魚屋のケーキ

ゆとりある記

魚を使ったケーキではありません。青森県八戸の裏通り、いい魚屋さんだなあとのぞいたら、何と「バナナシフォンケーキ」を売っています。

刺身同様トレイにのせて、ラップでくるりと巻いた簡単な売り方。お孫さんに好評なので、つい売り始めた、とか。フワフワの一切れを、おばあちゃん達がおやつに買っていきす。自然体の商売ってこういうことなんだ、と学びました。

場所は八戸中心街の六日町、「福真」という魚屋さんです。生で食べる白子など、あたり前に売っている!東京では加熱用しかなかなか手に入らない貴重品ですよね。

お刺身も安い。一人暮らしの方などもお客さんに多いのでしょう、上質のものがほんの少しトレイにのせて、しかも安く売られています。こういうお店があるなら八戸に引っ越したくなります。

そこにこの「バナナシフォンケーキ」まであったのですから、びっくりしました。足元に、刺身や白子を従えて、魚の仲間のような顔をしてショーケースの上にありました。写真でわかるかなあ~。真ん中あたりにチョコンとあるんだけど。

長靴を履いて、いっぱい着こんで、頬かむりをしたおばあちゃん。ラップで包まれた一切れ売りを、晩のおかずと一緒に買って帰っておやつにするんだろうな。

けっして紅茶ではなく、熱い番茶をいれて、かじかんだ手で先ずは一息と食べるのでしょう。入れ歯を入れなくとも、シフォンケーキですものハムハムと食べられます。いいな、いいな、こういうおやつ。

街の表通りは東京を目指す姿勢が強いものですが、裏通りにはこんな世界があるものです。地元の人にはもちろんのこと、旅人にも最近はこういうお店がうれしいものです。

もう一軒寄ったお店で、あら、りんごの紅玉を見つけました。昔よく丸ごとかじった、甘酸っぱい真っ赤なリンゴです。帰りの新幹線で、先ずはピカピカに光らせてからガブリ。

和服でリンゴを丸ごとかじる変なオバサンです。車内にフワッと香りが広がります。あの、魚屋さんでは、今日もシフォンケーキを焼いているのかなあ~~。

昨年の暮れに、思いがけずこの魚屋のシフォンケーキが届きました。八戸で知り合った、割ぽう着の似合う飲み屋さんのおかあさんからです。「これね、八戸の有名なケーキだよ」と実家へのお土産にしました。