活版印刷体験

ゆとりある記

岐阜の「長良川おんぱく」という催しで、生まれて初めての活版印刷を体験してきました。

活字を拾い、活字を組み、インクを練って塗り拡げ、ローラーにつけて、紙を挟み、レバーをギュッと押して初めて印刷されるいくつかの文字。

その仕上がりの愛おしいこと・・・。この世に一つのメモ帳の完成に、参加した女性・子どもたちは惚れ惚れです。パソコンの世界にはない魅力でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「オンパク」の説明をすると長いので、別府温泉発祥の地域資源を活かした体験講座を町じゅうで展開する観光交流システムといっておきましょうか。詳しくはこちらを。
   ↓
http://japan.onpaku.jp/

全国に広がっていますが、長良川でも取り組んで今年で4年目だそうです。こちらも詳しくはこちらから。
   ↓
http://nagaragawa.onpaku.asia/

140の体験プログラムがありましたが、うかがった日にできるのはいくつかしかなく、たまたま空きのあったこの講座に参加したのでした。

それが良かった~~~!


まずはこれが会場?の外観。120年前の町家だそうで、お仲間がいなかったらたどり着けなかった感じ。印刷所という大きな看板を探していたのですから・・。


先生はここ「ORGAN活版印刷室」の直野香文さん。保育士の資格も持つめちゃくちゃ明るい方です。


室内に入ると、既に女性や子どもたちの笑い声がしていました。裸電球の灯りがなんとも活版らしい・・。


さて、先生から簡単なノートを作る説明があり、表紙に印刷する文字を考えるように言われます。部屋のあらゆる壁が活字だらけ、書体も様々。さてなんとしよう??自分の名前を選ぶ人、今日の日にちを入れる人、活字探しに皆がうろうろ。


その間に先生はインクをコネコネ。ノートに印刷する罫線はみんなで選び、色はゴールドにしました。


使う印刷機?は100年物だそうです。壊れたらどうするの?と心配すると、仕組みが簡単だから分解掃除もできるほどの機械。直すのも簡単だとか。IT機器なら、総買か替えが当たり前なのですが・・。


選んだ活字を先生が枠に配置し、特別な道具で動かないようにがっちりと締めていきます。


まずはみんなが選んだ罫線いろいろがお行儀よく印刷されます。歓声が上がります。写真は閉じてからの物、本当は1枚ずつ自分で酢って洗濯ばさみに干して、です。


紙を挟んでレバーを引くだけにしてくれるので、子どもでも印刷ができちゃう!記念写真を撮る撮る!母子のいい思い出ですね。


私のノートはこんなふうになりました。「記」という漢字一文字を置いたのが成功、智子の名もかっこいい。表紙の柄は最初から先生が刷ってくれていたものです。活版の少し文字が凹むその味わいがたまりません。

本当は2時間で終わるはずの体験が伸びる伸びる、それでお終わらずに私とお仲間はおいとましたのですが、本当はもっとみんなと居たかった。記念写真も撮りたかった。そのくらい、参加した女性5人と子ども2人が仲良くなっちゃったのです。

活版力?というか、直野先生の人柄のせいか。

みんなで何か作る、自分のセンスが光る、その場で労働が対象化される、そのすべてがおもしろい。おしゃべりもとまりません。

パソコン作業では皆が黙々と一人でやっていますが、活版では文字を探すのは体力勝負、組むのはセンスの見せ所、印刷は手と腰の力が必要、など身体を使い、かつ、その間に隣の人と会話ができます。

昔の本当の印刷所では皆が黙々と働いていたのでしょうが、今では活版は癒しとコミュニケーションツールだ、と気づきました。