近場で息抜き

ゆとりある記

電車で17分が近場かどうか?「亀戸天神」へ出かけました。昔からの梅の名所は、合格願いをする人がちらほら出ています。途中、伝統野菜の亀戸大根を初めて見たり、明治時代の天神社の写真に驚いたり。江戸から続く名物のくず餅屋さんでは、ここのお餅は小麦粉を材料に450日かけて作る発酵食品と知りました。半日で、学ぶこと多かった息抜き、このくらいは出かけてもいいかなあ。

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JR亀戸駅から歩いて15分ほどの「亀戸天神」です。江戸時代からの名所、梅や藤で知られ庶民の憩いの場所。と、言っても私は初めてなのですが、どうしても家に居るのがもういやになって・・・短時間気晴らしに出かけたのでした。

梅は満開の樹が何本か。久しぶりのすがしい香りです。

屋外だから「蜜」にはならないだろうと思いましたが、やはり合格お願いの方は多い、真剣です。

ここに来る途中の写真館にこんな写真が飾られていました。明治時代の亀戸天神「太鼓橋」です。洋装の人がいたり、着物の人がいたり。当時から賑わっていたのが分かります。大きな石灯籠が写っていますが、今あるのは台座だけ。関東大震災で倒れたのでしょうか?

昔、ここで梅や藤を眺めた人たちは、スカイツリーや高層マンションが立ち並ぶ今の様子を想像できたでしょうか?限られた土地で、上へ上へ伸びてきた東京の現実が分かります。

交差点に、昔のままのような「豆屋」さんがありました。

一番手前が「塩豆」。そして落花生やトラ豆、などなど。紙の袋で量り売りです。このショウケースそのものが貴重でしょうね。

「亀戸大根」が飾られていました。初めて見た、小型の大根です。江戸野菜としてこの地で作られていたとか。一度消えて、今また、伝統地域野菜ブームで注目されているようです。

こんな「亀戸大根之碑」も見つけました。本物とはそうとう形が違いますが、大根型の碑に笑ってしまいます。

「知らない土地って面白いね~」などと話しながら夫とくず餅屋さんで休憩。実はここのくず餅は昔から私は好物で、お土産にいただいたりすると、千葉の実家の母と争うように食べてきた懐かしい味です。「うんうん、この味この味!」と確かめながら味わいます。

梅の植木鉢を眺めながら、黒蜜の甘さにホッとします。

ここで今回初めて知りました。ここのくず餅は発酵食品だったのです。いわゆるくず粉を使って作る関西のプルンプルンのくず餅と、関東のこの小麦粉を材料にするくず餅は全く違うものであるのは関東を脱出したときに私は知りました。が、さらに和菓子で唯一の発酵食品であったとは!今回ここの説明書きで知ったのです。

店員さんにうかがうと、お麦粉のでんぷんを大きな木樽で450日もの間時間をかけて発酵させて、くず餅の原料が初めて出来上がるとのこと。それを蒸しあげて、お餅にしていくのだそうです。独特のあのかすかな酸味は乳酸発酵によるものだったのですね。これもまたひとつ学んだことでした。

ただの気晴らしだけでなく、いくつか学んだ数時間。近場でも充分な旅気分にひたれました。まあ、このくらいの外出、お許しください。