オンライン蜜蝋ラップ作り
奈良県十津川村に行けない日々、zoomでワークショップを取材しました。温泉旅館でのものづくり体験は、布に蜜蝋をしみ込ませて作る、今ブームの「蜜蝋ラップ」です。窓からの緑、分厚い木のテーブル、楽しいおしゃべりとともに何かが出来上がるうれしさ。ゆっくりした時間が、オンラインでも共有できました。行けないとあきらめないで、少しずつでも繋がらなくては、と思います。
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十津川村の温泉はどこも源泉かけ流し、宿では本物の温泉をふんだんに味わえます。そんな宿の一軒「ゑびす荘」(十津川村平谷425-1)は、地元の野菜にこだわった野菜料理が美味しいお宿。若いご主人が身体にやさしいお料理を作ってくださいます。ここのご主人と結ばれたのがこの日の先生、玉置茜さん。村の地域おこし協力隊 として、これまでもいろいろなワークショップをしてきた方。
本当は、宿に泊まってこの体験をというのが企画の趣旨なのですが、私は遠方から無理やり参加させていただきました。私も含め、女性4人でゆるりと講座が始まります。
zoomで参加ではいい写真が撮れないので、ここからの写真は参加者のお一人、村役場総務課の野依莞奈さんによるものです。まずは材料、オーガニックコットンを栗のイガ、ビワの葉、藍、玉ネギ、など自然素材で染めた布。そして、石鹸みたいに四角なのが蜜蝋、そこに松脂と瓶入りのココナッツオイルなどを混ぜて使うのだそうです。
急な飛び入りなので、私の手元に材料がないのですが、食い入るように見るとその場に居る気分になりました。
好みで選んだ布に蜜蝋(松脂やココナッツオイルを混ぜてもの)を、小さくちぎってのせていきます。顔をマッサージするときに、少しずつクリームをのせていくみたいな感じ。でもまんべんなく、何か所にものせます。
クッキングシートで挟むようにして、ぬるい温度のアイロンでゆっくり温める。そうすると蜜蝋がとけて布にしみ込む。作り方はいたって簡単です。要は蝋でコーティングしたごわっとした布が出来上がる。ごわっとしているからラップのように食器の上からかぶせて周りに貼りつかせることができる。野菜なども、これで包むことができる。少々汚れても、水で洗えて、何度も使える。エコで、経済的というわけです。確かに、一日に使うラップの量って相当ですものね。かなり昔、魚屋さんなどで使われていた柿渋の袋などを思い出しました。
蝋が沁み込んだ布は、ふにゃふにゃしていたのが、少し空気に触れて冷えると見事にごわっとしてきます。野依さんが後から使っているところの写真を送ってくださいました。このように何度も使えるわけです。
環境にやさしい暮らし方の気づきには、とてもいい体験です。茜さんが少しずつナチュラルな暮らしの良さをかみ砕いて話してくれる、その考え方がこちらにもしみ込んできます。そもそも、蜜蝋などというものを知らないし、村の山にあるもので色が染まるなんてことも知らないですもの。
良い景色を見たり、ご馳走を食べたり、温泉に入ったりだけでなく、宿でこういうことを体験して考え方を学んだり、知識を吸収するのも新しい観光でしょう。
そして今回、私が前もって材料を送ってもらい、一緒にできればもっと良かった。行けなくても交流できる。行けなくても手作り体験時間を過ごせるのですから。zoomでですが、宿の設えや日常を垣間見ることができたり、窓から緑や日差しが感じられたり、せかされないで少しずつ何かができていくそのお仲間になれたりしたのは、いい思い出になりました。
実際に行くとしたら、私の家から8時間半かかるところです。オンラインならお金も時間もかかりません。こうしてまずは仲良くなって、そのうちお宿に茜さんをきちんと訪ねたいものです。
ワークショップの最初に、大きなカブの半分を蜜蝋ラップで包んで、こう使える、と説明があったようですが、その時の音声は私には聞こえていませんでした。なので、最後までカブということが分からなかった。蜜蝋の塊にみえていた、なんていうご愛嬌もありましたが(笑)。それもオンラインならではの笑い話です。
玉置茜さん、野依莞奈さん、参加者のお客様、ご一緒させていただきありがとうございました。