頑張る女性たち
2001年から続く、北海道阿寒湖温泉の「まりも倶楽部」。2006年からの、東京八王子市の「エンツリー」。いずれも女性たちの地域おこしグループです。
久しぶりにお会いすると、かつての活動に続く地元のマップ作りをしていたり、講座づくりから場づくり、そしてセンターの運営管理をしていたり。
しぶとくちゃんと続いていることに驚きます。しなやかに笑いながらがコツのようです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
阿寒湖温泉のまちづくりの会議。久しぶりに行くと、計画も資金も大変大きなプロジェクトが動いていました。
話題は大きなことに流れがちですが、その中で「まりも倶楽部」の女性が、みんなで作ったマップについて説明してくれました。
タイトルは「ようこそ阿寒湖1年生」。今、観光地では、そこの土地の人でなくとも、ホテルなどで働き観光客のお世話をするスタッフが増えています。
短期の仕事でも、そこの土地のことを詳しく知っていなくてはならない。でも内実は、仕事に追われるばかりで、自ら地元を楽しんだことがない。そのうちまたどこかに行ってしまう。
阿寒湖温泉にいる間に、ぜひここのファンになってもらいたい、そして自信をもってお客様にご案内してほしい。
そんな思いで彼女たちが作ったマップです。多言語でのバリエーションも。
「昔の活動が、今、また活かされています」と語る、女性たち。
そう、かつて、彼女たちは地元をていねいに歩き四季折々のマップを手描きしたり、各ホテルの温泉に入ったり、商店街に花を植えたり、名物料理を作ったり、カルチャー講座をしたり・・・・。いろいろな活動をしてきたのです。
そんな蓄積があるので、「せっかく阿寒湖で働くことになったなら、休みの日に部屋に閉じこもってないで街に出てきてほしいんです。地元のおばちゃんが教えてあげるって感じで作りました」
地域おこし協力隊の女性とのコラボで、マップは発行され。観光客にも人気とのこと。
ホテルの部屋に入ると、「まりも家族コイン」が。阿寒湖に来た人はみな家族ですという考え方。コインを持って街に出ると、何かのおもてなしがあるという仕組み。
これにも「まりも倶楽部」の女性たちの意見がずいぶん入っています。
どんなに凄いハード整備をしても、そこに心が通っていなくては。どんなに豪華なホテルでも、その土地に暮らす人が心豊かに暮らしていなければ。ハードと上っ面だけでは、観光客は本当に癒されない。私はそう思います。
女性たちの心のこもった小さな活動が続いている限り、この地のファンは増え続けるでしょう。
「まりも倶楽部」の数人と、なつかしくおしゃべりに華を咲かせました。ピザを食べ、イモ羊かんを食べ、コーヒーを飲み、日本茶も飲み、ダべリングは延々続きます。
自分の活けた花の写真をスマホで見せてくれる、自分が撮ったリスの写真を見せてくれる。「綺麗でしょう~」「可愛いでしょう~」
「これからやりたいのはね~」「どんどんやりたいのよ」「若い人も一緒にできることあるし」と、話は止まりません。私もワクワクしてきました。
阿寒湖から戻って翌日にうかがったのは、八王子の「NPO法人エンツリー」の10周年パーティー。見覚えのある顔が並びます。
公の講座で出会った女性たちが自分たちでグループを作り、自分たちが受けたい講座を自ら企画。
そんなことからNPOが立ち上がっていきました。「本気のライター講座」「はじめてのイベントのづくり」「学びの先へ」などなど。彼女たちに声をかけられて、私が関わった講座のチラシが飾られています。
講座だけにとどまらず、彼女たちは場を持ちました。このパーティー会場になっている80㎡の場は、駅前、スーパーの上、飲食可能なレンタルスペースです。
コミュニティスペース「クオレ・堀之内」。ヨガ、パソコン教室、ピアノ、整理収納、色鉛筆画など、予約でいっぱい。とるのが大変な人気です。
そしていまや八王子だけでなくお隣府中の市民活動センター「プラッツ」(商業施設の5・6階、280人のホールも併設)の指定管理者にも。
非営利組織でないと借りられない施設が多い中、ここは営利利用もOK。
彼女たちはいまや自分たちが使いたい場をつくり、運営しているというわけです。
メンバーの一人にうかがうと「ちゃんとお給料は出ていますよ」と。それは長く続ける基本ですよね。
パーティーに来ていたいろいろなNPOの方々、その先にはまたいろいろな人が居ます。「クオレ」を借りているグループのその先にも人が居ます。
10周年のパンフには「10年と少し前、八王子の片隅で小さな種が地面にコロンと落ちました」とあります。
種は縁で繋がり、立派な樹になりました。まさにその名の通り「エンツリー」です。
少し歳をとって、でも笑顔が変わらない「エンツリー」の3人。「頑張る女性たち」とこのブログのタイトルにしましたが、この笑顔を見ていると、そんなにカチカチに頑張らないことが続ける秘訣なのかも、と思えてきました。また会いましょうね。
“