「米粉フェスタ」で語る

お仕事で

新潟県胎内市で「米粉フェスタinたいない」、シンポジウムをしてきました。米粉は油の吸収率が低くヘルシー、腹持ちがいい、小麦アレルギーに安心、食感がいい。米粉用の米は休耕田で作れるので農業を守れる、食糧需給率を上げられる。

などなど、いいことづくめの意見。胎内市が先頭を切って日本を救おう!と盛り上がりました。米粉料理の味のお話も次回に報告します。

10月29日(土)、胎内市の産業文化会館に入ると驚きました。ステージの上に稲の“はさがけ”ができています。看板や懸垂幕の下がるバトンに稲がぎっしり、米粉について語り合う場作りのために、誰かが稲を確保し、朝からここに吊るし、作業をしたのでしょう。全国でもこんな演出はありえない、うれしくて思わず声を上げてしまいました。

胎内市とはそもそも2年前からの付き合いです。米粉発祥地であるのに市民に米粉が浸透していない、米粉でもっとまちづくりを進められないか?命題を抱え最初に最寄の駅・中条に降り立った時、米粉のこの字もない駅前に「う~む」とうなったものです。

せめて米粉料理を食べられるレストランはないのか?と思っても、米粉を売っているお店すら見当たらない、という現状でした。

だからこそ市が動き出したわけですが、その後のさまざまなチャレンジはこのブログのなかでそのつど書いてきたとおりです。いろいろな立場の市民が集まり、自由に語り、自由に料理を作りながら検討する“たいない「食」のわいわい会議”を開き、米粉だけに限らず、食を通して地域を見直そうと動いてきました。

昨年は実験的な「米粉かふぇ」をやり、米粉のあたらしい食べ方「べえべえ」がデビュー。今年常設の「米粉かふぇ」をオープン、日常的に「べえべえ」がランチで食べられるようになりました。

米粉を解いて薄く焼き何かを包んで食べる食べ方「べえべえ」のバリエーションを出すお店もいくつか。「べえべえ」に限らず米粉料理や米粉のお菓子を出すお店は22件、「米粉ぐるめ食べ歩きMAP]にまとまりました。

そしてさらに今年の事業の山場として、みんなが準備してきたのが「米粉フェスタinたいない」でした。
ふ~、説明しただけで疲れてしまった。

で、「米級グルメの祭典実行委員会」(A級でもB級でもありませぬ!)をつくり、あ~でもない、こ~でもないと皆さん、時間と汗を費やしてきたわけです。

フェスタの1日目は、市内にある新潟製粉㈱(全国初の米粉専用製粉工場。これがあるので胎内は米粉発祥の地なのです)、㈱タイナイ(新潟県産コシヒカリの米粉を使ったパン・パン粉を作っている)、㈱小国製麺(米粉麺・米粉パスタを作っている)3社の工場見学からスタートでした。

全国的に稀なこういう工場を市民はまだ知らないものです。人数限定予約制があっという間にうまったとか。これは私も次の機会に行きたいです。

そしてシンポジウムとなりました。魚沼市出身の大桃美代子さんのお話があり、その後の語りあいです。新潟大学農学部教授の大坪研一さん、新潟調理師専門学校校長の吉田育子さん、新潟製粉㈱常務取締役の藤井義文さん、胎内市「米粉かふぇ倶楽部」代表の近 永さん、そして私が進行役でした。

いいお話がたくさん出たのですが、かいつまんでメモすると。「そもそも米粉は上新粉など古くから使われてきた。だから身近なものだったが小麦粉のように細かくできずに、使い道が限られていた」「新潟県食品研究所では20年も前から、米粉を微粉末にすることを研究してきた。その技術を入れた本格的な米粉専用の工場が胎内市合併前の旧黒川村にできた。そこで大量生産されるようになった米粉は、大変に細かくかつ、栄養素が壊れていない優秀なもので、平成10年に工場ができて以来、日本の米粉事情が変わることになる。ニュー米粉の誕生、胎内市はそういう意味での米粉発祥の地だ」

「今までは米粉を使う大口のお客さま、メーカーに出すことが中心だったがようやく市民や普通の家庭に使いやすい少量の単位で流通するようになった」「しかし、まだパッケージの工夫や買える場所や、値段において手を出しにくい状況がある」「第一、米粉がいい、ということはわかっても、使い方がわからない」

「このたび胎内市内のお店でさまざまな米粉料理が食べられるようになった、それだけでも米粉に親しんで、使い方を覚えていくきっかけになる」「みんなが使えば、もっと安くなる、売るところも増えるはず」「小麦粉の代用品ではなく、米粉は米粉。そのよさを活かせる伝えられる市民になろう」「若いお母さんたちに米粉を使ってもらい、子供たちに米粉を伝えたい」

そして最後に野口発言!「胎内市が米粉のまちづくりで、日本の先頭を切って走ろう。来年は“米級グルメの全国大会”を胎内で開こう。そして“米粉ミュージアム”も作ろう。米粉を味わい米粉を学ぶ“米粉ツーリズム”もはじめよう。」

ああ、またまたこんなことを言ってしまった。みんな忙しくなるね。でも胎内の人たちは、米粉の力でもっちりと繋がって、腰があって強い、ますますおいしい関係になっているから、きっと大丈夫。平気な顔してやってのけちゃうと思う・・。

この日飲んだお酒の席、ある女性の言葉。「この運動はじめて、家にいても米粉のことニュースでったりすると、茶碗洗ってる手休めてすぐに見るの。すっかり米粉にはまっちゃって」男性の言葉。「オレさ、今の職場はやめられても、米粉は一生やめられない。それほど米粉が好きさ」

米粉市民増殖中、これぞ米粉力です。長いレポートですみません。(胎内からの帰りの新幹線の中でこれを書いていて、つい興奮してしまいました)"