いざ鎌倉へ
何か一大事の時は鎌倉へ馳せ参じる、という言葉がありますが、何もないのに鎌倉へ出かけてみました。
仕事柄、普段から無目的には出かけない性分になっています。見たいところも食べたいものもなく、夫に誘われるがままに。
ちょうどお天気がよく、写真を撮ったり歩いたり。ただただ、のんきに。
そこで気づきました、自分が目的がないと動かなくなっていることが一大事、だったと。
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普通は、「どこか行こうか?」と言われれば、「なんで?」とその理由を聞きます。
「別に」と言われれば、「私やることあるから」と、予定していた仕事にかかる。
別に大した用がないなら、出かけることはありません。
それが今回は、「うん、行こう」となったのでした。「そんじゃ、鎌倉行こう」「うん」です。
理由は無くて、行くことになりました。
目的も、行く理由もないので、下調べもありません。段取りや予定も経てません。
なんだか、ズルズルと「いざ、鎌倉へ」と向かうだけです。
北鎌倉で電車を降りて、すぐ近くのお寺へぶらり。
いつもなら調べぬいて順路を決めて境内を歩くのですが、どんなお寺か?もどうでもいい。立て看板など読みません。
あら、綺麗、と思える影や仏像の写真など撮って・・・。
普段はカメラを持つと、取材しようとしたり、何か作品にならないかと思ったり。
外国人を見れば、インバウンドについて考えたり。彼らが何を見ているか観察したり、どんな話をしているか耳をすましたり。
本日はそんなことはしません。日向ぼっこや、ゆっくり歩きばかりです。
何時にどこに行かなくちゃ、がないので、気づいたら一つのお寺に長々居ます。
へへ~、と思ったら写真を撮ったり、ずっと眺めていたり。
あれ~行きに見た時と、帰りに見た時と影が違う。ふ~ん。
あ、紅葉がまだあった。
紅いタタミイワシみたいだ。
フフフ~。
温かそうに作業している人。
生垣をなおしている植木屋さん?
几帳面に青竹を切っています。
ずーっと見ていたくなっちゃいます。
鎌倉野菜のスープを食べました。これも夫のセレクト。
色とりどりの、野菜がたっぷり、器の下で揺れるロウソクの炎で温まります。
ニンジンが甘い、カブが香る、紫芋がホクホク。ひとつひとつに味がある、食感も違う。
最後のスープには、野菜たちの味がこっくりと濃く。
こうして、ただただ歩いて、最後にコーヒーを飲んで戻ってきました。
目的行動が日常で、段取りが大好きで、それを仕事にしている。そうなるとその通りにならないと気が済まない私です。
遥か昔、予定をばっちりたてて行った金沢で、大雨が降って来たのに、どうしても行きたい、行くことにしていた水あめ屋さんに、行くと主張し、夫と大喧嘩になったことがあります。
基本は今も変わってはいないのですが、今回、急ぎの仕事を横に置いて、出かける気になったのは、私が丸くなったのでしょうか。身体が求めていたのでしょうか。
「で、鎌倉に何をしに行ったの?」と聞かれれば「何もしなかった」と答えるでしょう。
「で、どうだった?」と聞かれれば、「一大発見をした」と答えます。「無目的はいい」、のでした。
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