葉で包む
朴の葉で、炊き立ての豆ごはんを包むと、葉の緑色がサッと薄茶に代わり、さわやかな香りが広がります。一方、柏の葉でお餅を包むと、これまたいい匂いの柏餅となります。先日、同じ日の午前、午後と、両方をいただきました。地元の方の手作りです、おしゃべりと笑顔と一緒に食べるのでなおさら美味しく感じます。身近な葉を利用して包む食文化は、東京ではできない田舎ならではの贅沢でした。
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最初にうかがったのは、京都府綾部市の「水源の里 瀬尾谷」へ移住されたご家族のお宅です。古民家で暮らす、ナチュラルな方々。既に、オクドさんで豆ごはんが炊かれていました。

これだけで充分に美味しそうなのですが、もうひと手間です。

手の届く高さの朴の木が近くにあるとかで、みずみずしい葉が並んでいました。

ここに、豆ごはんをよそいます。そして葉で包みます。最後は輪ゴムでていねいに。緑の葉は熱いご飯で、薄茶色に変わり、香りも漂います。昔はこのおむすびが、田植えの頃のご馳走だったとか。田んぼで、朴の葉を開いて、食べるおむすびはさぞかし美味しかったでしょう。東京ではできない、貴重な体験をさせていただきました。


別の集落、「水源の里 水梨」にうかがうと、柏餅が待っていました。集落の女性たちが、作り方を思いだしながら、研究しながら手作りしてくださったものです。

もちろん柏の葉は、すぐ近くにあるもの。輸入品の着色されているものとは違います。蒸されていい色になっています。「餡子も甘すぎずに美味しい」と私が言うと「餡子は買ってきたので、あんまりほめないで」とささやきが。
正直で、笑えました。そうですよね、杖をついたり、よいしょと声をかけて歩く方々が、餡子まで煮る余裕はありませんもの。それでもよくぞ、柏餅パーティーを開いてくれました。


フキの煮たの、万願寺トウガラシ味噌、梅の実のシロップ漬け、さっき採ったキュウリ。どれもこれもがご馳走です。集落の方の家の倉庫前が、パーティ―会場。まるでテラスのようなスペースに、近くの別の集落の方々も飛び入り参加でした。
ただ、こうして集まって、手作り柏餅などを笑いながら食べるだけ。ですが、これこそ、地域づくりの原点だと私は思いました。自分の集落の景色を眺めながら、ああでもないこうでもないと、話題は尽きません。手入れの行き届いた田んぼと山々の風景は、ここに生きる人たちの日々の努力の証です。眺めるほどに愛おしくなってくるはずです。


この春、集落を飾ったチューリップの球根が、掘り出され色分けされて倉庫にぶら下がっていました。秋にはまた、この景色のどこかに植えるのでしょう。次の美しさを皆で用意していく、楽しい時間を皆で作る、手間ひまかけて美味しいを作り出す、どれも都会人ができない知的な技です。
なんて贅沢な土地だろうと思いました。






