キウイフルーツカントリー
静岡県掛川市の「キウイフルーツカントリーJAPAN」を久しぶりに訪ねました。日本最大のキウイ観光農園です。
個人農園、ちゃんと入園料があります。そのかわりキウイだけでなく、いろいろな動物と遊べ、散策コースやトイレにまで学べる仕組みがあり飽きません。茶摘みやケーキ作り、バーベキューも。
農産物は“物”だけではない、景色、知識、体験、笑い、繋がりも、と納得しました。
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うかがったのは5月の中旬。今の梅雨のような本降りの雨の日でした。
掛川の友人が車を出してくださったのですが、降りるたびにずぶ濡れになるワンちゃんにはご迷惑をかけました。
10数年ぶりの「キウイフルーツカントリーJAPAN」、観光農園とか、着地型観光とか言われる前から、キウイの出荷だけにとどまらず、農業の可能性にチャレンジして来た農園です。
普通の農家の農園は、入るのにお金をとらない。もぎ取りなどやるときだけお金をとる。というのが多いのですが、ここは年中とります。
入園したらそれだけの価値のある時間を提供できる、という自信があるのでしょう。
こんな雨の日にも、私たち以外のお客様があります。
入口のショップでお支払い。もうこの時から、キウイワールドが始まります。よくぞこれだけの“キウイもの”を集めたなあと感心。
手作り風のショップの壁には、キウイの葉っぱ、枝が押し付けられて、キウイフルーツの柄になっていました。ひと工夫ですね。
スプーン1杯のキウイフルーツの種をアメリカ旅行から持ち帰り、この農園を築いてきた園長の平野正俊さん。
久しぶりなのですが、ファッションも雰囲気も昔と変わっていません。
ちょうど開花の時期で、受粉に忙しく眠い中をご案内いただきました。
この農園にはキウイフルーツが80種類もあるそうです。次々と新品種も作りだしてきました。
20年前、まだ世の中に緑色のキウイばかりだった頃、ここで黄色いキウイ、中が赤いキウイ、水滴のような形のキウイ、ウインナソーセージのように細長いキウイを見て、味わって驚いたものです。
巨大なビニールハウスのなかでは、キウイの葉の下でお弁当を食べたりバーベキューをしたりできます。コンサートやイベントも開かれます。
足元に敷き詰められているのはキウイの枝のこま切れ。ザクザクと踏むといい感触。
2002年にNPOスローライフ・ジャパンが最初の「スローライフ・フォーラム」と「スローライフ月間」を掛川市民の皆さんとやったことを思い出しました。
「ここで築紫哲也さんなどたくさんの人が、掛川名物の“イモ汁”を作って食べたよね」と平野さん。そうでしたそうでした、ここでそんなことをやりました。
当時なかったのは、後ろの方にずらりと並ぶトラクター。平野さんの趣味でいろいろなトラクターや農機具が集められ、展示?されています。子どもたちが乗って遊んでいるとか。
トラクターなど見たこともない都会っ子は、さぞかし喜ぶことでしょう。
たまたまうかがった時期が花の季節。思いがけずキウイフルーツのお花見となりました。
「受粉すると、キウイは花や茎が桃色に色づくの」と平野さん。なるほど、ほんわりピンク色になった色っぽい花々があります。
キウイの花と葉が、雨に濡れてキレイキレイ。
雨など気にせず、広大な園地をお散歩です。雨でも気持ちがいいのですから、お天気ならば虫取りや、観察や、森まで入ればジャングル遊びや、いろんなことができますね。
それにしても胸の丈ほど草が茂っています。「うちは除草剤は使わないから。草は味方」と平野さん。
草はこのように機械で刈り取って、そのまま土を覆い、キウイの根のお布団に、栄養になるわけです。
この辺も、昔からここがこだわってきたこと。考え方はブレていません。
散策道の途中にはいろいろなクイズがあります。「キウイのしゅうかくするきせつはいつかな?」「キウイの種はいくつくらいでしょう?」
え~と、、、、。考えながら歩きます。
子どもも大人も知らず知らずに、キウイや動物のことを覚える仕掛けになっています。
キウイエリアを超えて高台まで行くと、草がなく木が転がっているところがありました。
「ここは羊のお仕事場!」だそうです。???
つまり、ここに伐った木をほおりこんでおくと羊がセッセと樹皮を剥き、食べてくれるのだそうです。すごい消化力!
お仕事の結果がこれ。いい仕事してくれますね~。
山の木を伐って、こうしてまた何かに利用する。ここではそんなことをずっと続けてきたのでしょう。
途中の草原が、結婚式を挙げる広場にもなっている。ウエディングゲートも手作りで建っていました。
園地のてっぺんまで行くと、掛川らしい茶畑が広がります。最近は高齢化で茶園ができなくなり、「やってくれないか」と相談があるそうです。
美しい茶園も、茶葉の収穫だけでは成り立たない。後継ぎもいない、行き詰る農業の問題を抱えているのでした。
平野さんのところでは、お茶摘み体験やお茶づくり体験をこれまた20年近く前からやっています。外国人の方は茶娘の恰好をしたがります。
春から秋まで、それなりのお茶体験ができるプログラムが用意されている。だから、いまキウイの実は実っていなくても、お茶体験のお客様が多いそうです。
羊、ヤギ、豚、アイガモ、ザリガニ。まだいろいろ遊べるのですが、我々はハウスでキウイを食べる方を選択。「お好きなだけどうぞ」、細長い「香緑」という珍しいキウイが美味しい。
緑に囲まれて動物を身近に、身体にいい甘酸っぱい味を口にしていると、初対面でも仲良くなります。キウイ茶会は長々と続きました。
この園のあちこちにあるメッセージはすべて手描き。「○○禁止」なんて言葉ではなく、子どもにわかる優しい言葉と絵。目にするたびになんとなく笑みがこぼれます。
来園すれば自然に顔が緩む。同行した初めての方は「参考になることだらけでです」と目を丸くしながらも、久しぶりにストレスを忘れ、伸び伸びと解き放たれたかのようでした。
トイレに行って「なるほどね~!」と私は声を上げました。羊の小腸は26~28mもあるのだそうです。だから、木の皮も旺盛に食べちゃうんですね。
と、ここでは、トイレでもひと学びできる工夫がありました。
ただ儲けるだけでなく、農園存続のためだけでなく、ここでは平野さんがとことん遊んでいる、楽しんでいることが園の雰囲気を創っているようです。しかも彼はものすごく勉強もしている。英語を自由に操る、冒険少年農業者です。
報徳思想の強い雨の掛川で、久しぶりにいい時間を過ごしました。
キウイフルーツカントリーJAPAN
https://kiwicountry.jp/
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