憧れの古民家

ちょっとしたこと

少し前ですが、長崎県雲仙市に移住した女性が借りた「古民家」にお邪魔しました。古いから住むのに大変かと思ったら、味わい深く、立派で、快適そうです。多少、畳がぶわぶわしたり、急な木製の階段に節穴が開いていたりしますが、そういうことを面白がれる人にはお勧めです。指物細工が立派だったり、部屋数が多く、引き戸が多かったり。都会のマンションとは違う豊かさでした。

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主である写真の彼女は、もともと雲仙市の地域おこし協力隊の方で、私とは仕事を通じて知り合った方。のどかないい人で、イラストも描かれます。今は、同市の観光に携わっておいでですが、彼女のところに、東京からいらしたお母様が同居し、二人で住み始めたマンションに押し掛けたこともありました。今はお二人で古民家ライフです。

それがあれよあれよという間に、というかのんびりとというか、古民家を借りて、住み始めたのでした。そして先日はそこで夕飯もということになりました。訪ねると、ご近所の方、主のお母様、友人の旅館の女将、市役所の方もやってきて。女6人のパーティーとなりました。どんなに笑っても、どんなに遅くなっても、気にしないのが古民家流です。

私も30代のころ、いきなり静岡の茶畑のなかに建つ古い家に住み始め、シェパード犬を飼ったり、畑をつくったりしました。川のそばで、お風呂に沢蟹がきたりしました。その思い出がよみがえるお家です。立派な農家だったようで、あちこちに細工があり、日本の技を感じさせるお家。

でもそれなりに、床を直したり、断熱材を入れたり、大変なようですが、その苦労も楽しいのですから、大きなおもちゃを手にしたようなものでしょう。隙間風も、ヤモリも、石だらけの畑も、みな楽しいのです。

私が私が気に入った最上のものは、この階段途中の“ノゾキ穴”です。入口の土間の横に、急な階段があって、その板に穴があり、のぞけば階下の土間の状況が分かります。これはぜひ、ふさがないで、貴重な覗き穴としてだいじにしてほしいなあと思いました。ね、下の覗いた写真、いいでしょう?誰が来たかもわかるはずです。

一階に何部屋もあるのですが、二階にも。まだ手つけずの部屋もありました。ここが綺麗になったら、泊まろう、と勝手に思います。

「土間が少し湿気っぽいんですよ」とのことですが、まあ、そんな悩みも楽しいの一部。ワンルームの土間もない暮らしの私からは、何でも置ける広い玄関?土間はうらやましいのです。

土間の壁は物置?物掛けスペースです。「釘をバンバン打って、道具かけにしました」とのこと。釘など打ってはいけない都会のアパートからは信じられません。

薪ストーブ、というか、ロケットストーブです。広いところを温められるし、上で料理もできる優れもの。「スーちゃん」とペットの様に呼ばれているそうです。薪はご近所から集まってくる。いいなあ。

うかがったのが夜だったので、石の豊富な畑の見学はできませんでしたが、「そこらへんからとってきた花」をお母様が生け込んで、迎え花を飾ってくださっていました。お雛様の段飾りを当たり前に置ける、知り合いとパーティーができる、鳥や虫を観察できる、ご近所がやたら世話をしてくれる、野菜は作れる、なんと豊かな暮らしでしょう。

この家の維持や畑の世話に、毎日が忙しいようですが、ま、スローライフは忙しいものです。こういうことを皆が面白がれれば、地方の空き家問題は解決していくのに・・・。あ、築何年の家か聞き忘れました。