フルーツ茶会
果物産地の和歌山県紀の川市で「フルーツ茶会」がありました。果物を作るだけでなく、文化も育てていこうという市民有志の試みです。
果物画の幕が張られた会場に、桃の花・金柑・キウイが活けられ、イチゴ・八朔などの入った葛餅と、生の果物をいただきながらのお抹茶。茶券には果物のうんちくが書かれ、「フルーツ川柳」の張り出しも。
こんな茶会、世界初でしょう!
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紀の川市では「フルーツ・ツーリズム」を育てようとしています。昨年から市民を公募し研究会を立ち上げ、フルーツを核に、どんな交流おこしができるかを、ワ―クショップ形式で進めてきました。
皆がたくさんのアイディアを出し、まとめながら、今年度内でやれそうなことを実験してみよう!と、この茶会の開催となりました。
2月22日(日)出掛けてみて、まず驚いたのが「フルーツ茶会」と大書きした幕のお出迎え。メンバーのお知り合いの書家の方が、現場でエイッと書き上げたそうです。さっき誰かが書いた、という感じのみずみずしさです。
まわりの竹は、やはりメンバーのご主人がせっせと切り出してきたもの。手近に竹があり、切れるというのがうらやましい。東京ではこうはいきません。
入口には、他のチームが公募していた「フルーツ川柳」の一次選考を突破した作品が張り出されています。茶席が始まるまで眺めては、つい笑ってしまう。会場入り口に笑いがあるって、いいですね。こうしていくつかのチームで実験をしています。
おお!いつも「ガハハ~~」と笑っている女性メンバーが、着物です。なんとなく、フルーツ色の色無地をそろえてあるような。
紅い傘が立つ、お点前の席には、青竹の結界。そこになんと果物が活けこんであります。キウイフルーツの皮をくるくると巻いてバラの花のように。金柑の実や桃の花のつぼみも。周囲は桃畑の会場、どこかの枝をこの日のためにほころばせたのでしょうか。
今回は役所からの少額実験補助?もあり、茶券は300円。そのお茶券には、フルーツについての効能やうんちくが。待ち時間、紀の川市の果物について、ひと学びできます。そして幕に描かれた紀の川と、その果物産地の説明も。
男子は作務衣やスーツ姿。おもてなしするぞ!の意気込みを感じます。おや、胸には素敵なデザインのバッチ。同じデザインの紋のが女性の着物にも。
これは、この日のために作られた茶道「フルーツ流」の家紋のようです。缶バッチにしたり、プリンターで出してシールのように貼ったり。一つデザインができると、いろいろできますね。
フルーツをカットしてアートに。これはお仲間の専門家の技。後ろの幕の絵も、スタッフ作。
お菓子が運ばれました。イチゴ、八朔、キウイの使われた、創作“葛餅”?です。器もフルーツ!皆スタッフが前日に。
昔は果物は水菓子だったのですから、お菓子にさらに果物を自分で盛ります。フルーツバイキングですね。糖度の高いキウイなどまさにお菓子でした。
食べている果物について説明が。普段何気なく食べている物をあらためて確認します。説明者もにわか仕込みなのですが、実にお上手。
今回は、自分でお茶をたてて、向かいの席の方に出すという画期的?な趣向。それぞれに茶碗と茶筅が配られ、お湯が注がれて。皆がこれからお手前です。茶釜をのせているのは見事にカバーされた台車、我が家から運んだのでしょう。お着物姿は実は桃農家です。
シャカシャカシャカ♪パパは初めてのお手前。娘さんに教えられながら、いい記念ですね。
どうぞとお向かいの方に出す。初めての方がこれで皆知り合いになりました。参加できるお茶会は、まさにフルーツのもつリラックスした雰囲気にぴったりです。
茶券にも領収書にも、アンケートにも、紋が。このデザインで、エコバックや風呂敷や、トートバックがほしくなりました。次には作ってね!
何席かが終わり、片づけが始まりました。手早い手早い!向うの山には黄色い八朔が実り、ニコニコと笑って世界初の「フルーツ茶会」を見守っていました。
ああ終わった~。疲れた時には甘酸っぱいフルーツです。スタッフが残りをパクリ。ご苦労さん!
受付の後ろに置かれたラジカセ?ここから流れる環境音楽みたいな音が妙によかったです。皆でこれを選んだのでしょう。
この茶席は、お茶会をするための場ではありません。チームの皆が繋がって、知恵を出し、技を出し、市民がやる気になればこういうことができるんだと確信するための場です。
テーブルクロスにしわがあったり、幕の張り方がつれていたり、自己紹介を忘れたり、ばたばただったり、そんなことは当たり前!実験なのだからね。
皆が自信をつけていろいろ学べたのだから、大成功です。"