東京からで、ごめんなさい。

ちょっとしたこと

「やっぱり東京の人だね、素敵な服」「東京では毎日ご馳走食べているでしょ」、東京から地方へ行くと、とかくほめられたり、うらやましがられたり、が多かたものです。それがいま逆転しました、まだ東京でコロナ感染が止まらないからです。「来ないで」が本音であることは承知の上で、民宿などに泊まります。「東京からでごめんなさいね」と、つい謝っている私でした。

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東京差別という言葉があるのだそうです。ネット上で東京を攻める罵詈雑言もあるらしい。そういうものを見る気もしませんが・・・。感染者の出ていない自治体に引っ越しをした場合、子供たちが地元の学校に通うのを2週間様子を見てから、
とされたというケースもあったとか。そうなると、なかなか根は深いと感じます。

もともと東京だけが一人勝ちのような日本だったので、その東京に非があるとなるとすぐ炎上するのでしょう。かといって、私も仕事をしなくてはならない。PCR検査をして陰性の証明でもいただければ、堂々と県境を超えて移動できるとも思うのですが。

いつもなら現地のいろいろな宿に泊まって、宿の方やご近所と顔を合わせるのですが。先回の出張ではそれを控えました。
そして今回は民宿に一泊だったのですが、どうもいつものところに泊まる気にならない。婆ちゃん、爺ちゃんがいるし、小さな子も2人いる。もしも私が無症状で感染していたら、、、。と思うと一泊二食を頼む気になりませんでした。

他の、国道沿いの民宿にして、朝食のみの宿泊にしました。もともと店などない田舎ですから、夕飯などはどこかの空き家の軒下でパンをかじればいい。その方が自分の気が楽です。途中、何人かの人に会っても近寄らない。遠くからマスクを取って笑顔をみせ、お辞儀する。そんな感じでした。寄り合いに集落の人が怖がらないで来てくれるか?心配でしたが、皆さんマスク姿で集まってくれてホッとしました。

宿に泊まる時、熱を計っていただきそして手の消毒。宿帳を書き始めると、マスク姿の宿のご夫婦がなんとなく緊張したように思えました。「東京からのお客って、いやでしょう?ごめんなさいね」と私、つい謝ります。普通ならしっかり仲良くなり、食事の間も宿の方とおしゃべりしたいところですが、我慢我慢。向こうも寄ってはきません。お互いそうとう距離をとっての時間でした。

往復の長距離のバス、東京弁で運転手さんに停留所などを聞いたので、なんとなく運転手さんや他のお客さんも固まっているように思えてなりません。「ごめんね、東京から来ちゃって。ごめんね、まだ感染者が多くて」そんなことを思いながら、東京人であることで肩身を狭くしながら帰ってきたのでした。

人の増えた新幹線車中、そして東京駅に着くと何故かホッとしました。マスク姿の人だらけ、みんなが危険人物、私だけじゃない。そんな変テコリンな安心感だったのです。

翌日、日本橋で。こちらは仕事上のお出かけだったのですが、デパート前は人の行列。これには驚きました。お中元セールだそうです。消費が戻ったけれど、三密も戻った感じ。東京だけがなんだか特別に、もとの暮らしに戻り、それでまたコロナ感染者が増えている。それを地方からは驚異に思われている。東京だけにいたら、それがとんでもない状態であること、気づかないのでしょう。

密ではありますが、その混んだデパートで昼食を取らなくてはならない。東京に住むならば、それも受け入れなければならないサガなのでした。