開くか、閉じるか

お仕事で

きれいな庭のお家、「どうぞご自由に」と。いわゆるオープンガーデンです。開放された個人のお庭で花々に囲まれて、立ち寄った人たちが集います。一方、別の通りは、いわゆるシャッター通り。シャッターを開ければ、元のシューウィンドウなどがまだあるのでしょう。そこに、写真や、絵などを飾ったりすれば、商売をしなくても道行く人が楽しくなるのでは。自分の世界を他者に開くのか閉じるのか。その選択に街の未来がかかっていると、北海道池田町を歩きながら思いました。

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「とかちオープンガーデン」20数箇所のお庭が紹介されるこの催しに、池田町からは2軒のお宅が参加していました。そうとは知らず、歩いていて偶然私はこの美しいお庭へ気づいたのでした。東京ではもうバラの時期は終わっていた7月初め、池田町のこのお家はバラが満開。バラだけではありません、クレマチスや私の知らない青い花、白い花、ハマナスの花も、、、。ちゃんと名札も付いていて、花の学習もできます。

入り口の「ご自由にお入りください」の看板で、私と同じようにお庭に入ってきたのでしようか、女性3人がにぎやかに。聞けば毎年この庭に訪れるとのこと。同じ十勝ではありますが、違う町からの方々です。通りから100メートルほど奥に伸びたお庭、通りを車でサッと通る限りは、こんなに素晴らしいお庭が続いていることに気づきません。敷き詰められた石畳、ヨーロッパ風の彫刻、乙女チックなベンチ、いろいろなしつらえを眺め、のんびりしていたら、このお家の奥様がアイスティーを出してくださいました。

そこでまた園芸談義です。「この花は強いの、ほっといてもどんどんふえる。名前はね〜」「こういう構造物は主人の担当なの」お庭の入り口には手作りの洋風東屋も建っていました。

すっかり花盛り気分で歩き、別の通りに出るとそこは元は賑わっていたという大通り。どこの地方都市にもあるシャッター通りです。見事にシャッターの閉まった元商店が並んでいます。道路を車は通りますが、歩く人は犬の散歩の人程度。せめてこのシャッターを開けて、一軒ずつが何かを飾れば、楽しくなるのに。

まあ、それは、よそ者が気軽に思うこと。このシャッター街の方々も、望んでそうなったわけではありません。賑わってほしいと、これまでにいろいろ努力はされてきているはずです。きっと力尽きたのでしょう、ご高齢なのでしょう。

先ほどのオープンガーデンのようなお家が、せめてあと5軒あれば、そこを巡る人の流れができるでしょう。他所から人も来るでしょうに。ガーデンでなくても、諦めて閉じてしまったシャッターを開けてみませんか。開けなくても、何かメッセージを考えませんか。絵を描いてもいいし。ベンチを置いてもいい。外に向かって、気持ちを開きませんか。そのためにはどうしたらいいのか?まずは一緒に考えたく思います。