土地の隠し技

ゆとりある記

ある土地とさらっと付き合うと、おすすめの季節や名物も決まりきったものになりますが、何度かうかがうと意外な発見が。

長野県飯山市は春の菜の花が有名、それが夏は千日紅や黄花コスモスがずらり。

食べ物では、笹ずしやお蕎麦が知られますが、なんと鰻も。農産物ではアスパラや米ですが、先日は道の駅に桃やベリー類が。

こんな面があったと知って、また魅了されるのでした。
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6度目の飯山市です。緑の田んぼが広がって美しい。こういう風景が、どんな観光施設よりもよそ者の心を捉えますね。


千曲川沿いに走る国道117号線。道路沿いにびっしりと菜の花が咲く、フラワーロードとして知られます。春にここをドライブしたことのある方は多いでしょう。

それが、今、盛夏でもきちんと花が咲いているのでした。夏に咲く矮性の黄花コスモス、花もちのいい千日紅、丈夫なマリーゴールド。道路沿いの花として、管理しやすい花を選んで延々と植えてあります。

市民の方々のボランティアによる花植え作業は、もう何年も続いているとか。そして秋には、野沢菜の種が蒔かれ、春は輝く黄色い菜の花ロードになるわけです。

菜の花の時期でないのにちゃんと花が咲いている。さすがと思いました。

道の駅千曲川、ここの農産物直売所は大好きなところ。アスパラの時期は、多量に買う人たちでにぎわいます。

知る人ぞ知る、飯山の美味しいお米も人気です。

この時期は?と思うと、わあ~!珍しいベリーがありました。「ビルベリー」という北欧のベリー。

抗酸化物質のアントシアンは、ブルーベリーの3~5倍あるそうです。地元の人も「これは珍しいねえ」と眺めています。多量ではなくても、珍しいものが少しずつある、こういう直売所は魅力的です。


こちらは「雲南百菜」。名前を聞いただけで身体に良さそうな・・・。

モロヘイヤやツルムラサキのように、叩いて、粘りを出して食べるものだとか。これまた珍しい、しかも安い。


私は桃を買いました。飯山で桃?と思いますが、近郊からいろいろ集まる直売所です。小ぶりで傷モノですが、安い安い。

2箱担いで帰りましたが、甘くておいしい、素晴らしい味でした。


そして、極め付けが鰻。飯山の土地の名物というわけではありませんが、ある一軒のお店が“飯山に鰻あり”と言わしめています。

何度か噂は聞いていたのですが、ついに口に入れることが出来ました。ふんわり柔らかく、さっぱりした味付け。東京でこのクラスの鰻を食べたら、どのくらいの値段になるのでしょう?

わざわざこの鰻を食べドライブしてきたのでしょう、新潟ナンバーや群馬ナンバーの車が並びます。

お店はゆったりいい雰囲気、そしてなにより付け合わせの手作り漬物の美味しいこと!丼一杯ドンと出てきます。

鰻とご飯を食べたら、更にもう一段の鰻が入っていて感激するように、飯山の魅力は6度目にしてさらに深まりました。

隠し技のように、尽きない魅力をだんだん出してくれる土地、こういうところとは長いお付き合いになります。"