人めぐり

お仕事で

人に会うのは、ここのところずっとオンラインでした。便利ですが、人に会ったという気はしません。それが、ようやく一日に7人を訪ね回る機会がありました。直に会うと、表情、佇まい、声の勢い、弾ける憤り、匂い、などが伝わります。出してくださった食べもの、生けてある花、窓の景色、家の様子などで、言葉以外の情報も受け取れます。人を巡ると実に学べるのでした。

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実は、同じ場所で複数の方とあっているので、1泊2日で延べ20人くらいの方に会いました。雲仙市でのことです。人に会うということは、その周辺情報も含めて人だと思うので、オンラインではどうにも会った気がしなかったわけです。この香ばしい名物「湯せんぺい」の香りは、zoomでは無理ですもの。災害にあった雲仙ですが、一生懸命日常に戻ろうと、手焼きするその手元の動きと、この香りに心打たれたのでした。

ご案内いただいた、小さな畑。宿の料理長が趣味?でやっています。畑を見ると人が分かります。繊細でいておおらか、収量よりも無農薬、在来種。効率的でない、おもしろい畑です。「へえ~、ほお~」と声が上がる畑。普段は気づかない、料理長の人柄に触れた気がしました。

立ち寄ったカフェ。久しぶりに会う女性店主が、丁寧に珈琲を淹れてくれます。珈琲にこだわっているお店だけあって、美味しい。この久しぶりの期、いろいろな人のためにこうして珈琲を淹れてきたのでしょう。一杯ずつ淹れる、その姿に気丈さを感じます。だから美味しいんでしょうね。

「まるゆで野菜」を造っている工房で。「お昼は食べた~?コロッケぐらい入るでしょう」と言いながら揚げてくださった「サツマイモだけ」のコロッケ。こんなに甘いんだ!と驚きます。コロナ禍でご商売は大変とうかがいましたが、こうして人を気遣ってくれる。懐の広い方だなあ、と思います。

外には、可愛いドラム缶ベンチがありました。訪れた人の気持ちがパッと明るくなる!きっと、主もそんな思いでこのベンチを据えたのでしょう。

泊った宿です。外に体験催しのプログラムが張り出してあります。おかみさんとzoomで話しているだけではわからなかったこと。この宿は動きがあるなあ~と、道行く人にわかる発信をしていますね。

同じ宿の玄関。以前、私が人からいただき、この宿にもプレゼントした「マザーズリーフ」がこんなに大きく育っていました。葉っぱ一枚からここまで育てる宿は、生ものを大事にする。つまり、人をきちんと大事に預かれる宿であることの証明です。葉っぱをいただいて帰りました。

ある方のお家にうかがいました。テーブルに、お庭の花を綺麗に生け込んであります。彼女のグループは、いつも食卓に花を生けることを常としています。そしておいしいものが次々と。暑い日だったので、まずは冷たいおしぼり。冷たいお茶。冷たい梨。その後、ゆっくりと、和菓子と丁寧に淹れた温かなお煎茶。

お仲間は、朝からジャガイモをつぶして、カレー味で揚げたものを作ってきてくださいました。あしらったシソの穂がうれしいです。

やはり、直接会うと情報量が違います。車で移動の途中、寄った農産物直売所で「ドラゴンフルーツ」を発見。市内小浜の農家さんが作っているとか。東京の高級フルーツ店で買えばお高いものが、250円!です。これを何人かで食べました。

「地元でこれを作っているなんて知らなかった」「どう切るの?」「栄養がすごいんだって」「この皮のギリギリまでおいしいね」「サボテンみたいな樹になるみたい」ナマの人がじかに数人集まれば、今度は情報が掛け算で増えます。

早くみんなでワイワイとしたいものです。