雲仙ジオバーガー

美味しい話題

市内5軒のお店が、地元野菜や肉類を何層にも挟み込んだバーガーの販売を始めました。島原半島ジオパークに因んだ名称。具材がいろいろな地層にみえたり、美味しい野菜は雲仙の土壌や水に由来、と思いを馳せたり。なかには18種類もの具材と生産者を紹介するメモを添えるお店も。作者のいろいろな思いも挟まれているようです。それにしても分厚くて、とても口が開きません。

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雲仙市は長崎県で一番野菜を生産し、しかも伝統野菜にこだわった農家さんも多く、その野菜に惚れて移住する人もあるような土地です。加えて、雲仙ブランド「あかね豚」、雲仙牛など肉類も自慢。それらをとにかくバーガーにという地域おこしの企画なのでした。よく考えられて企画です、案内チラシには「雲仙ジオバーガーのお約束」として、①雲仙自慢の食材にこだわる。②とれたて&作りたてにこだわる。③美味しさにこだわる。とあります。

 

そのうちの2軒のお店のものを食べてみました。まずは雲仙温泉の旅館、「民芸モダンの宿 雲仙福田屋」のジオバーガー。1200円。福田屋さんの料理長は野菜愛が深く、ご自身で「福田屋ファーム」という畑も作っておいでです。そこで作られた、無農薬のとれたて野菜に加えて、市内の農家さんの野菜が一杯。“本日のお野菜”として、挟んである野菜がお品書きメモになっています。「黒田五寸人参」(岩崎種の農園)、「デストロイヤーじゃが芋」(荒木農園)、「ビーツ」(宮田ファーム)、「ダビデオクラ」(竹田かたつむり農園)という具合。農家さんを応援したいという気持ちが伝わってきます。

運ばれてきたパッケージを開けると、十二単のように具材が挟まれたバーガーが。バンズがピンク色なのは、ビーツを練り込んだパンだから。これは珍しい!あくまでも野菜が主人公のバーガー。大口を開けてかぶりつくのですが、顎はこれ以上開かない、それにどれがどの野菜なのか確認しながら食べたい、という欲も重なって、結局お箸を使わせていただきました。お肉は「雲仙豚の角煮」です。このとろりとした濃い味付けの脂身が野菜の引き立て役になっています。トッピングされた「ツルムラサキの花」(福田屋ファーム)の綺麗なこと。東京で、こんなとれたて野菜バーガーなんて食べられませんよね。

もう一軒は、国見町の「べジドリーム」で。ジュース付き800円。「雲仙ハム」と言えば、お弁当やおかずに市民が大好きなソーセージ。これと、野菜のトルティーヤ、生野菜一杯を挟んであります。ではそれが主役かと思うと、印象深いのはたっぷり挟まれたじゃが芋のカリカリ揚げ。ガレットの様になった歯ごたえのあるじゃが芋の美味しいこと。柔らかくコクのある野菜の炒め煮と、カリカリのじゃが芋の食感は、よくぞ!という組み合わせ。ここでも「雲仙ハム」が引き立て役になっています。しかも家族で食べられるお値段がうれしい。

じゃが芋をぽろぽろ落としながらも、お構いなしにかぶりつきます。地元のニンジンを搾った生ジュースとの組み合わせも、ぐんぐん健康になる感じ。食べるのに夢中でふと気づくと、バーガーがのってきたトレイにはかわいいイラストのシートが。雲仙市でおなじみの地域おこし協力隊・堀口治香さんのイラストによる、中山間地の農の暮らしや、地元の方言などの解説が楽しいランチシートです。口の中で雲仙を味わっている間、方言や農業についてもほっこり学べるのでした。

目の前には広い畑が広がります。野菜が採れる、野菜が美味しい、というのは本当に幸せだなあ~。この野菜を育ててくれる土、人に感謝しました。(皆様、顎を外さないように・・・)