マイ箸づくり

ちょっとしたこと

奈良県吉野町、ものづくりの里「国栖」は割りばしの産地です。ここで箸づくり体験をしました。

割り箸ではなく、塗り箸でもなく「白木箸」です。大体の形ができている桧の箸に、やすりをかけて角を無くし電熱ペンで模様を。作業は簡単なようで繊細です。

木の香りと肌触りを感じながら作業をしていると、だんだん自分のお箸という愛着が出てきました。自分への贈り物です。
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うかがったのは少し前、秋の始めでした。箸づくり体験を「辰野製作所」に着くと、焼却炉にたくさんの木くずが。

まるでそうめんのようできれいです。割り箸を作るために出る細く薄い長い木くずはそのままお部屋の芳香剤にいただいて帰りたいくらいでした。


ここでは10年前から、箸づくりの体験を500円というお手頃値段でやらせてくれます。

ちゃんと体験用のスペースがあって、子どもたちでも家族連れでも、外国人の方々でもできます。

ご主人の辰田敬美さんが説明してくださいました。


割り箸は、杉や檜の間伐材の真ん中から建築材を取った端材で作られます。

だから、美しい木目をそろえて割り箸を作るとなると、そうそう数はとれない。


なるほど、たまに使う木目の美しい高級割り箸も、何気なく使っていましたがその木目を生み出すには、まず四角い材木をとった後、そこからの出発なわけなのですね。

さて、体験で作るのは、割り箸ではなく白木箸です。素材の木を削ったり、細工したりしただけ。漆などの塗装をしないお箸。

見本のものを持つと、軽い。そして肌に温かい。そんなお箸を作れる道具も用意されていました。

板に溝が切ってあり、ここにほぼお箸の形になっているお箸の素?を固定して、紙やすりで磨くのです。

これなら簡単です。この道具立ても辰野さんのアイディア。お箸のことをみんなにもっとわかってもらいたい、という辰野さんの熱い想いが伝わってきます。

シュッシュと紙やすりを動かすと、桧の香りがふわっとします。

だんだん角が丸くなって、手になじんでくる。ちょうどいいところで磨きをやめます。


そしてこの電熱ペンで、ちょっと模様を焼き込む。

私は、4つの側面に、トランプのハート、スペード、クローバー、ダイヤを描きました。


ね、なかなかいいお土産ができたでしょ。

普段、真剣に考えることのなかった、割り箸、白木箸、箸について興味を持ったことが、何より一番のお土産となりました。

辰野さん作の白木箸を夫用に求めましたが、とっても気に入っているようです。

「うどんを食べても滑らないし、他の箸よりこれがいい」とのこと。もう何膳が作りに行きましょうか・・・。"