たらい舟
岐阜県大垣、大垣城の外堀で名物の「たらい舟」に乗りました。由来は関ケ原合戦まで遡りますが、そうした戦国秘話よりも、とにかくおもしろい!
普通、乗り物は、より早く効率的にと進みますが、これは逆。楕円形の舟は、船頭さんが操れど、右へ左へクルリクルリ、回りながら少しずつ進みます。
おかげで前後左右の景色はもちろん、空も水の中も眺められ、のーんびり。たらいで心が洗われました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大垣市に行ったのは、和歌山県紀の川市の方々と。ここでの「おむすび博」の視察でした。何もおむすびがたくさんたべられるのではなく、大垣が松尾芭蕉「奥の細道」結びの地であるためにこの名があります。
商店街でクイズがあったり、体験型の小さな講座があちこちで行われたりいわゆる「オンパク」手法のイベント。その視察はそれとして、同時期に行われていた「たらい舟」にお仲間のお誘いで乗ったのでした。
大垣城の外堀にあたる水門川、乗船場にはプカリプカリとたらいが並んでいます。これだけでも、愉快!どこに保管しているのか?一艘造るのにいくらぐらいかかるのか?など、つい余計な心配をします。
たらい一艘、2000円で3人まで乗れるのですが、重量制限あり。
お仲間の巨大な方はパス!写真班になってくださいました。ありがとう。
そもそもなんでたらいなの?というお話の説明が乗船前にしっかりあります。
かつて関ケ原合戦の際に、大垣城の主・石田三成に仕えた山田去歴は、徳川家康の書の先生。家康は攻める前に密かに逃げることをすすめます。そこで去歴の娘「おあん」は、命からがらたらいに乗り堀を下り、落城する大垣城から抜け出した、とのこと。この歴史秘話 にちなんでこの観光船ができたわけです。
「おあん」さんには申し訳ありませんが、そのおかげで、こんなに楽しい趣向が出来上がりました。
さて、1.1キロ、30分あまりの舟旅?が始まります。船頭さんは大学生のアルバイトですが、お上手。適度に話し相手にもなってくれます。たらい舟を漕げるというのは、就職にも有利かも・・・。
最初はおしゃべりなどに夢中でしたが、そのうち気づきました。この、たらい舟は進みにくい!一本の竿で、右、左と漕ぎのですが、クルリクルリとそのたびに、90度以上は回転します。遊園地のコーヒーカップの乗り物のよう。
真っ直ぐ進む舟ならば気づかない左右の紅葉や、散歩の人、家々、ワンちゃんなどが緩やかに目に入ります。後ろに続くたらいのお仲間に手を振るのも容易、思わず動画で記録したくなります。
水の都だけあって、水が綺麗。水草がなびき夏にはもってこいでしょう。見上げた空には鳥、紅葉。期間限定ではなく、毎日運行して欲しいなあとわがまま言いたくなります。
松尾芭蕉が結びの句を作ったあたりには、いまも当時の灯台が残り写真ポイントになっています。その辺りが下船場、お名残惜しいのですがたらいをおりました。
たらいに乗っていた時間は、産湯につかったような安心感とリラックス。時間に追われざわついていた気持ちも、すっかり清らかになったようです。
こんな乗り物、全国にまだまだありそうですよね。
“