今年も円卓会議

お仕事で

群馬県富岡市で昨年行った「円卓会議」、今年もこの夏から各公民館で始まりました。地域を盛り上げるため、丸く輪に、円卓の雰囲気で話し合おうという試みです。話はあっちこっちに飛びますが、それが実におもしろい。話だけでなく実践にこだわるのが特色。「役所にやらされてる感がある会議はイヤ!」「課題ばかり並べずに、楽しいことからやろう」いずれも納得の意見ばかりです。

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今年度の一回目、ある公民館に私がお邪魔する前日のこと。たまたま聴衆として参加したシンポジウムでこんな話を聞きました。「行政が主催する会議で、課題が設定されていて、そこにぶら下がる形でいろいろなアイデアを出す、そういうことが一番いやだ。とかく、そんなことが多い」と。もっともな話です。

皆で話し合ったりしているうちに課題が見えてきて、それを何とかするための案を考えるならともかく、「あなた達、このことについて考えてください」とお題が決まっている。しかも、日程が決まっていて、効率的に形を整えなくてはならない。となると、まちづくりを考えることは、忙しい議論・案出しを押し付けられること、ということになります。もっと激しい意見では「行政が喜びそうなことを言っておけば、いいんだよ。適当にさ。早く終わらそう」と、ある土地の高校生からズバリ言われたこともありました。住民のなかには、そんな気持ちが育っているのです。

とはいえ、私もそのようなやり方をずっとしてきているわけでして。予算やスケジュールが決まり、成果を出さねばならない、行政側の立場もよくわかります。それに、議論に慣れていない人たちの話し合いは、誰かの長い長い自慢話や持論の展開や、普段のぺちゃくちゃおしゃべりの延長にもなりがちなのです。だから、みんながいやな気持にならないで、なんとなくうまく進んでいくのが望ましいわけです。

この富岡の円卓会議のおもしろいところは、自由度が高いところです。ほかの土地でも円卓会議という名で、まちづくりの会議をしているところがあるかとはお思いますが、富岡では、なかなか住民の方々が主体的で清々しい場面が多いのです。

先日のある公民館では、館の係の方が設営してくださったテーブルと椅子を、「この方がいいか~」なんてどんどん住民の方が形を変えてしまいました。自分たちが話し合うのだから、自分たちが居心地よい場にする。これでいいのです。

そして、ある公民館では「公民館の活用」という、いわゆる“お題”ができていたのですが、「まあ、それは置いといて」と、みんながやりたいことを出す。つまりは、そのうち公民館から離れての地域のミニ公園で何かおもしろいことやろうということになる。三角の公園だから三角のおむすびを集まって食べよう、なんて案になっていく。

「ちょっと議題から外れるかもしれませんが」と前置きしながら話す人には、「外れるの大歓迎」と声をかける。どんどん発想が広がる、という訳です。

だからこちらも大笑いしたり、「そんな考えあったんだ」と感心したり。私がやることなんて、飴を各テーブルに配ったりする程度です。(この私が写っている下の写真は、公民館の方が撮ってくださいました)テーブルに広げてある緑の紙は、公民館でのある月のスケジュールです。こんなにいろいろ利用されているんだ、というのは、館の人は全体を知っていても、利用する側は自分たちのことしかわからない。なので、こんなスケジュールシートを作っていただきました。館の担当者の方が、徹夜?して作ってくださった、力作。ほかにも、地域づくり協議会の活動写真記録も貼りだしてくださいました。そういう熱意は「ほう~?結構やってるねえ~」と住民の方々も館を客観的に見る材料になり、考える素材になっていきます。

で、こんなこと話したよ、という発表は、なるべく初めての人や発表機会がなかった女性たちがやってみる。それも、その方々のキャラを知ることになり、おもしろいのでした。何かを決めて、やってみるまでには時間がかかるかもしれませんが、まあ、この手作り会議そのものが既に何か新しいことが始まっている感があるわけです。

「見学させてください」という方は、有無を言わさず当然仲間に入っていただく。地域づくりに見学者はあり得ない、というつもりで、座してもらいます。外から傍観者に見つめられるのもいやですものね。始まったばかりの今年の円卓会議。さて、何が始まりますやら?ご興味ある方、どうぞ見学におこしください。即、仲間になれますので。