チェーンソーアート
チェーンソーなど怖くて私は扱えませんが、このアートには興味がありました。
先日、福島県古殿町に行ったとき、まさにそのすごい作品が並んでいました。林業の盛んなまち、毎年イベントもあれば、チェーンソーアートを趣味にする方々も集うそうです。
こういうことから木に興味を持ち、皆が林業の大切さを知り、日本の山を維持できることに繋がれば、と切に思いました。
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先回「凍み餅」のことを書いた同じ古殿町。シーズンになれば「凍み餅」が売られる道の駅「おふくろの駅」に、大きな猪がありました。
近づくほどにすごい迫力です。今まで見たことのあるチェーンソーアートとはレベルが違う!
役場の玄関には、犬が。
馬が。猿も鳥もという具合に干支の動物が並んでいました。うかがえば、毎年行われるイベントで来町される、世界的に有名なチェーンソーアート作家の作品とのことです。
古殿町は林業のまち。車で走ればあちこちに材木が積まれ、製材所音を響かせています。
だからチェーンソーは日常的な道具、材料も山ほどあるというわけです。
林業のお宅を訪ねました。ご自身がチェーンソーアートをされ、ここはチェーンソーアート愛好家のたまり場にもなっているそうです。
うかがって驚きました。ここはご自宅に隣接する「サロン」。
床も天井も壁も、木でいっぱい。ふんだんにいい木材が使われています。藤ツルでも巻いていたのでしょうか、この大木は伐られてようやくツルから解放されて、いま悠然と柱として立っているように思えました。
「山奥なので飲み屋もない、だからみんなが集まってワイワイやれるところをつくった」とは主の弁。
大きな一枚板のテーブルの奥には卓球台もあります。お風呂もあって、二階は何人もが泊まれます。
たくさん人が来るときは、このカウンターに料理を並べてバイキング方式。料理も好きな人が作る、持ち寄るという仕組み。
当初はチェーンソーアート愛好家のサロンだった場所ですが、奥さまいわく「だんだんいろいろな山での体験のできる場所にしたい」とのこと。
何も特別な体験をしなくとも、ここのおうちやサロンに使われている木について解説いただき、木の魅力に触れさせてもらい、使わせてもらうだけでも大満足だと思うのですが。
マキ割りや、自然薯堀りや、ネーチャーゲーム、漬物作り、プチ・チェーンソーアート体験などなど、企画していただけるなら、ぜひ!とワクワクしてしまいます。
水野武雄さん、水野瑞子さんご夫婦です。チェーンソーアートがきっかけでうかがったのですが、お話はどんどん広がって。
「山はいいよ、ストレスがない。冷え込む時の空気がしまった感じがいい。仕事はたくさんあるし、いつも人が足りない。若い人がいまこそどんどん林業に飛び込んできてほしい」と水野さん。
とはいえ、なかなか続かないのも現実。「身体はきついし、危険だし、覚えるのに時間がかかるからね。でも都会で精神的につらくなるよりずっといい、人間的な仕事。やればきちんとお金にもなる」
お話をうかがっていると、今からでも私ができないかなんて考えてしまいます。
今度はチェーンソーアートの現場を見せてもらいましょう。大木にもう一つの命が刻まれ、周囲に木の香りが満ちる創作の時間は、感動するはずです。
そして、木のもつ力、木とともに生きる人の力を再確認できるでしょう。
水野さんご夫妻の笑顔に触れると、木に囲まれる暮らしは人をこんなに健康にするのか、ということが分かります。
巨大なテーブルでいただいた、手づくり沢庵の美味しかったこと!
薪ストーブで温まりながら話し込むうちに、外は真っ暗。そこに奥様が飾ったイルミネーションが輝きます。
「母が見たがったから。それに山仕事を終えて真っ暗のなかを無事に帰ってきてほしいから」と19年前から飾り、電球を増やし、今では3万球が光っています。
何千人集客しよう、なんて皮算用している都会のイルミネーションとは、灯す志が違います。これも今度お手伝いしてみたい。
山の中のこの輝きを心に刻み、帰ってきました。
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