30分歩くと

お仕事で

群馬県富岡市で5地区の地域づくり「円卓会議」を手伝っています。地域活動センター(もと公民館)の建て替えを考える地区で、先日、会議前に周囲を歩きました。すると机上で考えるのと違うことが見えてきます。子育て世代が多い、湧き水がありホタルも飛ぶ、畑も多い、など。そうなると、単に何階建てにするか、なんてことよりも幅広なアイデアが出ます。周辺歩きを提案されたセンター長に感謝です。

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円卓会議のワークショップでは、アイデアを出して整理する、昨年と同じやり方を私はしようとしていました。でも、昨年「どうする公民館」のタイトルで話し合った中には、この公民館の特色のグランドの活用について、深く意見を出していませんでした。さらに、公民館をこうしたい、という意見を出す以前に、その立地がどんなところなのか、どんな人が住んでいるのか、わかっているつもりで話だけが前のめりになっていたのです。

新任のお若いセンター長から「まずは周囲を歩きませんか」とご提案があった時、正直、「そんな時間を取ると、結論まで辿りつかないかも」と、不安に思ったり、多少面倒に思ったりした私です。これは、私が効率的なワークショップに、慣れてしまっていたからだと思います。何ヶ所もあると、こんがらかって、1ヶ所ずつオリジナルのやり方を考える手間を、知らず知らずに省いていたのでしょう。

で、当日、まずは周囲を歩きましょう!と5つの班のに分かれて出かけました。思い出せば、昨年も、公民館の中を見学歩きして、ずいぶん意見が出たのでした。そうでした、そうでした。

だから、まずは現場を歩くのは正解なのです。グランドの横の道なき道をすり抜けると、そこには小さな神社がありました。参加者の地元の方が案内してくださいます。

「昔はここで子供たちがよく遊んでましたよ」なるほど、子供が自由に遊ぶのにちょうど良い、紙芝居屋さんが出てきそうなサイズの神社です。横には水をまんまんとたたえた池があり、たくさんの鯉が泳いでいます。「あの辺りから水が沸いてるんです」「え?湧水ですか?」「そう、この辺は水が豊富でね、ホタルも出ますよ」そんな、とんでもなく“いい場所”にセンターはあったのでした。

道はクネクネと曲がり、鬼ごっこしたら迷いそうな路地が続きます。あるお家の庭、おやまあ釜飯弁当の陶器がズラリ。よっぽどお好きなのかしら。ちょうど庭で作業中の女性と話します。「釜飯のお釜がいいですねえ」「ああ、近くで買えるからずいぶん食べましたよ。陶器は土に戻るし」なるほど。あっちにもこっちにも釜、釜、がかわいい。

線路がま直線に見える陸橋、これは撮り鉄さん達に教えたい、ポイントですね。これも地元の方の案内だから知ることができます。あら、花が綺麗。かぼちゃが咲いてる。花も畑もある。古い家もある。新しい家もある。こういうところで育った子供は楽しいだろうな。

日傘を参加者と分け合いながら、歩いていると初めて同士が仲良くなれました。ほんの30分なのに、センターがどんなところにあったのか改めて分かりまして。他のエリアを歩いたチームからも報告があります。するとこのセンターにもともとあったグランドがこの辺りでどれだけ大事な貴重な広場かわかってきました。センターだけのものじゃない、みんなが使えるグランド、それを活かした建物にしなくちゃ・・。

最初の30分歩きで、皆の目が開けたようです。