おばちゃんの秋葉原

ちょっとしたこと

少し前は若い男性中心だった秋葉原が、変わっています。

高架下におしゃれな工房が並び、全国の逸品を売る「日本百貨店」が。昨年夏にはその食品館もでき、この春は駅構内に東日本各地“のもの”が買える「のもの」という店もできました。

こうなると、おばちゃんたちが繰り出します。私もその一人、先日出かけ、秋葉原で、なんと熊本の新鮮なフキと佐賀のお醤油を買ってきました。

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かつて秋葉原というと、新しい電化製品を買いに行くところ。我が家は千葉だったので、父親とワクワクしながら秋葉原に行った記憶があります。高校時代アマチュア無線に凝った時も、秋葉原へ通いました。

そして、月日は巡り、秋葉原がいわゆるオタク系の若い男性方の聖地のようになり、外国人旅行者が日本についてまずはめがけていくところになり、こちらは用がなく、乗り換えの時に仕方なく通り過ぎる人の多いところ、くらいの認識でした。

そこに「2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケー ゴーヨンマル アキオカ アルチザン)」というややこしい名前の商業施設ができたのが、2010年12月。これは秋葉原~御徒町間のJR高架下にできました。

ホームページの解説によると“「2k540」とは鉄道用語では東京駅を起点とした距離「キロ程」で場所を示します。当該施設は2k540m付近にあるため「2k540」とし、呼びやすく親しみやすいように、読み方を「ニーケーゴーヨンマル」としています。「AKI-OKA」とは秋葉原駅(AKIHABARA)と御徒町駅(OKACHIMACHI)の中間に位置していることと、秋葉原-御徒町駅間の高架下に人の流れをつくりたいという思いを込めて私たちが作り上げた造語です。「ARTISAN」とはフランス語で「職人」を意味しています。”とあります。

なるほどここを作ったJR東日本らしいこだわりです。とはいえ、覚えられませんが・・・。

傘や帽子、帆布のバックなどの専門店や、手作りアクセサリー、焼き物など、ここに並ぶ約50件のお店は、店というより工房、作ると売るが同居していて、時間があるときなどはのんびり回るのにたまらない空間です。アンティークのチョーカーが500円で外に出ていて、大喜びでお買い上げです。

特に目を引くのは「日本百貨店」、日本の各地からよくぞ探したという感じの、かわいいいいものがコレクションされています。あああ、おばちゃんとしてはこの店一軒ごと買いたいくらい。

ここで、海南市の棕櫚でできている「やさしいたわし」を知りましたし、なつかしいブリキのおもちゃなどにも久しぶりに触れることができました。こういうものに、秋葉原で出会えるのが不思議です。

東京駅近くに、全国のアンテナショップは数々あれども、その自治体のものをすべてそろえましたよ、という感じで、品物に強弱がなく、ひたすら根気よく品物を観察してその中からこれぞというものを選ばなければならない。

公平なのかもしれませんが「選ぶのはそちらで勝手にやってね」とほおられたような状態。最後には眼力、体力ともに
使い果たして、「アンテナショップは疲れるねえ」なんてため息をつくというのが最近でした。

もちろんセレクト品を並べるところも、東京駅近くにはいくつかありますが、秋葉原ですよ、秋葉原、ここにあることがうれしいです。

そして「日本百貨店」の「食品館・ちゃばら」ができたのが2013年7月。ここは平日はすいていますが、先日の土曜日などはかなり混んでいました。おばちゃんたちは興奮の食品館ですが、なになに若いカップルやおじさんもいます。

鹿児島県知覧の新茶を試飲したり、青森の黒にんにくの匂いを嗅いだり、静岡の桜エビを試食したり。味の日本巡りをしているようです。

私はくまモンのシールが貼られたフキを一束、そして、佐賀のかわいい高級醤油を買いました。

そして最後に寄ったのが秋葉原駅構内の「のもの」という店。店は大変小さいのですが、商品アイテムの多いこと。すべてに「山梨のもの」「宮城のもの」「栃木のもの」と店名の「のもの」が強調されています。

そしてお客の若い女性が彼氏に呟いていたように「ねえ、こういう風に一個ずつ買えるのいいねえ」なのです。

普通、各地のお土産として箱入りなどで買わなくてはならないようなお菓子や、おつまみなどがひとつずつ買える、しかもかなり最少単位のものが揃えられています。

いつも買い物で「多いなあ、余るなあ」だから買わない、としてきたものが買える!わけです。だから店員さんは絶え間なく荷出しをしています。ご苦労さまです。

しかも、おつまみ分野のランキング1位とか、数ある中でメリハリをつけて手描きの品のいいメモが誘導してくれる。

「ビールのおともに、おつまみとして食べた最後には、ごはんにのせて閉めのコンビーフ丼に」なんて書いてあると思わず、コンビーフを数袋買いたくなります。

しかしあまりの混雑におばちゃんは退散。今度しっかり出直しましょう。

こんなに秋葉原が楽しくなっていたのなら、もっと使いこなしましょう。おばちゃんたちは!違う人たちが街を使えば、街の色合いも変わっていくはずです。

ああ、「のもの」の出店で売っていたウドと曲がったキュウリを買ってくればよかった。新鮮で安かったなあ。

これからは新鮮で、珍しい、いいもの、が秋葉原“のもの”になるのかもしれません。