「大しめなわ創作館」

ゆとりある記

島根県飯南町(いいなん)でここを見学しました。長さ13.5メートル、重さ4.5トン、出雲大社の大しめ縄もここで造られているそうです。

全国の神社からはもちろん、海外からの注文も。ドバイのお金持ちからは、私邸の日本庭園東屋用に大社サイズのオーダーがあったそうです。

もくもくと藁作業に取り組む土地の高齢者の技術が世界に羽ばたく。しめ縄パワーを感じました。
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飯南町は島根県出雲から南へ下った、広島県の境にあります。山深いところ、冬には豪雪に見舞われ、スキー場もあります。

それだけに、出雲市内から車で進むと、空気は澄んで、神々しいほどに美しい山の景色となりました。

ここに、「大しめなわ創作館」ができたのは、平成26年のこと。今や町の重要な観光ポイントでもあります。

昨年出雲大社の大しめ縄は眺めたものですが(写真)、そうですか!あのしめ縄はここで造られていたのですね。

出雲大社のしめ縄は、数年おきにかけ替えられる。昔は観光客が、お金を挟み込むいたずらが多かったそうです。いまはそれは少なくなったものの、風で飛ばされた砂が相当入り込む、また、鳥たちが巣を作る材用として藁を抜いていくなど、で長持ちはしないようです。

館内で説明を受けました。大しめ縄には、「赤穂餅」というもち米のわらが使われるそうで、普通のわらに比べると、異様に背が高い。155センチの私の背丈ほどある。

この稲は実を付ければ名の通り赤いのですが、穂をつける前に刈り取り、青い色が残るようにすぐ乾燥させるのだそうです。

このしめ縄用の米を撒くところから始めるので、しめ縄はそうそうすぐにはできません。出雲大社の大しめ縄には1.5ヘクタールの田んぼの稲わらが必要だそうです。

これをまっすぐなものだけに整えて、まずはすのこのように編む。それをいくつも繋げていって、大きなものにする。中に普通のわらを芯としてして入れて巻き込む。その長いものを2本造り、人力でよじる。

書けば簡単ですが、造るのには容易でない。何人の手が、何日かけて造ることやら。そのよるときなどは、写真を見る限り40人くらいの人が背丈ほどの太さの縄と格闘しています。

たかが縄なれど、これは神の世界と我々俗世界を分ける結界。その起源は1300年以上も昔にさかのぼるそうです。

神話の世界では、天照大神が天岩戸から出た際に、二度と天岩戸に隠れないようにと、しめ縄で戸を塞いだのが起源といわれているとか。

しめ縄から下がる房のようなのは「〆の子」、しめ縄が雲とすると、これは雨、下がる紙垂は雷という意味があるそうです。五穀豊穣を願ってなのでしょう。

100円ショップで売られるプラスチック製のしめ縄もどきが出回っている中で、さて、そもそもしめ縄とはと考える機会を得ました。

飯南町に出雲大社の分院があったことから、昭和30年から出雲大社の大しめ縄を造っている。今は、平成30年7月に大しめ縄をかけ替えの予定が入っているそうです。

大しめ縄を奉納した場所のマップがありました。ほぼ全国、そしてハワイまで。聞けば、神社だけでもない。焼酎のメーカーから新社屋につけるために。

そして、冒頭のドバイからの個人的な注文も。ある意味、出雲大社が見本で、「あれが欲しい」となったらここに注文が入ってくる。そうそう商売敵?もいないでしょうから、町の産業にもなり得ますね。

しめ縄体験はもちろん、ミニしめ縄も売られていましたが、なんとかこの技術を伝承しながら、産業起こしまで行けないか?と思います。

高齢者の守る尊いしめ縄技術をてっぺんに、すそ野はもっといろいろライトにできそうな気がしてきました。既に、しめ縄型のフランスパンがあるみたいです。

ならば、しめ縄ドーナツも、クッキーも、パスタも、ペンネも、ソフトクリームもできますね。アクセサリー、バレッタ、バック、クッション、枕、etc、ああ、止まりません。

神様に怒られない範囲で、しめ縄グッズ作りをしたくなりました。