出雲のかたち

ゆとりある記

神々の集まる地だからでしょうか?出雲のまちを歩くと、東京などにはない不思議で素敵な形、デザインに出会います。

出雲大社の大しめ縄、風景に納まった鳥居、おみくじが厚く縛られた木、檜皮葺、旧大社駅の黒瓦屋根、そして、和風デザインのスターバックス。

神々しく美しいものばかりの中で、戦争中飛行機燃料として松脂を採った参道松の傷跡だけは、なんだか悲しくなりました。
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JR出雲市駅、この巨大な丸太柱、大国主命の絵。うーん、どこでも同じようなデザインの、都内の駅とは全く違います。


商店街には「おろち」も。こ洒落た街にはない、出雲ならではのアイテムでしょう。


ゆる~いカーブの飲み屋街。トロ~ンとしたムードが漂って、いいなあ。


布団がひなたぼっこ。なんだか出雲布団と名付けたくなりますね。


そして、この日はここのお酒をおろちのように飲んでしまったのでした。


翌日のお気に入りはこの黒い瓦屋根。旧大社駅は重く輝きこの地の威厳を放ちます。どんな現代的なビルよりも、美しい、そして立派です。


昔はここに人が乗り降りしていました。ホームと線路と花と、遠くの鳥居がいい景色をつくっています。どこにもさえぎるビルがない、心広がる思いです。


旧大社駅の貴賓室、しっとりとした空気です。入ってきた観光客、浮かれた女の子たちがふっと静かになる。そういう部屋でした。


さあ、大社に向かいましょう、と思ったら参道の松並木が目に入りました。10年近く前にも妙に心に残った傷つき松です。参道の松から漆をかきとるように松脂を採って、それを燃料に戦闘機を飛ばそうとしたとか。

そこまで追い込まれ、ここ参道の松まで皮をはぎとり傷つけて、戦争を続けた。この傷が人の愚かさを伝えてくれます。

このモニュメントを、もっと大切にメッセージとして伝えてほしいところです。名物のぜんざいを食べて浮かれる若者に、教えを説くことも必要でしょう。

出雲大社です。縁結びを願うのに必死の方々もいますが、私にはこの大しめ縄の形が何よりの結び型。

これだけの藁を集めて形にしていくここの人の技、力。都会人は完全にひれ伏す存在感です。


人間はわがままです。ちっぽけです。縁結びを願っておみくじを引いたら、今度は杉の木の周りに厚く厚く縛り付ける。松の皮を剥いだり、杉に勝手に腹巻をしたり。


たくさんのものを重ねるのでは、これが一番でしょう。檜皮葺の屋根、この厚さ、ミルフィーユだってこんなボリュウムにはなりません。


こういう形、こういう年月の前では、ついこの間できたばかりの東京などは、うすべったい、セコイ、恥ずかしい、という評価になってきます。


スタバだって、当然合わせますね。

こういう世界に普段から暮らしている、出雲の人たちはどんなセンスや価値観を持っているのでしょう?

今回はほんの少しの滞在でしたが、いつかゆっくりと出雲の生き方を学びたいと思いました。

出雲に通い、物差しを整えていく、本物で自分を磨いていく。そんな出雲との付き合い方をだんだん身に着けたいものです。"