桃力

お仕事で

私の通う桃産地・紀の川市では、いま農家が大忙し。でもそんな中で、桃の新しい活用への動きも起きています。

「桃のフルーツソース」は山ほどの果肉を大なべでサッと煮たもの、お祭りでかき氷にたっぷりかける予定。

誕生したて「桃バーガー」は、牛肉と桃がマッチした初めての美味しさ。

古来、長寿の象徴の桃、その力が、市民の発案でパワーアップされているようです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この時期になると、友達が訪ねてくるときには、こんな大きな桃と現れる、という極楽の状態になる紀の川市です。

地元の方は、「桃を食べるのが追いつかない」などという贅沢な悩みを打ち明けられますが、今のところ私は悩みません。桃歓迎です。

でも、2年前には桃の時期の紀の川市の様子に驚き、こんなブログをあげていたので、だんだん慣れてきていることは確か。どこの何の産地でも、同じでしょうね。

「桃引力」2014年7月のブログです↓
http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=272&date=201407


さて先日のことです、紀の川市に居ると、その名も桃山町、ブランド桃「あら川の桃」の産地から情報が。

ここの桃農家がやっている「野かふぇ おりや」というプチレストランで「桃バーガー」が誕生したとか。それを試食できるとか。

「桃でハンバーグを挟んであるのかな~?」なんてトンチンカンなことを思いながらうかがうと、こんな構造図が既にできていました。

季節のフルーツ料理を次々と出してくださるお店です。これからいろいろなフルーツバーガーを出される計画。だからあえて「桃バーガー」とは名乗っていません。

イラストと説明を見ているだけで、もうおなかが空いてきます。


厨房では、母娘二人が顔を寄せ合って、最後の盛り付け中。このお店は、農家のお父さんの作った果物を素材にして、お母さんとお嬢さん二人が切り盛りしていている、理想的な形です。

さあ、どんなバーガーが?と思ったら、でた~~~!びっくりゴージャスなバスケットが登場でした。


ああ、この写真の撮り方では、そのボリュウムが分からないかも?ハンバーガーの真ん中あたりで、白っぽく見えているのが桃です。

バーガーだけでなく、自家製フライドポテト、びわのワインジュレ、酢玉ネギなども。

で、ずしりと重い、いろ~んなものの入ったバーガーをガブリ。口はこの厚みには開きません。

つい、はしたなく、一か八かでかぶりつくと鼻の中にマヨネーズがピュッと飛び入ったりしてしまうのですが、口の中は桃×ビーフの美味しさ!!!!

もともとステーキにパイナップルなど果物を合わせますよね。その感覚で、少しシロップで甘くした桃と美熊野牛100パーセントのパテがマリアージュしています。

桃も、おすまししてただ出荷されればいいかと思っていたら、まさかバーガーになるとは思っていなかったでしょう。

肉も桃も厚い、多少の食べにくさなどは我慢して、私の顎がもっと広がるトレーニングを積めばいい、と思ったのでした。


いったいこういうアイディアはどこから?と思うのですが、ここの姉妹の姉風に見えるお母さんは絶えずフルーツを使ったお料理を考えている。

「仕事の合間にね、ちょいちょいっと考えてメモするんよ」そのちょいちょいがコレ。感服しました。

それにしても安すぎる。正式の値段はこれから決定とのことでしたが、さあ、おいくらになったのでしょう。

東京なら2000円近くても、納得価格のお料理です。


桃をほってはおかない、バーガーにしてしまう。こういうアイディアが果物産地の明日を創って行くのでしょう。

お母さんがとてもお若く、キラキラしているのは、いつも次のこと、新しいことを考えているから。頭の中はプランで一杯のはずです。見習いたいと思いました。

ここの父母娘さん3人は私がお世話している「フルーツ・ツーリズム研究会」のメンバー。フルーツで紀の川市を盛り上げようと家族で楽しんでおいでです。

一方、もう一カ所うかがったのは、同研究会の中のお料理チームのお一人の加工所。

この日はここで、その料理チームがかき氷用のソースを作るということでした。


うかがうと、トレードマークのピンクのエプロンで皆さん臨戦態勢。桃の香りが道路まで流れ出ています。

いつもママさんと一緒に参加のチビちゃんも、包丁は持たないまでも、桃何キロ、レモン果汁何CCと記録する係で活躍です。


見よ、この桃の量。こんな多量の桃の果肉を見たことありません。果肉をナイフでそいで、レモン汁の入った巨大ボールに漬けていく。色止めですね。

私も多少手伝いましたが、皆さんのスピードにはついていけません。

皆さん、桃戦士のような活躍ぶり。しかもおしゃべりしながら、笑いながら。

「いっつも、もっと科学的にやらにゃあ~と思っていて、結局目分量になるなあ~」「だめやなあ~。甘すぎる?」「こんなもんか~?」「ああ、ええんちゃう?」「ええやんええやん」

いろいろな複雑なことが、するするっと流れるように決まって、動いていきます。


量が多いから、柄杓で桃をすくって移す。わ~~、桃が、桃が~~。

いつも小さな一切れを大事に食べる私としては、豪快な桃の大河に身を任せている感じ。


あれよあれよという間に、砂糖が加えられて、サッと火が通って、ミキサーにかけて、フレッシュな桃ソースの出来上がり。

これを冷凍して、7月30日の「粉河祭り」まで保存するのです。

こんな贅沢なソースをかけるかき氷なんて、フルーツ産地だからの特権ですね。ソースなら、日持ちしないデリケートな桃も、使い道が広がります。

でも、手をかけなかったらこの産地特権も使えない。このひと手間、いえたくさんの手間が、フルーツの可能性を押し上げるわけです。

いつか、フルーツソースを売り出して、紀の川市ではどこでも夏は本物フルーツのカキ氷が食べられるとなったら、市外からも食いしん坊さんが来るはずです。

しかもその代表はこの桃になるでしょう。なんといっても桃ですもの。


隣では、桃代表様を追いかけるように、イチゴもイチジクも煮えて、フルーツソースになっていきます。

市民の皆さんの思い付きと、行動力が桃の、果物のパワーをアップしていきます。それは紀の川市のパワーアップに繋がる、そう信じています。"