行き当たりばっ旅 

ちょっとしたこと

念入りに予習したり、綱渡りのような予定を組んだり、そんな出張の多い日常です。休みの時ぐらい適当にと、行き当たりばったりの旅にでました。大まかな目的地だけは決めて、指定席は取らずに立ち席、宿も調べず適当、昼ごはんもおやつも偶然ぶらりと寄った店で。予定は無し。ひたすら歩いた3日間、歩数も発見も多かったようです。

朝起きて、ゆっくりと東京駅へ。向かうのは千葉県銚子です。乗れる特急に乗りましょう、なんて緩い旅人に空いてる席などありません。「立席ですよ」と駅員さんに言われて2時間立つと覚悟したのですが、ふと見ると、一見ゴミ捨てのような感じの引手のある四角形が。あら!引き出せばイスでした。後ろ向きではありますが、座れました。こういう補助席みたいのがあるんですね。見つけた夫をほめたたえました。

銚子に着いたらお腹はペコペコ。歩き始めましたが、いかにもSNS情報を頼りに人が並んでいる感じの店はパス。そのうち買い物市場みたいのがあり、採れたての地元のイチゴと素朴な海苔巻き、おむすびを入手。「これ食べられる場所ないですか?」と聞くと、ありましたありました裏手にイスとテーブルが。綺麗ではないけど、ここで充分。新鮮イチゴの美味しいこと。

一度乗ってみたかった「銚子電鉄」に乗ります。座席にお魚がいっぱい、つり革もお魚型。車掌さんがニコニコで切符を切ってくれます。存続の危機にあったこの路線は、こうしたいろいろな工夫でお客を増やし、今も健在なのですね。

宿は夫が終点の外川(とがわ)にとりました。「どんな民宿?」と聞けば「わかんない。電話番号が一番最初に出てたから」という理由。強烈な坂の町です。そして着いた日は強風。坂の向こうに見える海から拳固の様に強い風が迎えてくれます。どこだどこだと歩いて着いた宿は海のすぐ横、こういうところの煮魚は美味しいに決まってますね。一晩、強風の音の中、負けずにイビキをかきました。

そして風が止んだ翌日は、我が夫婦の好きな路地歩き。歩くのに最適な細い道が碁盤目状に続いています。道に迷うこともない、迷ったらそれがまた楽しい。「このツタ見て~」「こういうゴミ箱、昔あった」などなど、どれくらい写真を撮ったことでしょう。

外川だけでは、と思い、「かんのん」という駅にも行ってみました。近くが銚子港。なんと大分からの船も泊っています。これまた港回りは、SNS客らしき行列がやたら高い磯料理屋さんに並んでいる。天邪鬼の私たちは、古~い町中華の店へ。おじいちゃんが「アサリラーメン」と、チャーハンというより「焼きめし」を作ってくれました。

駅名になっている「飯沼観音」に寄ってみます。江戸時代からの観音さんの横からなんだかいい匂い。お腹は満たされているのに、美味しそうな香り。今川焼屋さんでした。巨大です。餡は「白」と「黒」があります。食べないわけには行きません。熱々をハフハフ言って食べちゃいました。

銚子は有名な醤油の産地。観音さんの座るお寺に備えられているのは、お酒ではなく醤油の一斗缶。面白いなあ~。そう、だからソフトクリームも醤油味がある。これは2泊3日の帰りがけに、記念に食べたのでした。

歩くのと、人と、素朴さが好きな食いしん坊には、こんな行き当たりばっ旅がたまりません。なにより、パソコンを一回も見ないといういい時間、筋肉痛がお土産でした。