横丁がたのしい。

ゆとりある記

青森県八戸、市街地に飲み屋さんの集まる8つの横丁が。一歩入ると昭和ムードが漂い、最近は観光客にも人気。私も一杯やってきました。

横丁の魅力は何といっても、土地の風土を感じながら、地元の人と交流できることでしょう。八戸弁が飛び交う小さな店で、隣同士が肩寄せ合っての熱燗。かじかんだ心も温まる時間です。これから、横丁がますます必要とされる時代になるはずです。

八戸には「一店逸品運動による商店街活性化とは」というタイトルで、商店街の方々へ向けて講演をしにいきました。そのあと、横丁へ繰り出したのです。八戸の横丁文化について聞いてはいましたが、体験は初めて。先ずは横丁見学です。

屋台村として新しく整備されている「みろく横丁」は初心者向き。昼間は静まっていたのですが、夜は横丁テーマパークのようににぎわっています。ここはエコ活動も熱心で、路地の素材に帆立貝の殻が使われたり、割り箸回収して再生紙にしたり。大通りから入りやすい環境です。

一方、昭和のムード漂う古くからの横丁は、地元の方のご案内があったほうがいい感じ。でも、この辺りで吉永小百合さんのJRポスターは撮影されたとか。大人の休日にしたいこと・・・、古い横丁で一杯、わかりますね~。

歴史を刻む横丁には「○○禁止」や「雪を捨てないで」の看板も。こういうのを見つけると、もうたまりません。どこへ続くのやら横丁の先にまた横丁、八戸中心市街地の毛細血管に迷い込んだ感じです。気がつくと、もとの最初の横丁。ここの「わが家」というお店に落ち着きました。

6人座れば一杯です。おでん、サバの冷薫、名物煎餅汁、もちろん熱燗。一気に頼んで食べ始めると、ガラス越しに横丁を物色して歩く人が覗き込んでいきます。手を振られればこちらも杯を上げ、路地と店の中が一体です。そのうち「あ、△△ちゃんだ」とお仲間が戸を開けて、外の通行人とひと話し。そうかと思うと、通り過ぎた人が戻ってきて「野口センセ、これ持ってってよ」とガラス戸から、鮭を一匹ヌッと差し出します。

東京とは違う、この人と人の近距離感、熱い密着度。あなたのおかずは私のおかず、お酌の応酬。肩はくっつきっぱなし。隣の話題は私の話題。土地の言葉にヒアリングがついていかないのですが、それなりにわかります、音楽みたいでわかります。こういうのいいなあ~~~、お酒がまわってきたな~~、と思っていると別のお客さんたちが登場。横丁屋台に長居は無用、サッと立ち上がって交替です。

酔ったホッぺに、八戸の寒風も気持ちいいもの。「新幹線に乗って、わざわざ来たい横丁だわ~~」などと力説しながら、鮭をぶら下げてホテルへと戻ったのでした。