手づくりの交流拠点
おなじみの紀の川市に観光交流拠点が、オープンしました。
驚くのは多くの市民が実際に手を下して、ワークショップで拠点整備していることです。
壁を塗る、テーブル・イスを作る、配布するマップの情報集めも市民参加。
誰かが作ってくれた場所よりも、自分の時間が染み込んだ建物には最初から愛着がわくはずです。
観光まちづくりを進める、市民の心の拠点にもなることでしょう。
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果物産地紀の川市では(一社)フルーツ観光局という組織ができて、今、日本版DMOになろうと手を挙げ邁進中です。
その事務所も入るのがこの建物。「猫駅長」で世界的に知られる和歌山電鐵貴志川線・貴志駅の目の前に9月2日にオープンしました。
私と長いお付き合いをしてくださっている、紀の川市職員の方が「できたぞ~!」とポーズをとっておいでです。(笑)
その後ろにそびえる?のがその建物。ビルディングでもないし、小屋でもないし、なんとなく親近感が持てるプチサイズ。
なんといっても2階の目玉状の窓がユニーク。用がなくても思わず覗いてみたくなる、チャーミングな拠点施設です。
1階には、フルーツを活かした品物が。特産の桃がふんだんに使われたジャム。市民グループが地元創業企業と開発した「桃ハンドクリーム」。ハッサクのお菓子。等々珍しいものが並びます。
とにかく外国人のお客様の多い貴志駅です。ここにはいろいろな言語のパンフレットがずらり。
この拠点で相談して、「そうか近くでイチゴ狩りして帰ろう」とか「ほう?古い日本の農家や古墳があるんだ。ブラブラ歩てみよう」「名刹までサイクリングに行こう!」なんて思ってくれればいいわけです。
注目はこのマップ。高齢者には少し見にくいですが、駅近くのミニ情報が“下手上手”なタッチのイラスト・文字で描かれています。
これこそ市民参加の手作りマップ。何回もワークショップが行われ、貴志駅に降り立った人に10分くらいで歩いてほしいポイントを市民目線で実際に歩いて整えました。
プロの広告屋さんや、旅行代理店だったらまさか観光資源とは思わない、瓦屋根の鬼瓦や、苗木の畑、田んぼや、小さな祠、地元の和菓子屋まで、英語でご紹介です。
「外国人さん見てね、観光客さん歩いてね」という市民の気持ちが、素人づくりだからこそジワジワと伝わってきます。このマップだけ持ち帰ってもいいお土産になるでしょう。
2階に上がるとお茶会をやっていました。
茶会と言っても緊張しないゆる~いお茶会。ここの市民有志が立ち上げた「ふるうつ流」というお茶の流派?
茶菓子は地元の果物使用。お茶は自分で点てたり、点てだしだったり。とにかくリラックスする茶会なのです。
この日のお菓子はマスのなかに、イチジクの寒天寄せその上にブドウ、ナシ、そして白餡。
果物はもともと水菓子と呼ばれていたのですから、その甘さがお菓子のように思えてきます。
抹茶にあう!
玄関に「ふる~つ茶会」と大きな幕がありましたが、この幕とともにあちこちで、もう何回もこの茶会は開かれています。
ふと見ると、テーブルに果物の絵。あ、これも手作りなんだ。
藤の実と、フェイジョアの実が活けられて。これもフルーツ?
こんな設えの観光交流拠点なんて、いいですね~。
あら、壁も手作りです。珪藻土を市民の方々がワークショップで塗りあげました。
紀の川のイメージの流れが描かれて、あちこちにフルーツが。
よく見ると壁の果物はビーズでできています。これをどんな人がワクワクしながら壁に貼り付けていったのか。
それを想像してまたワクワクします。
驚いていると、「テーブルの下も見てください」とご案内が。
あらまあ、茶会をしているテーブルの天板の裏側には子どもたちの落書きです。
親子でこのテーブルや椅子をつくり、記念に落書きをしたのだとか。参加した親子は、「僕の椅子」「我が家作のテーブル」といつまでも自慢できますね。
市民参加の拠点整備を考え数々のワークショップを企画運営した地域おこし協力隊の新美真帆さんです。
これまでの普通の市職員さんでは、なかなかできなかったことにチャレンジしました。
全国各地に観光交流拠点施設は山ほどありますが、どれもがかっこよすぎたり、ハードはいいのに中身が伴わない、居る人に熱意が無かったりが多いものです。
市民参加、いや市民主体が観光まちづくりの基本。これからもこういうワークショップをどんどん企画していってほしいものです。
建物2階にある丸窓は小さな穴を手で回すと、外から見て目がクルクル回るという仕組み。
小さな拠点ですが、ここから市域はもちろん、世界360度を見回して、目が回るほどの楽しい交流を起こすように。
応援していますよ~。
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