ホッキに魅了され

ゆとりある記

ホッキ貝。これまで私にはあまり存在感のない貝でした。それが先日、青森県おいらせ町の黒ホッキ貝を堪能するイベントに参加し、すっかり魅了されました。

白ホッキとの食べ比べ、炭火焼き、しゃぶしゃぶ、ホイル焼き、吸い物。なかでも白いご飯にホッキ味噌、これが絶品でした。

熱を加えると、紅をさしたように赤くなるホッキ貝、やはり産地ではその本当の魅力を学べます。
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青森県上北郡おいらせ町、この百石港にこの辺のホッキ貝はあがるそうです。港に止まる比較的小さな船、「ほっき」の文字がみえます。


会場になったのはあぐりの里という農業体験施設、農産物がいっぱいしかも安い!バイキングレストランも足湯も温室もある。こういう場所でやってくださると、貝を食べるだけでなく、プラスαで行きたくなります。


催しの名前は「おいらせホッキ小屋inあぐりの里」、この冬2月に数回行われています。すべてが満員とのことにビックリ。地元ではホッキ貝を好きなお家は、目方で買って、家で殻をむき食べるそうです。


小屋といっても施設の中の特別仕立てのスペース。地元のホッキレディース??の方々が、既に貝をドンドン用意しています。


外にはマンガンと呼ばれる漁具が展示され、その大きさにビックリ。潮干狩りでアサリをほじくるのとはわけが違いますね。これを船で曳き、海水を噴出させて、土を流し貝だけにしていくのだとか。


おお!貝剥きの実演が始まりました。早い!説明はしてくれるのですが、それより早く手が動き、「ゆっくり、ゆっくり」とリクエストです。

“むき”という名の両刃の刃物で貝柱を切って、と理屈はわかっても、けっこうこのホッキ貝力強く抵抗するのでした。

砂や水の加減で、黒っぽい黒ホッキと、白っぽい白ホッキができるそうです。百石港であがるのはもっぱら黒。白よりも身が厚く、歯ごたえがあるとのことです。

また、貝のすべてが食べられるのではありません、「ここは砂が多いから使わない、ここの黒いの取ってね、ここは食べるとこ」などと、ホッキレディースはさっさと部位を仕分けるのですが、私には無理。食べるだけに専念しましょう。


客席に着くと、炭火が起こされ、しゃぶしゃぶ用の小鍋も煮たち、さあどうぞという設えです。

いわゆるカキ小屋などで、バケツから取り出し、手を汚してワイルドに食べるのには少々抵抗があったので、こういう感じでホッとしました。“貝を食らう”みたいな世界で食事はしたくありませんし。


黒ホッキ貝7つ分が、きれいに盛られています。今まで、東京のお寿司屋さんでたま~~~に食べるホッキ貝とは量が違います。おそらく生まれて初めて食べる量です。

まずは、しゃぶしゃぶで5秒間お湯に。ふぁあ~っと貝が赤くなり、きれい、ロマンティック。口に入れると、しっかり歯ごたえで甘みも。何も味をつけないでこのまま貝の味、海の味をかみしめます。ああ、白いワインかシャンパンがほしいですね。

美味しかったのがこれ、ホッキ味噌。貝を細かく刻んだものを油で炒め、ネギ、卵、味噌と和えた物。ご飯に合います。これは日本酒でしょうか。


お吸い物もきれいな春色、品がいいです。この色を見ていると、“小屋”なんて呼ばないで、“ホッキ・カフェ”か“ホッキ・バル”なんておしゃれ感のあるところで食べたくなります。

ホッキデートやホッキ女子会もできるような環境を用意してあげたい。ハッピや大漁旗の世界じゃないと思う。音楽も選びたいですね。

オリーブオイルやにんにくなどとも合わせたい。バジルや岩塩も合うでしょう。酢のものも大根おろしでなく、地元産のリンゴとあわせてもいいし、雪下ニンジンとサラダにしても。と妄想が広がります。

昔、京都祇園のお洒落なお店で、“ごはんたべ”の芸妓さんと素敵な男性が、ほほ寄せ合って、小さな炭火で貝を焼いて飲んでいました。色っぽいいい光景でした。

それは、和の世界でしたが、ホッキの赤はもう少し華やかなこんな色の唇のぷりんぷりんした女性に合いそうです。

食べ物は、お皿の中が半分、あとは周囲の環境が味を決めます。次回ホッキ貝をいただくときには、少しおしゃれして出かけましょう。

年に一度ホッキガ貝をたくさん食べると、お肌白く、ぷりぷりの唇紅美人になる、ホッキ美人物語創っちゃいましょうか。