掛川で

ちょっとしたこと

先日、久しぶりに静岡県掛川市を訪れました。掛川ではずいぶん昔、地域づくりができる人を育てるための「学舎」を市が立ち上げ、そのコーディネート役で10年近く通いました。当時の「学人」さんとは今もお付き合いがあります。かつて通った居酒屋に入ると、ぶらりぶらりと懐かしいお顔が。そして「あの時学んだことが本当に良かった」とのお言葉が。うれしいお酒となりました。

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新幹線掛川駅に降りると、まずは「これっしか処」へ。ここしかない、これしかない、とチョイスされた沿線の産物を売るお店です。この新幹線掛川駅を利用する近隣の自治体のものを並べるということが出来た当時は珍しく話題になりました。今はもっと進化して「互産互消」のスローガンのもと、遠く北海道の町のものも売っています。東京を介さずに知り合った地方同士がお互いに助け合う仕組み。地元の人には、地元以外のものが新鮮でしょう。

私のように久しぶりの者には、お茶一色のこの棚がうれしい。

そうそう、この辺はメロンの産地でもあります。子メロン、漬けものに美味しいんですよね。お土産は後にして、まずは飲み屋さんへ。昔通った小さな居酒屋さん。お世話になった名物おやじさんは亡くなっていまは息子さんがされていました

焼津港が近い。鰹の美しいこと、新鮮なこと。

私の好物、黒はんぺんも。味覚から、懐かしさがこみあげてきます。

一緒の埼玉県の友達は、こちらの地酒に酔います。おめでたいことがあるときはよくこのお酒をプレゼントしたものです。これまた懐かしい。

昔のお仲間がぶらりと現れました。「学人」(がくと)として、この「学舎」に学び、その後私のゼミに入り、盛り上げてくれて、卒業後も自主活動を続け、掛川で初のスローライフ・フォーラムをやった時には、市民の皆さんの動きの芯になってくれた方です。この方に何度お酌をしていただいたか。この方と何度ハグハグしたことか。いろんな泣き笑いがありました。

「でもね、会社を退職して、地域おこしの学舎に入ってね、いちからいろいろ学んで、こうして年齢や職業も違う仲間が出来て、本当に良かった。もう年だけど、悔いはないね。楽しい人生だったと本気で思う」彼の話を伺っていると、こちらがジーンとしてきます。

市民の方々にこれほどのパワーと発想があるんだ!と、私に教えてくれたのは、掛川のこの方々でした。そして、久しぶりに思い切り抱き着いたのでした。

この日、泊めてもらったお家も、「学舎」出身の女性のお家。私の教え子というよりは、やんちゃな妹のような方です。お土産に持って行った、広島でいただいたアスパラをむきます。ああだこうだ話しながらの、台所作業が何だか心をほぐしてくれます。

彼女たちが作っている掛川名物の「栗焼酎」その、思い切り濃いのがありました。え~い飲んじゃえ!女たちの酔っぱらいはアスパラに甘いお味噌をつけて、盛り上がります。

さんざん飲んでしゃべっての翌日、これまた昔のお知り合いの事務所で出していただいた掛川の冷茶の美味しかったこと。とろりとして冷たくさわやか。私は千葉の出身、掛川は本当の故郷ではないのですが、一度私の身体に染みついたこの土地は、私を励ましてやさしく癒してもくれるところ、そう確信しました。