地元で愛されないもの

お仕事で

ことばは続きます。「地元で愛されないものが、来訪された方々に受け入られるはずがない!」山梨県富士吉田市での商店街逸品運動のカタログに掲げられたコピー。

これを商店主たちが考え決めたとき、アッパレと思いました。話題をつくるために奇をてらった逸品デビューが多い中、こんな‘憲法’を掲げた逸品運動はブレません。「富士山逸品」の開発が今年も進んでいます。

富士吉田に通ってもう何年になるでしょうか?まちづくりのワークショップや、着地型旅行商品の開発プロジェクトなど、様々な仕事で富士山の麓へ通っててきました。一店逸品運動は3年目。「富士山逸品」の名で、少しずつ運動が定着しつつあります。

商店街は何処も同じシャッター街。富士山を目指す観光客は多く、今年も例年を上回る登山客があったにもかかわらず、街にはお金は落ちません。商店の人たちは、まちの住民よりも、観光客めがけて何か変わったものを作り、土産物屋で売りたくなります。

それも一つの道ですが、それだけに走るとそもそもの商売が揺らいだりしてきます。逸品作りでは、特に観光地では、誰に向けて作るのか?がいつも問題になるものです。紹介したコピーは、ウンウン悩んだ逸品会のメンバーがたどり着いた結論。

コピーはさらに続いています。「富士山逸品とは・・・①地元商店として、富士山の環境に優しい取り組みを実践しているものであること。②‘富士山の恵み’を活かし、安全で安心して利用できるものであること。③お客様から支持され、富士山のように日本一を目指すものであること」ことばは素人っぽいですが、気持ちが伝わってきます。

こんなメッセージを書いた、逸品のカタログ作りが今年も始まりました。自分の店の逸品は何か考え、披露する会議にはいろいろ持ち込まれます。富士山の伏流水を使った焼酎・金粉入り。富士山の絵が描かれた笠をかぶった手びねり地蔵。

富士ヒノキを使った組み立て式の風呂桶。他のグループが作った、地元の織物のハギレ使用の富士山型巾着は参考商品として。これは富士山に捧げる吉田の火祭りの際に出た炭を詰めて火除けのお守り兼、防臭袋になっています。

まだまだ未熟な逸品かも知れません。が、みんなが頭を寄せて考えているうちに、まずはそのみんながその商品を愛するようになります。他の店のものでも、解説できるようになります。「俺も使ってるけどね。あの店のあれはいいよ」と、お互いが薦められるようになれば一歩前進でしょう。

まずは、地元で愛されないものはダメ。逆に、地元で愛されれば、外の人にも愛されるというものです。

名物「吉田のうどん」は、地元の人が愛してやまないもの。今や、うどんめがけて観光客が来るようになりました。今回食べたのは、太いキンピラ入り。定番の馬肉・キャベツ・ニンジンも入って、辛味もたっぷり入れて。ご馳走様~。