タメイキ道ワクワク道

ゆとりある記

北海道阿寒湖に行ってきました。震災後、観光地はどこも大変です。もともとさびれていた街となると、さらにさみしい景色。人影のない土産物通りからはタメイキが聞こえるようです。

その先に自然散策道がありました。急に世界が変わります。春の花と新芽、鳥の声、勢いがあふれています。久々の深呼吸、身体に精気があふれました。今、心踊るのは、土産物よりも自然です。

こちら「タメイキ道」です。同じような木彫りのお土産がならび、空き店舗もチラホラ。観光バスが着いた夜はもう少しにぎわうのかも知れませんが。

この道を歩いていて聞こえたのは「お姉さん、水道の水で育つマリモあるよ」「お茶飲んでいかない、マリモ茶だよ、他所じゃ買えないよ」という呼び込み。目に入ったのは木彫りの土産物のポップです。

この道を歩いている限り、このまちと私は売ると買うだけの関係、だからつまらない。売る側の商売のつらさも露骨にみえてしまい、痛々しくもあるわけです。なるべく早く通り抜けたくなる。

一方、その先の散策道は売り買いの関係なし。豊かな自然が包んでくれます。クマゲラが鳴きながら飛んで行きます。カサコソカサコソ、風が熊笹の葉を鳴らします。ブ~ンと頭の上を飛んで行くのは何の虫かな?

チョロチョロ流れる水の音の方に、真っ白な水芭蕉。かわいい花もあちこちに。

少し行くと硫黄の臭い。ここら辺で「ボッケ」という、温泉です。泥の中からお湯とガスがわいています。ボケッ、ボコッと音が。たしかに「ボッケ」の名がついたのがわかります。ボッケの近くは地熱も高く、足元の岩は温かい。足袋まで熱が伝わって、わ~、地球は生きている!

阿寒湖を前に私一人、両手を伸ばして空気を一杯吸いました。なんと瑞々しい、豊かな時間でしょう。自然は、耳や鼻や目を使ってこちらから歩み寄ればワクワクした関係を作ってくれます。

ボッケまでの散策、片道350メートル。ゆっくりのんびり1時間かけて遊びました。春のエネルギーをいただいた、この時間がなかったら私には、阿寒湖=つまらないところ、ということになってしまうところでした。

売るか消費するかという視点しかもたないと、自然散策道も「なにもなくてつまらない」と結論付けがちです。地元も観光客も今こそ変わらなくっちゃ!