高知パワー

お仕事で

高知で研修をしてきました。地域おこしに頑張る女性たち対象です。

気づいたことを書き出してもらうと「身近なものを大切に」「何もなくても何かを作る」「へえ~?!から、新しいことが生まれる」「繋げば広がる」「必ず何か逸品がある」などでした。

でも、研修しなくとも、高知は既にそれを実行しているように思えます。商店街やおもてなしに、高知パワーを見ました。
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以前うかがったのは2017年6月のこと、全日本おかみさんフォーラムのシンポジウムでコーディネーターをしたときのことでした。その時感じた高知のおもてなし、いわゆる高知の『お客』文化についてはこちらに詳しく書いています。

http://noguchi-tomoko.com/modules/yutoriaruki/details.php?blog_id=418&date=201706
高知の場合、かしずいてお客様をおもてなしする、自分のことはさておいて客人をもてなす、ということではなく、根本的にまず自分たちが楽しんで、そこに混ぜてあげる、楽しさのおすそ分けをしてあげる、ということだと思います。

「何がお好みですか?」なんてことはなく、「美味しいよ、楽しいよ、ほら混ざってごらん」ということです。なので、以前は商店街のおかみさんたちがダンスを披露してくれたことに偉く感動したものでした。

今回も、着いたその日に「ダンスの練習を見ませんか?」とお誘いが。

商店街の中にある、あるかみさんのお店、お好み焼き屋さんの上の階にダンススタジオがあり、おかみさんたちはもちろん地域のそれなりの地位にある男性たちが一緒に毎週水曜日お稽古をしているのです。


お店から駆け付けたおかみさん、スーツの上着とネクタイを取った割腹のいい身体を軽やか?に動かしながら今回の出し物「パブリカ」などを練習中でした。

さっき食べた高知ならではの「カツオの塩たたき」や「亀の手」「チャンバラ貝」の味わいに酔いしれているわけにはいきません。見物しながら、こちらも身体をゆすったのでした。

翌日の研修は、高知県女性商業者等活躍促進事業で、“集まれ土佐のおかみさん 女はいつも今が旬「女性活躍推進セミナー」”と勇ましいものです。私の講演とワークショップは「女性の力で、繋ぐ、広げる」というタイトルにしました。

いつも思うのですが、講演というのは一方的でよくない。ワークショップも妙に手慣れた人の独壇場になりがち。

なので、おかみさんたちがほんわかと参加できる程度のワークショップにしました。

前半の私の話の中で印象深かった言葉をあとで各人書き出してもらう。それを各グループでまとめて、一つに絞り、発表してもらうというやり方にしました。

そういうルールだと、私の話を皆さん熱心に聞いたくださいます。メモなどもしっかり取って。

そのあとは一人ずつが全員、印象深かった言葉とその理由を述べるのですから、初めて同士でも何となく知り合うことができる。

名前と所属を言うだけの自己紹介より、しっかり繋がれます。そしていつものメンバーでない人たちも一緒に話し合えば、視点や考えが広がります。

男性もかなり混ざっていましたが、あっという間の90分。こちらも楽しく過ごせました。各班の発表に、冒頭の言葉が出てきたわけです。

その後、新年会も兼ねた交流会です。御馳走で出てきたのが田舎寿司。昔からこの地の人が食べてきた、ミョウガの漬物や、コンニャクなどが具になったお寿司。これが素朴で美味しい。

身近なものを大切に、宴会料理に出すことがいいなあ~。しかもこのお寿司こそが何もなくても何かを作ったものですね。

そしてダンスが始まりました。初めて見る人たちは「へえ~~~?!」です。あのおかみさんが思い切り軽やかに踊っている。あの局長が、あの支店長踊ってる。平均年齢70歳を超えているんだって。へえ~!です。

こんなに若々しくパワフルなら、私たちも頑張ろう。おばあちゃんだって、お爺ちゃんだって、と新しい気持ちが起きていきます。

驚いたのは懇親会参加者全員を紹介し、皆が一言ずつ挨拶する場面があったこと。しかも司会のおかみさんはのどかに間違えっぱなし。

それが名物のようで皆が大喜び。いい繋がり方です、全員のことが覚えられて世界も広がります。

なんだ、研修なんてしなくとも、高知は立派にやっている。高知のパワーこそ逸品なのだと思ったわけでした。