人×人

お仕事で

久しぶりに長野県飯田市に行きました。地域観光を育ててきた人たちの、交流と発表を兼ねた会です。

以前は遠慮がちだった人たちがずいぶんたくましくなって、実現可能な新しい企画を次々と発表してくれます。

そこにまた新しい人が加わって、その場でアイディアがさらに膨らみます。人は人を育てる、そういう場を常につくる、その努力が大事だと思いました。
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飯田では「南信州発!観光プランづくりワークショップ」という研修ワークショップを2年間やっていたので、その前後も含めると結構長いお付き合いになります。

この間に出合った人たちは、いったい何人になることら・・。と私が思うくらいなのですから、参加者にもそのチャンスはあったわけです。今回はそのさらに次のバージョン、実際にやりますという企画を持っての集まりでした。

「観光プランづくり 参加サロン」あれ?「さんか・さろん」とは、私のNPOの会合名なのですが、この命名には、飯田市の担当者から「使ってもいいですか?」とわざわざ問い合わせがあって、ついた名前。かえってうれしい名前です。

こういうサロンで「行政がしつこく言うからしょうがなく参加する」のと「この際、友達一杯作っちゃおう」と思うのとは大きく開きができていきます。

声掛けは、多様な人にかけるので、旅館組合、商工会青年部、などといった同じ種類の人が集まる場とは違います。だから、あとはその人の“くっつき力”にかかってくるわけです。

―――例えば○×▽

普通の主婦の人と、旅館の若旦那。こういう違う人が、それぞれの自分の企画を発表し、それに各人コメントしていくと・・。同じ人同士の集まりとは違う化学反応が起きます。

「え?旅館の主も結構苦労してるんだ」「主婦のグループがここまでいろいろ考えている、こっちはもっと頑張らなくちゃ」というのがここで掛け算になると、主婦グループの考えた
「飯田マダムのおすすめ美味しい散歩」の動きと、宿が連動し、双方に都合のよい動きが、何よりお客様にとってうれしい動きが起きるわけです。

宿に泊まって次の日何をしましょうというときに、地元のマダム達が路地やスイーツを案内してくれるとなったらうれしいですね。過去に他所で、しつこく無神経なボランティアガイドさん等にあたり、嫌な時間を過ごした経験があっても、このプランならなんとなく、体験してみたくなります。

―――例えば○×▽×◇

ある主婦の方の発表。
「電車の大好きな子供に引きずられて飯田線に乗ったら自分も面白かった。次には、「ママ友」も誘ったら電車に乗っている間のおしゃべりがさらに楽しかった。ビールも美味しいおつまみも味わった。

そして、子供たちには飯田線の駅を網羅したシールBookを作り、駅を通過するごとに、シールを貼っていくようにしたら、子供が夢中になっている。なので、そのシールBookをもとに飯田線にママと子供が乗る企画を考えた。」

「それならそのシールBookを観光業者がお金を出して作ろう、JRにスポンサーになてもらおう」など観光業からは意見が出ます。どんどん膨らみ、イベント化しそうになります。ワクワクしますね。

ここで、私のようなのがまた掛け算でアドバイス。
「電車好きの子供とママ友が作ったのだから面白い、それを大事にしないと。いきなりプロが印刷しないで、もう少し待って。子連れで飯田線ママ友宴会みたいなことを主婦の人たちがやってそれを、プロたちがだんだん応援していく方がいい。
素人発想や市民運動が先に走る方が下支えが強くなるわけで、そこが大事」などと言うわけです。

―――例えば▽×○

森で子供向けキャンプを企画、都市から子供を呼ぼう、というプロの企画には、「実は親の方、大人もキャンプや自然体験をしたい。できないからこそしてみたい」という意見が、素人の人たちから出ます。

子供を安心して任せられるというのはうれしいのだけれど、実は自分たちもやりたい。かといって子供と一緒だと世話で終わるし、自分はそんなにキャンプの知恵や技術はない、だから親子が分かれて、それぞれの時間を過ごしたい、という本音が。大人向けも同時開催にしようとなりました。

―――例えば△×▽

舟下りでなく、竹筏を自分で造ってそれで川下りをするプラン。放置竹を伐採し、使用後の竹は燃料にと環境保全型。総て下調べし原価計算して商品プランになっていて、あとは売り出すだけ、の発表。

「普通に売り出すより、企業人のワイルド体験とか、家族の記念体験とか、“俺の筏で下ろう”とか、ピンポイントで変わったセールスをした方が」

「今のプランには関係ないけど、舟下りの後、元の場所に戻るのを人力車はどうだろう?別料金で、桜吹雪の時期だけとか」

などなど、話はどんどん厚みをまします。こういうのは素人には面白い議論です。

と、いろんな形の人々が、さまざまに磨き合い、笑い合い、考えあった時間。これでまた、参加者はなにかしら学び育ったのではないでしょうか?

分厚いテキストで専門家が話すだけ、では、今の時代を泳いでいける人は育ちません。人を育てるのは人、お互いが先生で生徒。それができる場を作り続けることが大切!飯田市にはそれを教わりました。