スダレと絵手紙と
群馬県富岡市、駅から歩きだすと絵の描かれたスダレが目に入りました。
ヒマワリの絵に「人生楽しもう」なんてメッセージ。いろいろな絵があっちにも、こっちにも。
名物・ソースカツ丼を食べたお店の奥さんが、偶然その仕掛け人。
絵手紙をされていて、古い蔵にはたくさんの作品が展示されていました。
人通りは少ないですが、たくさんの人におもてなしを受けた気になりました。
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上州富岡の駅を降り、ブラブラと駅前通りを歩き出すと。
「笑顔でおもてなし」とメッセージ。花はグラジオラスでしょうか?
あら、おもしろい!と見始めました。
開いているお店にも、閉店のお店にも、民家にも、いろいろなスダレが下がっています。
「跳べ」と言われれば、うん、頑張ろうと思いますね。
「人生楽しもう」、このおうちは文字通りきれいなお花を咲かせて楽しまれているようです。
スダレを見ていると、ついつい通りを歩いてしまいます。次はどんなのだろう?と、歩くことが苦になりません。
スダレは今や100円ショップでも買えるもの、これにみんなで絵を描けば、こんなおもてなしができるんだと感心しました。
富岡に来たならば食べたい味がカツ丼です。ここのはソースカツ丼、しかもお醤油ベースの甘辛味のタレをくぐらせて3枚のってくる。
このことは以前知っていたので、なつかしく「新洋亭」さんに入ったのでした。
地元客も、観光客もみんながカツ丼をワシワシとかき込んでいる。相変わらず美味しい!
会計の時に「スダレの絵がいいですね」とポツリというと、なんとこのスダレアートを実践しているのは、ここのおかみさん井上かずこさんでした。
私のことも覚えていてくれて、急に話が弾みます。
彼女は絵手紙をされていて、富岡で「糸車の会」というグループの指導もされています。
駅が新しくなったときに「何かをしたくて」始めたのがスダレアートでした。
「もう何年になるかな~、今年は市外の人が描いてくれてます。スダレを外しに行くと、お店の人がこのまま置いといてといわれて。嬉しいですよ」と井上さん。
「絵手紙飾ってある蔵があるから見て~」と案内されたのは、すぐ近くにある「絵手紙ギャラリー蔵」。
市に寄贈された古い蔵がリニューアルされて、そこに絵手紙を飾るようになったそうです。
絵手紙は葉書サイズだけかと思うと、いえいえ、いろいろな物にいろいろな大きさで、絵と言葉が描かれています。
お御輿置き場も兼ねていて、お御輿が絵手紙にワッショイと担がれているようでした。
この絵手紙の活動があるから、スダレアートもできるのでしょう。蔵にいる間、どれもこれも楽しくて、にぎやかな声が聞こえてきそうです。
井上さんとおしゃべりに夢中で、蔵の全景をとり忘れました!真っ白い、綺麗な土蔵。
その前はポケットパークのようにイスとテーブルが並び、ゆっくりできます。なにより回りがお花だらけ。地元の人がきちんとお世話されているんですね。
「まちをよくするために何かしたじゃない!みんなができることを何かすればよくなるのよ。絵手紙を募集して、上信電鉄の車両を絵手紙列車にするのもやってるの、いま旅行雑誌にも載ってる。あ、あげるこれ一冊」
といただいた『旅行読売』には、井上さんのお顔がありました。
私は井上さんとおしゃべりしましたが、富岡を訪れて、たとえ誰とも話さなくても、スダレアートを眺め、絵手紙を見て、ここで一休みすれば、たくさんの人にあったような気になるはずです。
井上さんのような人がいる富岡の街は、うらやまし限りです。
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