越谷水辺巡り

ゆとりある記

埼玉県越谷といえば、ショッピングモールや、都心から近く暮らしやすい田舎という印象。最近は熊谷と並んで、暑さでも知名度が。ところが意外に、水辺空間が豊かなのです。大規模調節池があり、水辺にレイクタウンが整い、近くに農産物直売所や能楽堂も。炎天でしたが、目には涼しい越谷でした。

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大規模調節池にズバリ面した「越谷レイクタウン」駅に降り立ちました。以前も来たことはあるのですが、レイクタウンの巨大なショッピング空間をウロウロしたり、食事をしたりで、それがイコール「レイクタウン」の様に思ってしまっていたのです。

駅前の地図を見ると、池の周りには住宅街があり、たくさんの人達の暮らしがあることが実感できます。ではその水辺に行ってみましょうと近づくと、この日は暑すぎて車を降りる気にならない。それでも自転車を押す人が居る。あらあらウォーキングしている方もいる。

「暑い中お散歩ですか?」と聞けば、高齢者の男性は「うちにばかりいると身体が弱るからね、何回も歩くよ」と。足が弱るどころか、日中にサクサク歩けるのでしたら、充分にお元気とお見受けしました。

でも、これが排気ガスいっぱいの市街なら歩く気にもなりません。水と緑とそこを渡ってくる風があるので、歩く気分になるのでしょう。うらやましい限りでした。

水辺の樹々には名札がつけられ、鳴き声のする鳥たちも学習できるように看板が立ちます。近くには、江戸時代に名主を勤めていたお家が復元されていて、今様のタウンとは違う時間軸を感じさせています。のぞき込むと、プランターに育っているのは綿の樹ではないですか!昔、越谷で綿が作られ、藍染も盛んだったことを思い出しました、。

川も多い越谷です。水辺が暮らしの中にあるということは、災害の心配もあるかもしれませんが、それ以上に、精神的な安らぎを日常的に得られ、緑、鳥、風、などと触れ合えます。あれ~~お魚ですか?ボラでしょうか、鯉でしょうか。池といっても川と繋がり、水の出入りのある水ので干満もあるでしょうし、生き物もいるのでした。

ショッピング空間ばかりでなく、お魚さん達にも会う時間をつくらなくては、レイクタウンに住んでいいるのならもったいない!

さて、こぎれいな家々が並ぶエリアから少し行くと、なんと能楽堂がありました。埼玉県内唯一の屋外能楽堂、総ヒノキ造りだそうです。ブラリと立ち寄っただけなので、もちろんお能の演目はありませんが、展示物などをゆっくり拝見できます。

この静けさと落ち着きの空間は何だろう!と驚くしっとり感です。お手洗いをお借りしましたが、さらにびっくりです。普通はタイルなどで、水を流して掃除をする、効率優先のトイレですが、ここは板敷。磨き抜かれています。

白足袋でお手洗いまで入れるレベルまで、掃除が行き届いている。そこを市民が使える。このお手洗いだけでも、何かハイクラスの和文化に触れたように思えました。

「越谷にこんなところがあったんだ」と静かにたたずんでいると、奥の方から女性たちが・・・。「今日はヨガだったんです。畳の上で、お庭も見ながらなので、いいですよ~」と勧めてくれます。能楽堂のある施設内で、ヨガができる、優雅です。

少し車で行ったところのファーマーズマーケットを覗きました。なかは大変な賑わいです。暑くても、午前中でも、だからこそ、新鮮なモノを求めて人が集まるのですね。さんざん水辺の良さを感じた後なので、思わずメダカを買いたくなりました。越谷産のフルーツをお土産にしました。

最後に寄った、「はかり屋」という名の明治からのお屋敷。ここでお茶を売るカフェで冷たいお茶をいただきました。さわやかでうまみのあるお茶が、これも水辺に見えてきます。

水の近くに、新旧がある、緩急がある、都会と田舎がある、和と洋がある、これまでと違った越谷で潤った半日でした。