にっぽん商店街シンポジウム

お仕事で

‘商店街の活性化’に私がかかわって、何年になるでしょうか。最初は1994年、静岡市・呉服町名店街。当時は静岡在住で、自分の街を何とかしようと夢中でいろいろ試みたものです。「一店逸品運動」はそこから生まれました。それから10数年が経ち、果たして日本の商店街は良くなったのでしょうか?検証の意味も込めて、シンポジウムが開かれます。 http://www.shotengai-sympo.jp/

呉服町での「一店逸品運動」は今でも続いていて、頭が下がりますが最初の出発はこんなことでした。商店街の方々の会合に出るとたいてい「ため息」からのスタートです。売上げがない、大規模店にはかなわない、駐車場がない、後継者がいない、‘ないない’尽くしで、一番ないのが笑顔です。

呉服町名店街の会合もそうでした。腕組みして、タバコをふかして、おじさんたちが深いため息。そこに加わった商店街ではない立場の私には、何でため息なのか不思議でした。立地もいいし、いいお店がたくさんあって、いいモノを売っているのに、大好きな商店街なのに、もっとニコニコしてよ!という気持ちでした。

最初は、商店街のロゴやテーマカラーなどを決めるコンセプト探しの会合だったのですが、だんだん方向を変えていきました。だって、立派なロゴができたところで、お店の人が立派でなかったらどうしようもありません。で、とにかくワークショップです。

お互いの店のいいモノいいコトを総ざらいして出してみる。商店街のいいところ・悪いところを探す。今後、何を目指すのか、どんな要素が必要なのか皆で考える。さまざまなことをやりました。

会合のたびに各人、これはいいモノだ、いいコトだと気づいたモノの現物や話を持ち寄ります。他の土地で見てきたコト、愛用の品物など、おみやげの物と話で盛り上がりました。

こんな時間を過ごしていくと、わが商店街には結構いろいろ特色やいいモノがあるじゃないか、というのが見えてきます。「うちは何も特色がない」と言っている店に、数十年変わらない定番の餡ドーナツがあったり。毎週花を活けてその説明を横に書くとか、傘の修理や包丁研ぎをしてくれたりとか。その店にとっては「あたりまえにやっているだけだから」ということが、実はすごいこと、というのがだんだんわ
かってきました。

それまで情報発信といえば、10%割引とか、金魚すくいと歌手が来るイベントありますとか、価格とイベント訴求でした。商店街の各お店の底力というか、自慢というか、そんなことを一同に伝えたことはありませんでした。

ひとつひとつは小さなことでも、繋がればネックレスのよう
にキラめきます。各お店のすぐれたモノ・コトをお店の前にフラッグにして目立たせ、ポップにして出し、全部を集めて保存版カタログにして印刷する、ということをやりました。「逸品フェア」「逸品カタログ」の誕生です。

あわせて、皆で考えた新しい逸品「新逸品」もデビューさせました。自分の店のこととなると、真剣で気持ちが重くなるのですが、他の店に「こんなの作ってよ」というのは気が楽です。

新しいパンを作るアイディアをみんなが考えてきたり、そのパンの名を各店の従業員・家族までが参加して考えてきて、たくさんの名前の中から投票で決めたり。他店の商品開発を皆が共有しながら、学習です。こうしているうちにつながりも濃くなり、何時しか会議にも笑顔があふれるようになったのを覚えています。

「一店逸品運動」というのはモノやサービスの開発と思われがちですが、最終的にはそれを通してお店の人が逸品になっていくことだと私は思っています。してがって、静岡・呉服町名店街の成功を聞いて視察して、カタログだけを作っても失敗に終わります。人が変わらなければ、店も、商店街も、街も変わらないからです。

静岡のあと、富山県高岡、新潟県加茂、宮城県鳴子温泉、山梨県富士吉田、栃木県足利、愛知県瀬戸と、もっともっと各地にうかがってきましたが、その地その地の逸品運動を咲かせているように思います。

長い話になりました。10月21日(金)~23日(日)名古屋で「にっぽん商店街シンポジウムin愛知・名古屋」が開かれます。私もうかがいます。今日のブログはシンポジウムでの発言の予習みたいになりましたね。

分科会や販売もあります。そしてなにより全国の商店街の皆さんが、直に交流することが何より楽しみです。皆さん、名古屋にお越しください。そして、私を見つけたら声をかけてくださいね。(和服のオバサンを探してください。)