきました。
まるでお花のように、エタリが開花しています。ワサビ醤油でも、酢味噌でも。
いくらでも食べられるのはやはり鮮度です。東京ではこうはいきません。
翌日、エタリの揚る南串方面へ行きました。
道筋に、「エタリ」の看板が目立ちます。
小さなスーパーに入るとありました!エタリの量り売り。
なんと1キロ400円という安さです。
お刺身も売っています。
包丁を使わないで指先だけで、手開きにするエタリ。お店の人いわく「刺身の値段は、手間賃だね」
塩辛を発見!昔は各家で当たり前に作っていたとか。
今はスーパーで、少しでも買えるんですね。ただし、南串だから、ということでもあります。
雲仙市内の他のお店の何軒かには、塩辛はありませんでした。
港にエタリ漁の船が。巻き網で獲ります。
エタリ漁の船と一口に言っても、集魚灯のついたもの、ついていないもの、獲れたエタリを運ぶ専門の運搬船、といろいろあるとのこと。
どの船も同じに見えてしまう・・・私でした。
エタリは船から直接、巨大なホースで吸い込まれ、海水で蒸され、主に煮干しになります。
そして、大きなものはお刺身や塩辛になるわけです。
港近くのトラックのコンテナのような倉庫に、エタリの塩辛は漬けられていました。
エタリと塩を5対1、6対1、7対1くらい。魚の状態や気候で、だいたいそのぐらいの比率で混ぜて、重しをするだけ。
やがて魚の水分があがって、しかも発酵が進んで、塩辛になっていく。
3カ月くらいが食べごろとか。
一番上には藁を一緒に入れるのが伝統。なぜか風味がよくなるのだそうです。
昔お米は貴重品、この辺りではサツマイモがご飯代わり、おやつ代わり。
蒸かしたサツマイモと、エタリの塩辛を合わせて食べる。塩味がお芋の甘さを引き出したそうです。
尻尾を持って、ぶら下げて、頭から丸ごとパクリと食べるのが正しい?食べかたとか。
やってみると、そりゃあ塩辛いのですが、エタリの身がまだお刺身のようにプリプリしていて美味しい。
ごくりと飲み終わった後に、強烈な旨みが口に残ります。
頭、しっぽ、骨をとってオイルに浸ければアンチョビです。なので、アンチョビスパゲティを作るときと同じ、ソースを作りました。
正確には、私が「こうすれば美味しいのに。それをジャガイモにかけて食べたいな~」と騒ぐので、お料理好きの方が目の前でササっと作ってくださったのでした。
エタリを細かくつぶして、ニンニクのすりおろしと一緒にたっプリのオリーブオイルで炒め煮する。
香ばしい香りがしたら出来上がり。熱々をゆでたパスタにかけて青じその葉の千切りを添えるのが私流。
今回は、勉強会の中で、今シーズンの雲仙のジャガイモにかけていただきました。
エタリの塩辛は、いくらスローフード協会がほめたたえても、なかなか食べる人は少ないでしょう。でもこうしてエタリオイルを作っておけばいつでも使えます。
今度、このオイルを商品化してみたいと、夢は膨らむばかり!エタリの美味しさに惚れすぎて、エタリが私に乗り移ったようにも思えるくらいです。
エタリ~~、好きだよ~~~!"