キラキラ南牧村

ゆとりある記

群馬県南牧村に行って来ました。都内から車で2時間半、台風一過の青空の下、古い造りの家々に洗濯物が勢い良くたなびきます。道沿いにはこんもりと茂る紫陽花が、大きな笑顔のように出迎えてくれました。

山深い滝、周りにしぶきが宝石のかけらのように美しく降り落ちます。おやつに田楽を頬張ると、驚くほどの力強いコンニャク。 この村の輝きと力強さを、身を運び初めて知りました。
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南牧村(なんもくむら)とは、そもそもこのお二人との繋がりがありました。私が何年か前、あるブログサイトの編集長をしている頃、盛んに南牧村発の地域情報を書いてくださっていた、神戸とみ子さん。そして、そのご主人の武雄さんです。お二人は、その後、スローライフ・フォーラムに何度も参加くださいました。とみ子さんは、シンポジウムのパネリストもしてくださいました。

このお二人との繋がりで、私たちのNPOスローライフ・ジャパンでは、南牧村の存在は常に大きくありました。それなのに伺うのが遅くなり、ごめんなさい。おずおずと伺ったのに、南牧村の空は大きく高く歓迎してくれました。

最初にうかがうべきところと、ご案内いただいたのが「黒瀧山不動寺」、千年以上の歴史を重ねる山岳信仰の霊場です。とはいえ、村の人からは「くろだきさん」と親しまれ、昔はここまで皆が徒歩で上がり、流れる滝は子供たちの遊び場だったとか。今も、座禅をさせてくださったり、気軽に見学できたりします。

山を登る急坂に車は焼けついた臭いを放ちますが、着いてからの展望は素晴らしい。この見晴らしだけで、上級の観光資源になるはずです。

滝のしぶきがキラキラ、ここはマイナスイオンが一杯。身体がふっと静まり、休まるのを感じます。滝の裏側に回り、眺める景色にもしっとりとした風情がありました。

ここにコンニャク芋の形をした碑があり、南牧村がコンニャクの地だと示しています。山から降りて、その田楽をいただきました。驚くべきほどの弾力、少々の力では噛み切れません。久しぶりに、コンニャクらしいコンニャクに出会いました。

コンニャクをいただいた「道の駅 オアシスなんもく」には、「母ちゃん本舗」という加工品を作るグループがはいっていて、この時期盛んに名物の「しそ巻き」を作っています。

作業中のところを覗くと、大きな活きのいい青じその葉が山。それにお味噌を巻く作業に皆さん大忙しです。

このしその葉がすごかった。勢いがあって、力強くて、これぞ大葉です。巻く味噌は、クルミ、ゴマ、唐辛子が入った甘辛味。しそで包んでカラリと揚げると出来上がり。ご飯にも合いますが、ビールのつまみにピッタリです。

東北地方にある定番の味、ここで作るものが日本の南限でしょうか?とにかく、観光客というより、地元の人が2~3パックずつ買って行くのにはびっくり。

そうそう、炭の入った真っ黒な麺類もいただきました。かなり前から「炭食」は各地で盛んですが、ここはお店の味付けがもともといいのでしょう。炭入りとしなくても、お客様を呼べる味。でも、炭入りだから、宣伝になるということですね。

炭入りでは、もっと先輩格のお饅頭が。“お炭つき”というジョークが書かれてありました。餡の中にコツコツとした食感でチーズがはいります。なんとか工夫して、新しいものをと努力してお店の方が作った熱意が伝わります。

故・筑紫哲也氏の蔵書も含む様々な本が「スローライフ文庫」としてある一室に置かれていました。いつか誰かが読んでくれる、それをじっと待っているようでした。

南牧村の家々には石垣があります。少ない平地、急斜面に家を建て、作物を作るための石積みです。ふと見ると、石の間にサボテンが生えていました。なんと、可愛い花を咲かせています。

石の間で、土も水もない環境で、でも諦めないで生きてきた。すると大きくはないけれど、それなりの花を咲かすことができる。そして、こうして写真を撮りブログに書く者も現れる、そんなことなのでしょうね。

田舎が注目される今、南牧村は意外に東京に近いということが災いかもしれません。もっと本格的な田舎暮らしを求める人には近すぎる。しかし、時々行く、または二地域居住などには向いているところだと思います。

南牧村の輝く魅力をもっともっと一緒に探し、磨いて行きたくなりました。それをするのは、2時間半の距離に住む、東京人の義務でしょう。