「特急はくたか」ありがとう
富山県高岡市と、長いお付き合いがあります。そのため今回、北陸新幹線開通で消える「特急はくたか」には、ずっとお世話になりました。
越後湯沢から、ほくほく線を行くときは豪雪地帯の暮らしを間近に眺め、日本海側を走るときは、海原に向き合う漁師小屋に何度もカメラを向けたものです。
台風や吹雪でかなり遅れ、てんてこ舞いしたことも。車内で売られる「餡ころ」は夫の好物でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「特急はくたか」、この車窓からの風景が好きでした。真夏の一面の田んぼの緑。遠くの山、花、人。速いのではありますが、ゴトンゴトンと揺れながら、わりあいゆったりと進みます。
何をしに高岡へ、といえば、10数年前は商店街活性化の仕事のために。その後は、特産品の開発のために、そしてスローライフのフォーラムを開催にと、いろいろ変わっては来ましたが、行けば地元の人たちと小さな会合を何度も重ねてということには変わりありません。いまや、高岡の親戚に会いに行く、というような感じですね。写真は「スローライフ・フォーラム」(2012年)の分科会の打ち合わせ。
高岡は銅器などで知られる地。夏、「特急はくたか」を降りると、たくさんの風鈴が下がり、涼しい音で出迎えられたものです。
駅舎はきれいになりました。これは新幹線の新高岡ではありませんよ。普通の高岡駅が、先にきれいになったのです。
高岡駅を「特急はくたか」が発車するときは、特産品の仏具「おりん」の音色が響きます。なかなか素敵な演出。そのおりんが、駅のコンコースには飾られ、叩いて音色を楽しむことが出来ます。こういう音を楽しめる駅は世界でもここだけでしょう。
3年前にフォーラムをしたときは、改札を出た時に「高岡スローライフ逸品研究会」の方々が出迎えてくださいました。「特急はくたか」で来た人、西から「サンダーバード」で来た人。
錫製品の工房の見学もしました。高岡ではこういうツーリズムが楽しめます。
フォーラムのパネリストの皆さんも「特急はくたか」に乗りましたね~。
これはフォーラムのときの懇親会にでた黒とろろ昆布おにぎり。こういうおにぎりが、駅の売店やコンビ二で当たり前に売っています。昆布文化です。私は何度もこの昆布おにぎりを車中でいただきましたっけ。
国宝の瑞龍寺。このすがすがしい美しさに、短時間で出会えるようになるのなら、「特急はくたか」が「新幹線はくたか」に変わっても、良しとしなくては・・・。
何度も何度もこの身を預けた「特急はくたか」です。車中でパソコンと叩いたり、食事をしたり、爆睡したり、泣いたり、議論したり、大笑いしたり。私を高岡に、富山に、北陸に運んでくれてありがとう。
これからは「新幹線はくたか」のお世話になります。でも、この「餡ころ」だけは売っていてほしいな~。
“