静かな巣鴨

ゆとりある記

かつて「おばあちゃんの原宿」と呼ばれた巣鴨に、出かけました。昔は歩くのも大変なほど混んでいたのが、いま、高齢者の街はガラすきです。とげぬき地蔵に行列はなく、下の世話にならずに済むという名物“赤パンツ”のお店も暇そう、懐メロカラオケ店はかろうじて時短営業中でした。きっと、おばあちゃんたちは、コロナの嵐が去るのを、ジッとお家で待っているのでしょうね。

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巣鴨駅を降りると、すぐにステイホーム、お家で過ごそうと呼びかけられます。商店街もこういう幟を出すようになるとは、思ってもみなかったでしょう。今までは、どうぞお越しください、だったのですから。つらいところだと思います。

呼びかけを守ってなのか、かつて見たおばあちゃんで大混雑の地蔵通りではありません。それでも、天気の良い土曜日なので、人はちらほら。ま、私も出かけてきているのですから。理由は、ここの通りにあるおばあちゃん向けの靴屋さんです。うちの近くの店がコロナで閉店、ネットで調べると、同じブランドの店が巣鴨にある、というわけです。「ここの靴じゃないと痛くて重くて、いやなの。毎日履いてるのがファスナー壊れそうだし」と、理由を山盛りにして夫と訪ねたのでした。

ソーシャルなんだか??だとおばあちゃんはわかりにくいからでしょうか。実にわかりやすい看板が立っています。でも、それほど気をつけるまでもなく、人がいないのでした。

以前なら、品物を見るのも大変な店先に、おばあちゃん向け商品がさみしそうにしています。とはいえ、「おばあちゃんの原宿」でクラスター発生なんてことになったら、もう大変ですものね。

私も立派なおばあちゃんですから、あ、こういうカートがほしかったらここに来れば必ずあるんだ、と、この日はゆっくり今後の品定めができました。

 

せっかくですから「とげぬき地蔵」さんにお参り。

以前なら、お地蔵さんを濡らしたガーゼでさする、特に悪いところをさすって拝む人で一杯なのですが、並ばずに近寄ることができました。

名物“赤パンツ”のお店もガラガラ。近くのお店の人にうかがうと、「混んでる頃は、自転車なんて通れない道だったけど、今は自転車がホラ、すいすい走ってるよ。年寄りもインバウンドも来なくなっちゃったね。どうなるんだろ、全く商売できないもの」と、辛そうです。

おばあちゃんたちだって、大福やアンパンを買って帰るお参りレジャーができないのは辛いでしょう。代わりに粟大福と赤しそ道明寺を買って帰りました。