「かてて」
福岡県大刀洗町、手作り作品や野菜などがわんさか並ぶ「かててマルシェ」を覗いてきました。「かてて」とは、この辺の筑後弁で「かたらせて(参加させてという方言)」からの短縮系方言で「かてて」なのだそうです。のんびりしたムードのなか、物を買うだけじゃなく「このカゴどうやって編むの?」「赤ちゃん大きくなったね」などおしゃべりが飛び交います。私もすっかりお仲間に混ぜてもらいました。
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最初「かてて」とは、「買ってって」の略かと思っていました。本当の意味を知るとなんてかわいい言葉かと思います。これまでこうした活動は、「さくら市場」という名で移動販売でしてきた10年の歴史があるそうです。役場がお世話をしてきたのですが、だんだん自立をしなくてはいけない時期。いろいろなリニューアルを目指して名前も一新、その記念すべき特別なマルシェだったのです。
「ドリームセンター」という会場に入ると、まずは農産物販売が目に入ります。無臭ニンニク、安い~~安い~~。
地元料理「がめ煮」も美味しそう。お昼はこれを食べよう!でも、これ安すぎませんか?野菜類も50円とか、200円とか?もっとちゃんとお金をとればいいのに、と買う側が心配になっちゃいます。
本会場はこちら。手作りのものを作者がいろいろ売っていたり、体験ができるコーナーがあったり。コロナ対策もあるのでしょう、ゆったりとしたレイアウトです。東京の混雑とは全然違うゆる~いムードがいいですね。
造花やドライフラワーをテグス糸で繋いだ、ガーランドが可愛い。これ自分で作ってみたくなります。
女性たちの手作り品以外にも、こんな作品が。売り手はしぶいおじいちゃん。
地元の木材を活かしたチビチャン用の机と椅子。ふるさと納税の返礼品にも出ているそうです。
提案型のブースも。ごてごて品物を並べないで、セレクトショップ風にしているので見やすい。お洒落感がありますね。「大切なあの方への贈りものに」などという言葉に惹かれて、私は三角帽子の形の鍋つかみを、夫のために買いました。
ワークショップは子供たちに人気。まさしくここに「かてて」と入り込みたくなります。
売ろう、売ろうとしないから、売り手と買い手が肩を並べておしゃべりできる。いいムードです。
赤ちゃんを抱いたお母さんと作り手さんが長話。子育てのことから紐編みのことまで。この作家さん、かごのとってには左右別の模様を編み込むとのこと。芸が細かいです。
買い物するたびにカードにチェックが入り、3000円分買うと200円券がもらえます。頑張って買い物しちゃいました。
仕事で見学に行ったのですが、すっかり「かてて」ワールドにのめり込み、おしゃべりして買い物して、くつろぎました。単に、物とお金が行き来するだけでない空間、なかなか都会では作れません。
人は繋がりたいし繋がればいいことがあるのですが、いきなり会議の様に座っても繋がれないものです。こういうマルシェなんて仕掛けがあると、気が付くと何人かの友達が出来ている。そんな装置は地方都市の方が作りやすいと思います。
ご一緒した男性たち。普段はきっとこんなマルシェに、足を運ばないような人達です。それがこのゆったりムードの中、なんだかんだお買い物。「これシューズ入れにしようかと思って買いました」「カバンの中に入れる小袋にちょうどいいと思って」「眼鏡をたくさん持っているので」各人、買ったものを披露しながら実に楽しそうに語ります。「かてて」にはこういう男性たちの心をほぐす力もあるのですね。ポーチ、眼鏡ケース、布の袋を使うたびに、この男性たちは心がほっこりすることでしょう。
大刀洗町のこんなライフスタイルを「たちあらいふ」と呼ぶのだそうです。肩に力を入れずにゆる~く元気に健康に。そんな仕掛人の役場の方と、コンサルタントの方と。この女性お二人の笑顔に心より拍手です。
また大刀洗町に行きます、「かてて」くださいね。